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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (33 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》
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2001 年に出された Anderson & Krathwohl らの改訂版タキソノミー 3)(認知的領域を知識と認
知過程の二次元構造で把握 4))と三重モデルの 3 つの要素とは 区分けの仕方は異なるが、カバーし
ようとしている範囲は重なっている。また、「対象世界との関係」「他者との関係」「自己との関係」という
3 つの関係性によって捉えられ、要求・課題に対応する行為とその省察によって、たえず作りかえられ
る。さらに 3 つの層として、コンピテンシーは、その内的な構成要素である「知識、スキル、態度・価値観
の層」、 それらを結集した「コンピテンシー(狭義)の層」、個人と対象世界・他者との接面である「行為
と省察の層」から成り立つ。すなわち、三重モデルでは、資質・能力を育てる関係性を反映しコンピテン
シーは、抽象的かつ一般化された内的リソースに加え、具体的な対象世界における実践知の必要性が
明言化されている。また、松下 1)は、思考や判断や表現のためには、知識もスキルも態度・価値観も必
要であり、それらを結集して行われるはずであり、「思考力・判断力・表現力」は、三重モデルでいえば
第二の層の狭義の「コンピテンシー」に位置づくものであると述べている。
松下 5)の提案は、文部科学省「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に
関する検討会」や中央教育審議会大学分科会教学マネジメント特別委員会「学習成果とその可視化」
6)

でも報告されている。松下の新しい能力による教育の変容 7)、日本の大学における能力ベース教育

の展開と課題 7)などは、日本の文部科学省の初等中等教育、高等教育の新しい能力や直接評価・間
接評価でも活用されているものであり、医学・薬学・歯学教育でも、フレームワークやモデル、直接評
価・間接評価などを活用した教育評価もすでに実施されている 8)9)10)。また、三重モデルの「行為と省
察」に関する認識を「信頼とその根拠」という捉え方により、評価の規準/基準およびコンピテンシーを
「信頼」という形で表現し、EPA(Entrustable Professional Activities)と複数のコンピテンシー
を関連付けた。医療専門職のコンピテンシー基盤型教育では、EPA は重要な役割を果たしている 11)
12)

。また、コンピテンシー基盤型教育では、OECD コンピテンシーで示されるように現実世界の課題に

対して、知識、スキル、態度・価値観を結集・統合させて取り組むための能力、AAC&U の
Essential Learning Outcomes13)でも示されるような現代的で永続的な「重大な問い」に取り組
む統合的な学修を重視している。
以上より、松下の三重モデルは、従来の多様なコンピテンシーや資質・能力の理論・モデルを内包
し、統合したモデルとして示唆される。さらに、臨地実習など実践の場での資質・能力の育成とカリキュ
ラムの策定が重要視される看護学士課程教育において、三重モデルは他者や対象世界と関わる実践
知と自己の内的リソースとを結合して論じる枠組みを提供する。看護学教育モデル・コア・カリキュラム
改訂案では、三重モデルで示された「行為と省察」の次元で看護職の業務を理解し、知識、スキル、態
度・価値観などの内的リソースと統合させて、看護職のコンピテンシーを捉えることが必須となる。つま
り、三重モデルの知識、スキル、態度・価値観に従来の思考・判断・表現が含まれており、行為と省察、
要求・課題が紐づいていた形で看護職のコンピテンシーが成り立つ。
コンピテンシー基盤型教育において、知識・スキル・態度・価値観の要素を普遍的に言語化された
「第1・4階層の資質・能力」と「第 2・3 階層の構成要素」、実践の場でのより具体的な要求課題として
表される「第4階層に対する卒業時点・各領域実習前時点の到達度」と「第4階層に対する臨地実習時
点での指導体制と委託の程度」、コンピテンシーを身につけるうえで必要な知識やスキルとなる「教育
内容」を接続することで松下のコンピテンシーの三重モデルに基づくコンピテンシー基盤型教育の実現
が可能となる。
【引用文献】
1)
松下佳代. (2021). 教育におけるコンピテンシーとは何か−その本質的特徴と三重モデル. 京都大学高等教育

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