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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (30 ページ)
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公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》 |
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用、④コンピテンシーに基づくアウトカム設定、⑤資質・能力、学修目標、卒業時点・各領域実習前時点
の到達度、臨地実習時点の指導体制と委託の程度、ブループリント、教育内容の考え方について説明
する。
①コンピテンシー基盤型教育の考え方
「コンピテンシー」は 21 世紀前半の世界的な教育改革を牽引してきた概念の 1 つであり、1999 年
から 2002 年にかけて OECD は DeSeCo(Definition and Selection of Competencies)
プロジェクト 1)において、「コンピテンスとは、『ある特定の文脈における複雑な要求に対し、心理社会
的な前提条件(認知的側面・非認知的側面の両方を含む)の結集(mobilization)を通じてうまく対
応する能力』」2)とし、「キー・コンピテンシー」3)を策定した。プロジェクトにおける能力とは「関係の中で
現出するものでありつつ、個人に所有されるものでもある」と定義され、国際的な教育政策で用いられ
てきた。OECD のキー・コンピテンシーの発出とほぼ同時期に、世界の国々は独自の資質・能力の構
成要素を設けコンピテンシー基盤型カリキュラムの作成など教育改革を次々と打ち出した4)。米国は
「21 世紀型スキル」5)という名称で、イギリスでは「キースキルから知識への振り戻し」6)という名称で
展開していった。
日本の初等・中等教育では、1996 年 7 月の中央教育審議会答申においては「生きる力」すなわち
「自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」7)の育成が新し
い学校教育の在り方として提示され、1998 年版以降の学習指導要領改訂にも影響を与えた。2017
年版学習指導要領においては新しい時代に必要となる「資質・能力」の育成は、「知識・技能」の習得、
「思考力・判断力・表現力等」の育成、「学びに向かう力・人間性等」の涵養という 3 本の柱で定義づけ
られ、各教科指導に組み込まれ、教育政策は、「資質・能力」を念頭に置いたカリキュラム開発の動きと
なった。
続く 2018 年(平成 30 年)11 月に報告された「2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答
申)」8)では、同年に誕生したこどもが大学を卒業する年として 2040 年を設定し、高等教育と社会と
の関係を整理した上で、卒業時点でどういった能力を有していることが期待されるかという人材像と、
これを育成するための高等教育の役割及び体制などを述べた。グランドデザインでは、2040 年に向
け必要とされる人材像として、普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身につけた人材、そ
して、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、論理的思考力を持って社会を改善していく資質を
有する人材と述べ、そのために、高等教育は学修者本位の教育へ転換していくことを目指すべきとし
た。
2022 年(令和4年)には、内閣総理大臣を議長とする教育未来創造会議が開催され、「我が国の未
来をけん引する大学等と社会の在り方について」の第一次提言がなされた 9) 。この提言では、日本の
社会と個人の未来は教育にあり、人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成にお
いても実現することを基本理念とし、目指したい未来を支える人材像を、自分自身で課題を設定して、
多様な人とコミュニケーションをとりながら、新たな価値やビジョンを創造し、社会課題の解決を図って
いく人材と表している。
このような背景を受けて高等教育でも、医療専門職教育課程中心にコンピテンシー基盤型教育は
現代教育に浸透した。コンピテンシー基盤型教育ではコンピテンシーならびにアウトカムとなる学修成
果が重視され、教育機関がアウトカムを設定することで、学生を一定の資質・能力(コンピテンシー)を
持つ医療専門職として育成する。チューニング・プロジェクト 10)でも、各国の大学がカリキュラムを調
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の到達度、臨地実習時点の指導体制と委託の程度、ブループリント、教育内容の考え方について説明
する。
①コンピテンシー基盤型教育の考え方
「コンピテンシー」は 21 世紀前半の世界的な教育改革を牽引してきた概念の 1 つであり、1999 年
から 2002 年にかけて OECD は DeSeCo(Definition and Selection of Competencies)
プロジェクト 1)において、「コンピテンスとは、『ある特定の文脈における複雑な要求に対し、心理社会
的な前提条件(認知的側面・非認知的側面の両方を含む)の結集(mobilization)を通じてうまく対
応する能力』」2)とし、「キー・コンピテンシー」3)を策定した。プロジェクトにおける能力とは「関係の中で
現出するものでありつつ、個人に所有されるものでもある」と定義され、国際的な教育政策で用いられ
てきた。OECD のキー・コンピテンシーの発出とほぼ同時期に、世界の国々は独自の資質・能力の構
成要素を設けコンピテンシー基盤型カリキュラムの作成など教育改革を次々と打ち出した4)。米国は
「21 世紀型スキル」5)という名称で、イギリスでは「キースキルから知識への振り戻し」6)という名称で
展開していった。
日本の初等・中等教育では、1996 年 7 月の中央教育審議会答申においては「生きる力」すなわち
「自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」7)の育成が新し
い学校教育の在り方として提示され、1998 年版以降の学習指導要領改訂にも影響を与えた。2017
年版学習指導要領においては新しい時代に必要となる「資質・能力」の育成は、「知識・技能」の習得、
「思考力・判断力・表現力等」の育成、「学びに向かう力・人間性等」の涵養という 3 本の柱で定義づけ
られ、各教科指導に組み込まれ、教育政策は、「資質・能力」を念頭に置いたカリキュラム開発の動きと
なった。
続く 2018 年(平成 30 年)11 月に報告された「2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答
申)」8)では、同年に誕生したこどもが大学を卒業する年として 2040 年を設定し、高等教育と社会と
の関係を整理した上で、卒業時点でどういった能力を有していることが期待されるかという人材像と、
これを育成するための高等教育の役割及び体制などを述べた。グランドデザインでは、2040 年に向
け必要とされる人材像として、普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身につけた人材、そ
して、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、論理的思考力を持って社会を改善していく資質を
有する人材と述べ、そのために、高等教育は学修者本位の教育へ転換していくことを目指すべきとし
た。
2022 年(令和4年)には、内閣総理大臣を議長とする教育未来創造会議が開催され、「我が国の未
来をけん引する大学等と社会の在り方について」の第一次提言がなされた 9) 。この提言では、日本の
社会と個人の未来は教育にあり、人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成にお
いても実現することを基本理念とし、目指したい未来を支える人材像を、自分自身で課題を設定して、
多様な人とコミュニケーションをとりながら、新たな価値やビジョンを創造し、社会課題の解決を図って
いく人材と表している。
このような背景を受けて高等教育でも、医療専門職教育課程中心にコンピテンシー基盤型教育は
現代教育に浸透した。コンピテンシー基盤型教育ではコンピテンシーならびにアウトカムとなる学修成
果が重視され、教育機関がアウトカムを設定することで、学生を一定の資質・能力(コンピテンシー)を
持つ医療専門職として育成する。チューニング・プロジェクト 10)でも、各国の大学がカリキュラムを調
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