よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

295 乳幼児肝巨大血管腫
○ 概要
1.概要
肝血管腫は小児でもっとも頻度の高い肝腫瘍で、組織学的に血管内皮が腫瘍性に増殖した病変と、血管
形成異常の二種類の疾患群を包含すると考えられている。多くの肝血管腫は無症候性だが、新生児、乳幼
児にみられる一部の巨大な、あるいは多発性の肝血管腫は、高拍出性心不全や凝固異常、腫瘍内出血に
よるショックなどの重篤な病態を呈し、致死的経過をとる。このため近年、これらの低年齢児の難治性肝血
管腫を独立した臨床群と考える概念が海外で提唱された。平成 22 年度からの厚生労働省難治性疾患克
服研究事業の調査では、本邦における新規発症例数は年間5~10 例程度と推定され、明らかな男女差は
ない。多くは乳児期早期までに診断され、出生前診断例も増えている。単発性では径 60mm 以上、あるい
は多発性の症例がしばしば症状を呈しており、呼吸循環障害、凝固障害を呈するものは重症で高リスクと
される。一般的な血管腫に対する治療として薬物療法ではステロイドやプロプラノロールなどの薬物療法、
ほか、近年では mTOR 阻害剤が有用であるとして使用されることもある。また放射線照射、血管塞栓、外科
手術などがも行われるが、。しかし低年齢児の難治性肝血管腫の病態は危急的であり、治療方法は未確
立である。乳幼児期以降に、先天性・後天性の肝内門脈肝静脈シャントの流量増大から、肝硬変症、肝機
能低下が進行し、肝不全に陥る症例や成人年齢になってから血管腫の増大及び重篤な循環障害、凝固障
害など致死的な病態を呈する症例のあることが明らかにされており、致死的な急性期症状と慢性期の病態
の双方が問題となっている。慢性期の病態に対しては肝移植以外に根治的な治療法がない。
2.原因
本症の病因は確定されてはいない。組織学的には血管内皮細胞の腫瘍性増殖、血管奇形のほか、その
双方の因子をもった症例もみられている。
3.症状
代表的な症状は、肝腫大、腹部膨満、呼吸障害、心不全、凝固障害(カサバッハ・メリット(KasabachMerritt)症候群現象)などで、30~40%の症例で見られる。血管床増大から、循環系負荷による高拍出性
心不全や、微小血管内の凝固因子・血小板消費による凝固障害、血小板数減少、さらに頭蓋内出血や腹
腔内出血による出血性ショックなど致死的病態を併発する。肝腫大による横隔膜の圧迫や静脈還流阻害
により呼吸循環障害を呈する。そのほか甲状腺機能低下症、発育障害、腎不全、貧血、肝機能障害、高ガ
ラクトース血症や高アンモニア血症などの症状・徴候がみられることもある。皮膚血管腫を合併する症例も
みられる。出生前の症例では胎児水腫から子宮内胎児死亡となることもある。治療に反応せずに血小板数
が 10 万/mm3 以下に低下するか、あるいはプロトロンビン時間が 20 秒以上に延長している症例は高リスク
とされる。
慢性期には、先天性門脈大循環シャント症例と類似の、進行性肝不全症状、門脈異常の症状を呈する。
50 歳前後の成人年齢で急速に血管腫の増大やカサバッハ・メリット現象の発症を認めた症例も近年、報
告されている。

- 5-