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資料1-2-12診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (48 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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222 一次性ネフローゼ症候群
○ 概要
1.概要
ネフローゼ症候群は大量の糸球体性蛋白尿を来し、低アルブミン血症や浮腫が出現する腎疾患群であ
る。成人ネフローゼ症候群の診断基準は、尿蛋白 3.5g/日以上(随時尿において尿蛋白/尿クレアチニン
比が 3.5g/gCr 以上の場合もこれに準ずる)が継続し、血清アルブミン値が 3.0g/dL 以下に低下することで
ある。このうち、原因疾患があるものが二次性、明らかな原因疾患がないものが一次性ネフローゼ症候群
である。なお、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)については、一次性膜性増殖性糸球体腎炎の概要も参照
すること。
2.原因
原因は病型により異なると考えられるが、いずれの場合も明確ではない。病型の主なものは、微小変
化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎である。膜性腎症
は、原因抗原が糸球体上皮細胞に発現する M 型膜型ホスホリパーゼ A2 受容体(PLA2R)であることが提
唱されているが、日本人における陽性率は約 50%と高くない。その他、トロンボスポンジン 1 型ドメイン含
有 7A(THSD7A)など新たな原因抗原が同定されている。近年、巣状分節性糸球体硬化症の原因分子とし
て可溶性ウロキナーゼ受容体、微小変化型ネフローゼ症候群に関わる分子として CD80 が報告されている
が、不明な点が多くコンセンサスは得られていない。また、遺伝性巣状分節性糸球体硬化症の原因遺伝子
が複数同定されている。膜性増殖性糸球体腎炎の原因は明らかになっていない。
3.症状
大量の尿蛋白、低アルブミン血症・低蛋白血症に起因する、浮腫、体重増加、高度の場合には胸水や腹
水、腎機能低下(急性腎障害、慢性腎障害)、脂質異常症、凝固線溶系異常とそれに伴う血栓症、免疫異
常症とそれに伴う感染症などさまざま症状を伴う。また、合併症としての症状も重要である。副腎皮質ステ
ロイドによる治療により、骨粗鬆症、胃潰瘍。免疫抑制薬併用で感染症のリスクが増加する。特に高齢者で
は、免疫抑制治療に伴う感染症死が少なくない。
4.治療法
病型によって治療が異なる。浮腫を軽減するための対症療法として、塩分制限と利尿薬が使用される。
また、腎臓の保護のために、ACE 阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用する。高 LDL コレステロ
ール血症に対してはスタチンを使用する。積極的治療としては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を使用し
た治療が行われる。高 LDL コレステロール血症を呈した難治症例には LDL アフェレーシスが施行されるこ
ともある。
5.予後
2年以上免疫抑制治療を要する症例(長期治療依存型)は全体の 44%と高率である。膜性腎症 1008

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