参考資料4_歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (73 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》 |
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学修方略を考える際に鍵となる問いを以下に列挙する。最初に挙げる 6 つの項目は、Harden が提唱した
「SPICES モデル」から引用し7、さらに今日の歯学教育の状況を考慮して、問いを追加した。自身が関わって
いるカリキュラムにおける教育方略を分析・計画する際に、以下の問いについて考えると、整理ができてわか
りやすい。
1)学修者中心か、教育者中心か?
学修者中心の教育では、教員はあくまでガイド役であり、学修者が自己の学修に責任を持ち、学修ニーズ
や目標を把握し、自ら選んだ方法で学び、自己評価する(自己主導型学修)。学修者は能動的な学び方をする
傾向があり、また教材(動画も含む)が重要な役割を果たす。能動的学修(アクティブ・ラーニング)は学修者
中心の教育と言え、例えば、グループ討議等で学修者が積極的に発言できるような機会を作ること等は、学
修者中心の教育と言える。教育者中心の教育では、学修した後の景色は学修者には見えない(だから学修者
は学ぶのである)という立場に立ち、教育者が学修を先導する。自らが選択して学ぶわけではないため、受
動的な学びになりがちで、学修の動機づけがやや弱くなる。しばしば教育者がカリスマ的な役割を果たす。
ひたすら話し続ける講義や動画配信のような一方向性の教育は教育者中心の教育と言える。
2)問題解決型か、情報志向型か?
問題を解決するという行為は、臨床現場で臨床医に求められる業務と相性が良い。また成人学修理論から
も問題解決型の学修は有効と考えられる。実践から問題を設定し、その解決のために理論を学ぶ、という学
修の順番を好む学修者には有効である。事実や概念、原則を習得するときや、学問分野を体系的に理解する
には、情報指向型の方が有効である。また未知の領域に知見を積み重ねることの重要性を伝えるには、情報
志向型の方が効果的であるとも考えられる。理論を先に学んでから実践に臨むことを好む学修者に有効であ
る。
3)統合型か、学問分野基盤型か?
学問分野基盤型では、それぞれの学問分野ごとに学修を進めていく。それぞれの学問の歴史を学べるこ
と、教育実績が強固であることが強みである。またそれぞれの学問分野で何がわかっていないのか、という
ことについて取り上げることで、科学的探究に関連する能力の涵養も期待できる。一方で蛸壺型になってし
まうという欠点がある。統合型学修では、一つのテーマに対して、基礎歯学・社会歯学・臨床歯学のそれぞ
れの学問分野からのアプローチを統合させる形で教育を設計する。水平的統合(例:人体の構造と機能につ
いて、生理学、解剖学、外科学等多分野の講座が担当する)、垂直的(連続的)統合(例:腫瘍について、解剖
学、薬理学、臨床腫瘍学と低学年から高学年にわたって基礎・臨床教室ともに担当する)等といった教育方
略は、実践へ応用可能な知識基盤を構築する際に有効である8。
4)地域基盤型か、病院基盤型か?(臨床教育)
学修目標に応じて、病院か地域かという問いを基盤に、どこで学修するのがよいのかを考える。病院基盤
型であれば、指導医が多く、入院患者の診療を多く経験しやすい。また高度先進医療について学ぶことがで
きる。一方、地域基盤型では、プライマリ・ケアについて学ぶことができ、また、介護・福祉との連携、医
療の社会的な側面などについて学ぶことができる。病院と地域がうまく連携できるように計画するとよい。
7
Harden RM, et al. Educational strategies in curriculum development: The SPICES model. Medical Education. 1984;18(4):284–97.
https://doi.org/10.1111/j.1365-2923.1984.tb01024.
8
田川まさみ, 他. 医学教育におけるカリキュラム開発. 医学教育. 2014;45(1):25–35. https://doi.org/10.11307/mededjapan.45.1_25
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