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資料1-2-10診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (67 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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177 ジュベール症候群関連疾患
○ 概要
1.概要
ジュベール症候群は、1969 年に小脳虫部欠損と筋緊張低下、失調、発達の遅れ、眼球運動異常などを
呈する疾患として報告された。その後、網膜異常、腎嚢胞、肝障害、口腔周囲、指(趾)などの幅広い臨床
症状を伴うことが報告され、この疾患群には放射線学的な脳幹の形成異常(MTS: Molar Tooth Sign)を共
通に有する特徴があることがわかった。そのため、このジュベール症候群を含む一連の疾患群を、ジュベー
ル症候群とその関連疾患(JSRD)と呼ぶようになった。ジュベール症候群は、原因遺伝子の違いから 28 亜
型に分類されている(JBTS1 (OMIM: 213300)〜JBTS28(OMIM: 617121))。その臨床的特徴は、脳画像の
MTS と、様々な程度に知的障害、運動障害、視覚障害、肝障害、腎障害などを呈することである。成人では、
肝障害、腎障害の管理が必要である。JSRD には、有馬症候群(OMIM: 243910)、セニオール・ローケン症
候群(OMIM: 266900)、COACH 症候群(OMIM: 216360)、口-顔-指症候群(OMIM: 258860)などが含まれる。
有馬症候群では、知的障害、運動障害、視覚障害、腎障害を小児期早期から合併し、成人では、腎不全の
ため腎透析ないし腎移植が必要であり、最重症型である。有馬症候群は 1971 年に有馬正高により報告さ
れた疾患で、乳児期早期より重度精神運動発達遅滞、先天性視覚障害、嚢胞腎(ネフロン癆)、眼瞼下垂、
小脳虫部欠損、下部脳幹形成異常を呈し、腎透析などを行わないと小児期までに死亡する常染色体潜性
遺伝(劣性遺伝性遺伝)性疾患である。セニオール・ローケン症候群では、Leber 先天盲、網膜変性症、ネフ
ロン癆、腎障害を小児期より合併し、成人では視覚障害(失明を含む。)と腎不全の管理が必要である。
COACH 症候群では、精神遅滞、小脳失調、脈絡膜欠損、肝線維症を合併し、成人では肝線維症による静
脈瘤の出血や肝不全、腎不全の管理が必要である。口-顔-指症候群では、口蓋裂などの口腔異常、顔面
と指(趾)奇形、広範な脳形成異常(全前脳胞症、視床下部や下垂体の異形成)を合併する。成人では知的
障害に起因する生活支援が必要である。口-顔-指症候群の一部は X 染色体潜性遺伝(劣性遺伝)である
が、他はいずれも常染色体潜性遺伝(劣性遺伝性遺伝)性疾患である。
2.原因
繊毛に関する 3648 遺伝子(AHI1、ARL13B、ARL3、ARMC9、B9D1、B9D2、C2CD3、C5orf42、CC2D2A、

CELSR2 、 CEP41 、 CEP104 、 CEP120 、 CEP164 、 CEP290 、 CLUAP1 、 CPLANE1(C5ORF42) 、 CSPP1 、
EXOC8、FAM149B1、HYLS1、IFT172、INPP5E、KATNIP(KIAA0556)、KIAA0586、KIAA0753、KIF7、MKS1、
NPHP1、NPHP4、NPHP5 (IQCB1)、OFD1 (CXORF5)、PDE6D、POC1BPIBF1、RPGRIP1L、SUFU、TCTN1、
TCTN2 、 TCTN3 、 TMEM67 、 TMEM107 、 TMEM138 、 TMEM218 、 TMEM216 、 TMEM231 、 TMEM237 、
TOGARAM1、TTC21B、ZNF423 )異常が原因であるが、その発症病態は不明である。有馬症候群では
CEP290 遺伝子の特定の変異が主な原因であるが、その発症病態は不明である。
3.症状
いずれの疾患も、乳児期に筋緊張低下、呼吸障害がみられることが多く、早期より精神運動発達遅滞知
的障害がみられる。頭部 MRI では、小脳虫部欠損と下部脳幹形成異常(MTS)を呈する。また、網膜欠損・
変性、腎嚢胞などがみられることがあり、腎障害は進行性で未治療の際には小児期までに死亡することも
ある。また、肝障害、口腔内の異常や指の奇形、眼瞼下垂などを合併することがある。

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