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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (40 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》
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加えて、教育内容に関しても同様のことが言える。従来の科目に今回の教育内容を当てはめ、例え
ば、専門基礎分野などの科目に今回の教育内容を対応させる学修を計画すると、一見、スコープ(学
修内容を選択する基準となる領域又は範囲)が広がったように見える。しかし、実践で獲得できるコン
ピテンシーを見据えて、科目の教育内容を確定することができれば、臨地実習での実践やシミュレー
ションなどの模擬的環境下での実践の学修機会は、多くの教育内容が網羅されていることが分かる。
そのため、スコープが極端に広がったわけではないことが分かる。
働き方改革、タスクシフト・シェアの推進など、社会のニーズが変化する中で、これらの資質・能力や
教育内容が看護学士課程教育で網羅されないならば、前述したような看護師の離職、臨地実習にお
ける看護実践の機会の低下 1)とそれによる看護実践能力の低下 2)、及び実践能力の評価基準や継続
的な評価の欠如などにつながる。今回の看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案で示された資
質・能力も教育内容も、看護系人材として現代社会が求めている内容であり、両者が融合した形で各
大学がコンピテンシー基盤型カリキュラムを作成・実施・評価することが、社会や国民に対する看護学
教育の質保証になる。
「卒業時点・各領域実習前時点の到達度」「臨地実習時点の指導体制と委託の程度」に関しても同
様である。前述したように卒業時点の到達度は、看護学士課程教育における学生の資質・能力の到達
度を示すものであり、さらに臨床現場の看護師の資質・能力へシームレスにつなぐものである。この到
達度を明示することによって看護系人材の能力を臨床現場、社会及び国民と共通認識化することがで
き、卒業後の看護師の継続教育に連携することが容易となり、看護学基礎教育の質保証となりうる。
一方で臨地実習前時点での到達度は、各大学のシークエンス(どのような順序でカリキュラムを編
成するか)に一見制限がかかるように見えるかもしれない。しかし、学生・教職員・臨地実習施設との共
通認識、学修機会の体系化、支援体制の構築により、臨地実習前時点での到達度、臨地実習時点の
到達度、卒業時点での到達度等、段階を踏まえた学修計画に基づき、看護学生のコンピテンシーを効
果的に育成する視点が重要である。各大学が看護学基礎教育課程における独自のカリキュラムやスコ
ープやシークエンスを採用しつつも、共通認識化のための看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂
案の到達度ならびに指導体制と委託の程度を活用することが期待される。
改訂案作成の調査では、看護学基礎教育における卒業時点でどのような実践の到達を期待してい
るかについては、看護学基礎教育ならびに継続教育において共通認識を持っていることが明らかにな
った。一方で、最初の調査では、特にCS(患者ケアのための臨床スキル)などの実践を求める資質・能
力では、両者の臨地実習前時点の到達度の認識に多くのずれが生じていた。看護学教育モデル・コ
ア・カリキュラム改訂案の到達度を活用することは、「臨地実習で看護学生にどのような実践が期待さ
れるか?」の共通認識の促進につながる。各大学では、「看護学生に期待される実践を教員や実習施
設や対象者とどのように共通認識を持つか?」、「共通認識を持つためにはどのような支援が必要
か?」を検討し、看護実践能力獲得に直結する臨地実習での看護実践の質保証と実践の機会を確保
することが重要である。「臨地実習前時点での到達度」ならびに「指導体制と委託の程度」の臨地実習
施設との共通認識化は、複数の教育機関の実習を受け入れている臨地実習施設の人材・時間・指導
の負担の軽減、効果的な指導体制や指導内容、教員と実習指導者との効果的な連携につながるため、
到達度を活用した実践とカリキュラム評価が期待される。
「ブループリント」に関しても同様の考え方である。厚生労働省医道審議会医師分科会医学生共用
試験部会の共用試験実施評価機構と共用試験 3)では、臨床実習前の共用試験(CBT&OSCE)に対
するモデル・コア・カリキュラムによる CBT 出題範囲の調整、ブループリントによる出題割合・難易度

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