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資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (46 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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305 遅発性内リンパ水腫
○ 概要
1.概要
遅発性内リンパ水腫とは、陳旧性高度感音難聴の遅発性続発症として内耳に内リンパ水腫が
生じ、めまい発作を反復する内耳性めまい疾患である。片耳又は両耳の高度感音難聴が先行し、
数年から数十年の後にめまい発作を反復するが、難聴は変動しない。
2.原因
原因は不明である。先行した高度感音難聴の病変のため、長い年月を経て高度感音難聴耳の
内耳に続発性内リンパ水腫が生じ、内リンパ水腫によりめまい発作が発症すると推定されている。
3.症状
先行する高度感音難聴には若年性一側聾が多いが、側頭骨骨折、ウイルス性内耳炎、突発性
難聴による難聴のこともある。数年から数十年の後に回転性めまい発作を反復する。めまいの発
作期には強い回転性めまいに嘔吐を伴い、安静臥床を要する。めまいは、初期には軽度の平衡
障害にまで回復するが、めまい発作を繰り返すと平衡障害が進行して重症化し、日常生活を障害
する。難聴は、陳旧性高度感音難聴のため不可逆性である。めまい発作を繰り返すと不可逆性
の高度平衡障害が残存する。これが遅発性内リンパ水腫の後遺症期であり、患者の QOL を大き
く障害する。
4.治療法
根治できる治療方法はない。遅発性内リンパ水腫のめまい発作を予防するためには、利尿薬な
どの薬物治療が行われる。発作の誘因となる患者の生活環境上の問題点を明らかにし、生活改
善とストレス緩和策を行わせる。保存的治療でめまい発作が抑制されない難治性の遅発性内リン
パ水腫患者には、次第に侵襲性の高い治療:中耳加圧療法、内リンパ嚢開放術、ゲンタマイシン
鼓室内注入術などの選択的前庭機能破壊術を行う。
5.予後
治療によってもめまい発作の反復を抑制できない難治性遅発性内リンパ水腫患者では、すでに
障害されている蝸牛機能に加えて、前庭機能が次第に障害され重症化する。後遺症期になると
永続的な平衡障害と高度難聴が持続し、患者の QOL も高度に障害される。後遺症期の高齢者は
平衡障害のため転倒しやすく骨折により長期臥床から認知症に至るリスクが高まる。さらに高度
難聴によるコミュニケーション障害も認知症を増悪させる。

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