参考資料4_歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (81 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》 |
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1.歯科医師の専門性の修得へ向けて
歯科医師の専門性の修得においては、学部教育、卒後臨床研修、その後の専門領域プログラムへとつながる
流れの中で、学修者の学修活動に対しての適切な評価が必要となる。歯科医師として求められる資質・能力
は、多面的な能力(コンピテンス)として扱われ、実際に知識、技能、態度等の評価可能な能力(コンピテンシ
ー)により構成される。学修成果には、初学者、卒業時、専門医等、それぞれ段階で期待されるレベルがあり、
各段階での評価に対する基準設定が必要となる。
2.学修者評価の考え方
1)学修者評価の意義
学修者が修得した能力を評価する活動となる「評価」については、「学修目標」や、効率的かつ効果的な
学修活動を促進するための「方略」との整合性が極めて重要となる。
学修目標に対する学修者の成長度について、科目終了時等のある段階での成果をもとに合否や成績を判定
する総括的評価は、科目責任者や学修者のいずれにとっても重要な評価機会となる。一方、学修者が学修活
動を進める過程での目標に対する状況を判断し、継続した成長を促す形成的評価は、教育活動として重要な
評価活動であり、個々の学修者に応じたフィードバックにより効果的な学修促進が可能となる。
また、学修者の資質・能力を総合的に評価するためには、単一的な評価方法だけではなく、多様な評価方
法を組み合わせることや、学修者の成長過程の記録を積み重ねることで、厚みのある評価が可能ともなる。
それぞれの大学の持つ資源に応じて、最善の評価活動を検討していただきたい。
2)Miller のピラミッド
1990年、医学教育における評価に関する概念図として、“Millerのピラミッド15”が提唱された(下図)。
最も基盤にある「Knows」は、専門職としての能力を発揮するために必要な知識を示している。「Knows
how」は、収集した情報を分析・解釈して診療に応用する能力を示している。「Shows how」は、これらの能
力を模擬的な環境も含めた行動として示す能力であり、「Does」は診療の現場で実践する能力である。
学修カリキュラムにおいては、学修目標、学修方略、学修者評価をMillerのピラミッドと照らし合わせて考
えると概念を整理しやすい。学修者の能力は、「Knows」「Knows how」「Shows how」「Does」の能力が複合
的に組み合わさっている。しかし「Knows」や「Knows how」の能力(認知能力)を有していることは、「Shows
how」や「Does」の能力を有していることを保証しない。評価法としては、「Knows」や「Knows how」の評価
として筆記試験、「Shows hows」の評価として模擬患者やシミュレーターを用いるOSCE、「Does」の評価と
して観察記録(Workplace-Based Assessment)やポートフォリオ評価が用いられることが多い。
学修者評価においては、学修目標や学修方略と照らし合わせて認知能力に偏らない評価を実施すること、
すなわち、診療等における実践的な能力の評価においては「Shows how」や「Does」の能力評価を意識するこ
とが必要である。「Knows」から「Does」にかけて、評価の真正性があがっていく。一般的に低学年の基礎歯
学や臨床歯学の学修では「Knows」や「Knows how」の評価が主体であるが、臨床基礎実習での「Shows
how」、そして診療参加型臨床実習における「Does」の評価が主体となっていく。卒前の臨床実習における
「Does」の評価は卒後臨床研修での学修や評価につながる。
15
Miller GE. The assessment of clinical skills/competence/performance. Academic Medicine. 1990;65(9): S63–7.
https://doi.org/10.1097/00001888-199009000-00045
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