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資料1-2-12診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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214 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症
215 ファロー四徴症
216 両大血管右室起始症
○ 概要

1.概要
ファロー四徴症類縁疾患とは、心臓流出路の形成異常によりファロー四徴症に類似のする血行動態をとる
疾患群であり、ファロー四徴症(肺動脈弁欠損を伴うファロー四徴症を含む)、心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖
症、が含まれる。
ファロー四徴症は、①肺動脈狭窄、②心室中隔欠損、③大動脈騎乗、④右室肥大を四徴とする疾患である
(図1)。胎生初期に肺動脈と大動脈をらせん状に2分割する円錐動脈幹中隔が、前方に偏位することで発症す
る。その結果、肺動脈(前方血管)は狭小化し、大動脈(後方血管)は拡大して心室中隔に騎乗(馬乗り状態)し、
前方へ偏位した漏斗部中隔と筋性部心室中隔との間に、空間的なズレによる大きな心室中隔欠損が発生する。
その結果、左右心室は等圧になり、右室は肥大する。ファロー四徴症では、漏斗部中隔の前方偏位の程度によ
り、一連のスペクトラムの病態が見られる。通常、右室流出路狭窄により心室中隔欠損孔を介した右-左シャント
が生じ、チアノーゼが見られる。最も前方に偏位した場合、肺動脈は起始部で閉鎖し、心室中隔欠損を伴う肺動
脈閉鎖、両大血管右室起始症が含まれる。心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症は、ファロー四徴症における肺
動脈狭窄が重症化して肺動脈閉鎖となった型であり、別名、(極型ファロー四徴症とも呼称される。両大血管右
室起始症は、大動脈と肺動脈の2つの大血管のうち、どちらか一方の大血管が完全に、他方の大血管が 50%
以上、右心室から起始する疾患である。共通する特徴として、①心室中隔欠損、②肺動脈狭窄ないし閉鎖、③
大血管と心室の解剖学的連続性の異常、④右室肥大が存在する。肺動脈弁が閉鎖していたり、肺動脈が低形
成であったりする場合には、肺血流は動脈管に依存することが多い。原因は不明である)となる(図2)。逆に前
方偏位が軽度な場合、チアノーゼは見られず、左-右シャントによる心不全症状をきたす(ピンクファロー)。ファ
ロー四徴症の典型例はこれらの中間に位置し、前方偏位の程度により幅広い病態を呈する。ファロー四徴症の
15-20%は 22q11.2 欠失症候群に合併する。
ファロー四徴症類縁疾患には、1)高度肺動脈低形成のため心内修復術ができない場合、2)心内修復
術後だが、成人期以降に、右室不全、左室不全が存在する場合がある。
外科治療をしなければ、1年生存率は 75%、3年生存率は 60%、10 年生存率は 30%といわれる。肺動
脈低形成で心内修復術ができない例では、成人期の死亡原因は低酸素血症、脳梗塞、脳膿瘍、心不全、
腎不全などである。ラステリ(Rastelli)手術など心内修復術が施行された例では、成人期以降に、右室不
全、左室不全が進行する例があり、肺動脈弁閉鎖不全や右心機能不全となる。
心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症で主肺動脈が低形成もしくは欠損する場合、肺血流は下行大動脈から分
岐する胎生期の分節間動脈である主要体肺側副動脈(MAPCA)により灌流される。MAPCA による肺血流の分
布は不均一であり、手術治療が難渋する予後不良の疾患である。約 30%は 22q11.2 欠失症候群に合併する。
ファロー四徴症には稀に(約2%)肺動脈弁欠損を合併することがある。肺動脈弁の遺残物による肺動脈狭窄

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