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資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (52 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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309 進行性ミオクローヌスてんかん
○ 概要
1.概要
ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病(Unverricht-Lundborg 病:ULD)、ラフォラ病(Lafora 病)及び良性成人型
家族性ミオクローヌスてんかん(benign adult familial myoclonus epilepsy:BAFME)は、進行性ミオクローヌス
てんかん(progressive myoclonus epilepsy:PME)を呈し、難治に経過する。PME は、①不随意運動としての
ミオクローヌス、②てんかん発作としてのミオクロニー発作及び全般強直間代発作、③小脳症状、④認知機
能障害を4徴として進行性の経過を呈する遺伝性疾患群の総称であり、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
などの脊髄小脳変性症、MELAS や MERRF などのミトコンドリア病、神経セロイドリポフスチン症などのライ
ソゾーム病なども含む。しかし、ここでは、小児期から思春期に発症して成人以降も罹病期間が長い PME
の中核疾患であるウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病、さらに、良性成人型家族性ミオクローヌス
てんかんを扱う。
良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんは、日本で多い進行性ミオクローヌスてんかんで、成人以降
に発症して、当初症状は軽度でかつ緩徐に進行するが、高齢となり特に症状が悪化する。前者の特徴から
「良性」の名称が使用されていたが、最近の研究からは進行性で、高齢となり特に症状が悪化し日常生活
動作(Activities of Daily Living:ADL)が低下することが明らかになっている。尚、診断基準のうち Definite お
よび Probable の項目を満たし、かつ全般強直間代発作がない場合は、「皮質振戦(cortical tremor)」という
病名呼称が可能である。
2.原因
ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)を呈し、良性成人型家族
性ミオクローヌスてんかんは浸透率の高い常染色体顕性遺伝(優性遺伝)を呈する。後者は次世代の発症
年齢の若年化も近年報告されている。ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病は 21q に存在するシスタチン B
(CSTB)の遺伝子変異(EPM1)によるものが大多数である。ラフォラ病は、約 90%の患者で EPM2A(タンパ
ク質は laforin)と EPM2B(タンパク質は malin)の変異が見出されるが、第3の原因遺伝子の存在も推定され
ている。良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんでは、家系内の連鎖解析で8番染色体長腕に異常を認
めるが、原因遺伝子は不明である世界の地域と各病型により病因遺伝子は異なり、SAMD12、STARD7、

MARCH6、YEAST2、TNRC6A、RAPGEF2 が報告されている。すべて共通してイントロンにおける TTTCA な
らびに TTTTA からなる 5 塩基リピート伸長変異を認める。各病型により病因遺伝子は異なり、日本では

SAMD12 が最も多く、次いで TNRC6A、RAPGEF2 が多い。
3.症状
発症は、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病は6~15 歳、ラフォラ病は7~18 歳頃、そして良性成人型家族
性ミオクローヌスてんかんは、成人以降に発症する。ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病とラフォラ病は前述の
4徴に加え、進行性かつ難治に経過すれば診断にそれほど難渋しない。しかし、時に若年ミオクロニーてん
かん(juvenile myoclonic epilepsy:JME)などとの鑑別が困難な場合がある。ミオクローヌスが悪化すると、

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