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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (25 ページ)
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公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》 |
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「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」は、Olle らの EPA(Entrustable Professional
Activities)の考え方である、①学生は教科書文献的知識だけでなく臨床現場で必要となる思考や、
医療面接、身体診察、基本的臨床手技、文書作成等の技能、プロフェッショナリズム及び学修上の態
度も含めたコンピテンシーを総合的に学ぶ、②学生は基本的な知識・スキル・態度・思考・判断・表現力
を患者及び多職種から学ぶ、③指導体制(教員または実習施設のスタッフ)は、学生の実践能力に関
する情報を得て、それに応じた対象者の業務を一部任せる、の視点を参照にした。
また、医療専門職がコンピテンシーを獲得するためのカリキュラムへの EPA 導入 4-6)も参考に、看
護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案では、信頼して任せることができる業務や資質・能力の視点
から「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」を、①看護師など(施設)の直接の監督下でできる(看
護職かつ臨地実習施設の職員)、②教員などの直接の監督下でできる(看護職だが臨地実習施設の
職員ではない)、③看護師などがすぐに対応できる状況下でできる(学生への委託)、④見学する、⑤
経験なし(学生が臨地実習で経験することができない)という指導体制と委託の程度の 5 段階で示し
た。
なお、「説明できる」「理解している」などの資質・能力であっても、臨地実習においては、知識、スキ
ル、態度・価値観及び思考・判断・表現力を統合したパフォーマンス・レベルの評価が必要とされること
から、「指導体制と委託の程度」として、5 段階を適用した注釈 1)
看護学士課程の教育機関は、教学マネジメント(大学がその教育目的を達成するために行う管理運
営)指針に基づき、内部質保証と学修成果達成の取り組みを行う必要がある。臨地実習で看護学生が
対象者に実践するためのコンピテンシーとアウトカムの保証として臨地実習前時点の到達度を活用し、
臨地実習での実践の機会確保すること、実践の機会を経た卒業時点で到達度に達成したかという看
護学教育の質保証のとして、卒業時点の到達度を活用することが期待される。
注釈 1)EPA 概念の提唱者である Ten Cate(2014)7)は、「実践にもとづかなければ、コンピテンシーは理論的なも
のにとどまる」とし、仕事の単位(unit of work)と結びつけることでコンピテンシーに実質的な意味を持たせた。
ある仕事(EPA)は複数のコンピテンシーの統合によって 2 次元で示されるものであるが、本看護学教育モデル・
コア・カリキュラム改訂案では扱う資質・能力と教育内容の範囲が広く、2 次元で示すことが困難かつ複雑となる
ことから、第 4 階層の資質・能力に対して「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」を示している。また、「看護活
動を説明できる」「理解している」などの資質・能力であっても、対象者への説明内容・方法・表現・時間・場所・態
度などによっては、侵襲や不利益が生じる可能性もあること、知識、スキル、態度・価値観及び思考・判断・表現力
を統合したパフォーマンス・レベルの評価が必要であることから、すべての資質・能力に対して「臨地実習時点の
指導体制と委託の程度」を示している。
【引用文献】
1)
Frank, J. R., Mungroo, R., Ahmad, Y., Wang, M., De Rossi, S., & Horsley, T. (2010).
Toward a definition of competency-based education in medicine: a systematic review of
published definitions. Medical teacher, 32(8), 631-637.
2)
Miller, G. E. (1990). The assessment of clinical skills/competence/performance.
Academic medicine, 65(9), S63-7. https://doi.org/10.1097/00001888-199009000-00045
3)
大西弘高. (2017). 学習者評価とコンピテンシー基盤型教育. 医療職の能力開発, 4, 21-28.
4)
Ten Cate, O., Chen, H. C., Hoff, R. G., Peters, H., Bok, H., & van der Schaaf, M. (2015).
Curriculum development for the workplace using entrustable professional activities
(EPAs): AMEE guide no. 99. Medical teacher, 37(11), 983-1002.
5)
Ten Cate, O. (2005). Entrustability of professional activities and competency-based
training. Medical education, 39(12). doi: 10.1111/j.1365-2929.2005.02341.x.
6)
Hennus, M. P., Jarrett, J. B., Taylor, D. R., & Ten Cate, O. (2023). Twelve tips to develop
entrustable professional activities. Medical Teacher, 45(7), 701-707. doi:
10.1080/0142159X.2023.2197137.
7) Ten Cate, O. (2014). What entrustable professional activities add to a competency-based
curriculum. Academic Medicine, 89(4), 691.
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Activities)の考え方である、①学生は教科書文献的知識だけでなく臨床現場で必要となる思考や、
医療面接、身体診察、基本的臨床手技、文書作成等の技能、プロフェッショナリズム及び学修上の態
度も含めたコンピテンシーを総合的に学ぶ、②学生は基本的な知識・スキル・態度・思考・判断・表現力
を患者及び多職種から学ぶ、③指導体制(教員または実習施設のスタッフ)は、学生の実践能力に関
する情報を得て、それに応じた対象者の業務を一部任せる、の視点を参照にした。
また、医療専門職がコンピテンシーを獲得するためのカリキュラムへの EPA 導入 4-6)も参考に、看
護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案では、信頼して任せることができる業務や資質・能力の視点
から「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」を、①看護師など(施設)の直接の監督下でできる(看
護職かつ臨地実習施設の職員)、②教員などの直接の監督下でできる(看護職だが臨地実習施設の
職員ではない)、③看護師などがすぐに対応できる状況下でできる(学生への委託)、④見学する、⑤
経験なし(学生が臨地実習で経験することができない)という指導体制と委託の程度の 5 段階で示し
た。
なお、「説明できる」「理解している」などの資質・能力であっても、臨地実習においては、知識、スキ
ル、態度・価値観及び思考・判断・表現力を統合したパフォーマンス・レベルの評価が必要とされること
から、「指導体制と委託の程度」として、5 段階を適用した注釈 1)
看護学士課程の教育機関は、教学マネジメント(大学がその教育目的を達成するために行う管理運
営)指針に基づき、内部質保証と学修成果達成の取り組みを行う必要がある。臨地実習で看護学生が
対象者に実践するためのコンピテンシーとアウトカムの保証として臨地実習前時点の到達度を活用し、
臨地実習での実践の機会確保すること、実践の機会を経た卒業時点で到達度に達成したかという看
護学教育の質保証のとして、卒業時点の到達度を活用することが期待される。
注釈 1)EPA 概念の提唱者である Ten Cate(2014)7)は、「実践にもとづかなければ、コンピテンシーは理論的なも
のにとどまる」とし、仕事の単位(unit of work)と結びつけることでコンピテンシーに実質的な意味を持たせた。
ある仕事(EPA)は複数のコンピテンシーの統合によって 2 次元で示されるものであるが、本看護学教育モデル・
コア・カリキュラム改訂案では扱う資質・能力と教育内容の範囲が広く、2 次元で示すことが困難かつ複雑となる
ことから、第 4 階層の資質・能力に対して「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」を示している。また、「看護活
動を説明できる」「理解している」などの資質・能力であっても、対象者への説明内容・方法・表現・時間・場所・態
度などによっては、侵襲や不利益が生じる可能性もあること、知識、スキル、態度・価値観及び思考・判断・表現力
を統合したパフォーマンス・レベルの評価が必要であることから、すべての資質・能力に対して「臨地実習時点の
指導体制と委託の程度」を示している。
【引用文献】
1)
Frank, J. R., Mungroo, R., Ahmad, Y., Wang, M., De Rossi, S., & Horsley, T. (2010).
Toward a definition of competency-based education in medicine: a systematic review of
published definitions. Medical teacher, 32(8), 631-637.
2)
Miller, G. E. (1990). The assessment of clinical skills/competence/performance.
Academic medicine, 65(9), S63-7. https://doi.org/10.1097/00001888-199009000-00045
3)
大西弘高. (2017). 学習者評価とコンピテンシー基盤型教育. 医療職の能力開発, 4, 21-28.
4)
Ten Cate, O., Chen, H. C., Hoff, R. G., Peters, H., Bok, H., & van der Schaaf, M. (2015).
Curriculum development for the workplace using entrustable professional activities
(EPAs): AMEE guide no. 99. Medical teacher, 37(11), 983-1002.
5)
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training. Medical education, 39(12). doi: 10.1111/j.1365-2929.2005.02341.x.
6)
Hennus, M. P., Jarrett, J. B., Taylor, D. R., & Ten Cate, O. (2023). Twelve tips to develop
entrustable professional activities. Medical Teacher, 45(7), 701-707. doi:
10.1080/0142159X.2023.2197137.
7) Ten Cate, O. (2014). What entrustable professional activities add to a competency-based
curriculum. Academic Medicine, 89(4), 691.
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