よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-10診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

156 レット症候群
○ 概要
1.概要
1966 年 Andreas Rett(ウィーンの小児神経科医)により初めて報告された疾患である。本症は神経系を主
体とした特異な発達障害である。初発症状は乳児期早期に外界への反応の欠如、筋緊張低下であるが、
それらの症状が軽微なため異常に気付かないことが多い。乳児期後半以後、手の常同運動を主体とする
特徴的な症状が年齢依存性に出現する。治療法は現時点では対症療法のみである。原因遺伝子は
Methyl-CpG-binding protein2 遺伝子 (MECP2)である。MECP2 の基礎的研究が進められているが、レット
症候群の病態解明までには至っていない。
2.原因
本症の原因遺伝子として Xq28 に連鎖する Methyl-CpG-binding protein2 遺伝子 (MECP2)がみつかった。
その後、臨床的典型例において、レット症候群の 80~90%に MECP2 の変異がみられることが分かった。一
方、レット症候群の数%を占める非典型例では CDKL5、FOXG1 の変異がみつかっている。
3.症状
本症の発症は乳児期早期にあり、睡眠、筋緊張の異常、姿勢運動の異常、ジストニア、側弯、情動異常、
知的障害、てんかんなどの症状が年齢依存性に出現することを特徴とする。乳児期から、日中の睡眠時間
が長く、外界からの刺激に対する反応に欠けることがある。運動発達は寝返りの獲得から遅れることが多
く、独歩も遅れることが多く、生涯不能の例もある。乳児期後半にそれまで獲得した手の機能の消失と特異
的な手の常同運動が出現する。発症早期の情動異常は自閉症との類似性があり、乳児期後半から知的障
害が前面に出現し、最重度の知的障害を呈することが多い。また。頭囲の拡大は乳児期後半より停滞し、
幼児期には小頭を呈することが多い。てんかん発作、特異な呼吸を呈してくることもある。小児期から思春
期にかけて、突然死の発生も知られている。
4.治療法
根本的治療法がないため、治療は対症療法である。本症の重要な病態である移動運動や姿勢の異常に
対する理学療法、手の常同運動に対して病態に沿った適切な上肢機能の指導なども必要である。情緒面の
問題、知的障害に対す種々の工夫、療育等も重要である。常同運動、異常呼吸に対して薬剤療法も試みら
れてきているが、有効なものは無い。側弯が進行した場合、側弯矯正の手術が行われることがある。
5.予後
精神・神経系を中心とした全身性の進行性疾患である。生命予後は、感染症や誤嚥性肺炎、QT 延長の
不整脈などの合併症による。

- 8-