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資料1-2-10診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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179 ウィリアムズ症候群
○ 概要
1.概要
ウィリアムズ(Williams)症候群は、特徴的な妖精様顔貌、精神発達の遅れ、大動脈弁上狭窄及び末梢性
肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変、乳児期の高カルシウム血症などを有する隣接遺伝子症候群。症状
の進行を認める疾患であり、加齢によりとくに精神神経面の問題、高血圧が顕著になる。これらの症状に対
し、生涯的に医療的、社会的介入が必要である。
2.原因
染色体 7q11.23 微細欠失が病因である。エラスチン(ELN)など以下に挙げる遺伝子を含めて、7q11.23 領
域(20 余の遺伝子が座位する)の複数の遺伝子の欠失(ヘテロ接合)により発症する隣接遺伝子症候群と
考えられる。微細欠失は、FISH 法により ELN 遺伝子を含むプローブで検出できる。
3.症状
子宮内発育遅延を伴う成長障害、精神発達の遅れ(表出能より認知能の問題が目立つ、特に視覚性認
知障害あり、多動・行動異常あり。)、妖精様顔貌:elfin face(太い内側眉毛、眼間狭小、内眼角贅皮、腫れ
ぼったい眼瞼、星状虹彩(stellate iris)、鞍鼻、上向き鼻孔、長い人中、下口唇が垂れ下がった厚い口唇、
開いた口など)、社交的で、多弁な性格、外反母趾、爪低形成、歯牙低形成・欠損、低い声を認める。先天
性心疾患(大動脈弁上狭窄、末梢性肺動脈狭窄など)、高カルシウム血症、腎動脈狭窄、冠動脈狭窄、泌
尿器疾患(石灰化腎、尿路結石、低形成腎、膀胱憩室、膀胱尿管逆流など)を合併する。成人期は、高血
圧、関節可動制限、尿路感染症、消化器疾患(肥満、便秘、憩室症、胆石など)が問題となる。突然死や麻
酔関連死が報告されている。
4.治療法
乳児期には、嘔吐、便秘、哺乳不良、コリックによる体重増加不良を認め、筋緊張低下、雷などの音に過
敏な場合(聴覚過敏)が多い。中耳炎を繰り返す。約 50%に鼠径ヘルニアを認め、手術を必要とする。
独歩は平均で 21 か月、発語が 21.6 か月と遅れを認める。SVAS:大動脈弁上部狭窄症(64 %)、PPS:
末梢性肺動脈狭窄(24%)、VSD:心室中隔欠損(12%)などの心疾患を認め、18%で手術が必要である。
SVAS は進行性であるが、PPS は改善することが多い。
IQ は平均 56 である。視空間認知障害、特異的認識パターンを認める。注意欠陥障害を 84%で認める。
微細運動を必要とする活動が苦手。共動性斜視や遠視等視覚障害及び音への過敏性なども目立つ。不正
咬合、エナメル形成不全等がみられる。夜尿、便秘が多い。頻尿も全ての年齢層で認められる。関節可動
制限が進行し、つま先歩行、脊椎前弯がみられる。
成人期には、先天性心疾患に加え高血圧(22 歳以上の 60%)が認められる。脳血管障害発作にも注意
が必要である。慢性便秘、胆石、結腸憩室などの消化器症状や肥満がみられ、尿路感染症を繰り返す。進
行性関節可動制限(90%)、脊椎前弯、側弯が認められる。
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○ 概要
1.概要
ウィリアムズ(Williams)症候群は、特徴的な妖精様顔貌、精神発達の遅れ、大動脈弁上狭窄及び末梢性
肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変、乳児期の高カルシウム血症などを有する隣接遺伝子症候群。症状
の進行を認める疾患であり、加齢によりとくに精神神経面の問題、高血圧が顕著になる。これらの症状に対
し、生涯的に医療的、社会的介入が必要である。
2.原因
染色体 7q11.23 微細欠失が病因である。エラスチン(ELN)など以下に挙げる遺伝子を含めて、7q11.23 領
域(20 余の遺伝子が座位する)の複数の遺伝子の欠失(ヘテロ接合)により発症する隣接遺伝子症候群と
考えられる。微細欠失は、FISH 法により ELN 遺伝子を含むプローブで検出できる。
3.症状
子宮内発育遅延を伴う成長障害、精神発達の遅れ(表出能より認知能の問題が目立つ、特に視覚性認
知障害あり、多動・行動異常あり。)、妖精様顔貌:elfin face(太い内側眉毛、眼間狭小、内眼角贅皮、腫れ
ぼったい眼瞼、星状虹彩(stellate iris)、鞍鼻、上向き鼻孔、長い人中、下口唇が垂れ下がった厚い口唇、
開いた口など)、社交的で、多弁な性格、外反母趾、爪低形成、歯牙低形成・欠損、低い声を認める。先天
性心疾患(大動脈弁上狭窄、末梢性肺動脈狭窄など)、高カルシウム血症、腎動脈狭窄、冠動脈狭窄、泌
尿器疾患(石灰化腎、尿路結石、低形成腎、膀胱憩室、膀胱尿管逆流など)を合併する。成人期は、高血
圧、関節可動制限、尿路感染症、消化器疾患(肥満、便秘、憩室症、胆石など)が問題となる。突然死や麻
酔関連死が報告されている。
4.治療法
乳児期には、嘔吐、便秘、哺乳不良、コリックによる体重増加不良を認め、筋緊張低下、雷などの音に過
敏な場合(聴覚過敏)が多い。中耳炎を繰り返す。約 50%に鼠径ヘルニアを認め、手術を必要とする。
独歩は平均で 21 か月、発語が 21.6 か月と遅れを認める。SVAS:大動脈弁上部狭窄症(64 %)、PPS:
末梢性肺動脈狭窄(24%)、VSD:心室中隔欠損(12%)などの心疾患を認め、18%で手術が必要である。
SVAS は進行性であるが、PPS は改善することが多い。
IQ は平均 56 である。視空間認知障害、特異的認識パターンを認める。注意欠陥障害を 84%で認める。
微細運動を必要とする活動が苦手。共動性斜視や遠視等視覚障害及び音への過敏性なども目立つ。不正
咬合、エナメル形成不全等がみられる。夜尿、便秘が多い。頻尿も全ての年齢層で認められる。関節可動
制限が進行し、つま先歩行、脊椎前弯がみられる。
成人期には、先天性心疾患に加え高血圧(22 歳以上の 60%)が認められる。脳血管障害発作にも注意
が必要である。慢性便秘、胆石、結腸憩室などの消化器症状や肥満がみられ、尿路感染症を繰り返す。進
行性関節可動制限(90%)、脊椎前弯、側弯が認められる。
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