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資料1-2-10診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (62 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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172 低ホスファターゼ症
○ 概要
1.概要
低ホスファターゼ症は、骨レントゲン検査で骨の低石灰化、くる病様変化がみられ、血液検査で、骨変
形などを認め、血清アルカリフォスファターゼアルカリホスファターゼ(ALP)値が低下するのが低下を特
徴とする骨系統疾患である。乳歯早期脱落などの歯科症状やけいれんを認める場合もある。ALP の活性
低下にともない蓄積する石灰化阻害物質であるピロリン酸が石灰化を障害することや蓄積し、局所のリン
濃度のが低下することにより、骨の低石灰化、くる病様変化石灰化障害が引き起こされる。ALP の基質で
ある phosphoethanolamine, inorganic pyrophosphate(ホスホエタノールアミン、ピロリン酸), pyridoxal 5'phosphate、ピリドキサール 5’-リン酸の上昇がみられる。通常、常染色体潜性(劣性)遺伝性であるが、稀
を示す場合が多いが、軽症例の中には常染色体顕性(優性)遺伝性を示す家系もある存在する。
2.原因
組織非特異的非特異型アルカリホスファターゼ(ALP)の欠損によるとされている。
3.症状
骨のくる病様変化、低石灰化、骨変形、四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭胸郭、けいれん、高カルシウ
ム血症、多尿、腎尿路結石、体重増加不良、頭蓋縫合の早期癒合、乳歯の早期喪失、病的骨折、骨痛
等を認める。
4.治療法
確立された根本的生命予後不良な治療法はなかった重症例に対してアルカリホスファターゼ酵素補充
薬の投与が、ALP 行われる。軽症例に対する酵素補充療法の有効性は確立していないが開発されつつ、
骨症状や筋力低下など本疾患に基づく症状が存在する場合には改善が期待できる。歯科的管理や合併
症に対する外科的治療が必要になる場合もある。重症型重症例における痙攣けいれんはビタミン B6 依
存性である可能性が高いので、まず B6 の投与を試みる。乳児型ではしばしば高カルシウム血症がみられ
を認め、これに対し、低カルシウムミルクをの使用などのカルシウム摂取制限が行われるが、骨症状を悪
化させる可能性があるため、酵素補充療法を併用する。
5.予後
予後は病型により異なる。周産期ないし乳児期に発症して 50%以下の生存率である重症の病型から、
成人において骨折リスクが高まる、生命予後良好な軽症な病型まで幅がある酵素補充療法が行われな
ければ周産期重症型はほぼ全例、乳児型は約半数が早期に死亡する。成人型などの軽症型の生命予
後は良好であるが、身体機能や生活の質に影響する合併症は起こりえる。

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