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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》 |
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4-2.臨地実習指導体制の課題
文部科学省の「大学における医療人養成の在り方に関する調査研究委託事業」(2015~2017 年
度(平成 27~29 年度))による「看護系大学学士課程の臨地実習とその基準作成に関する調査研
究」33)(JANPU)において、大学と実習施設における連携・協働体制の構築について参照基準が示さ
れた。この中で確認されたことは、臨地実習は、大学教員、実習施設の指導者、学習する学生により成
立する教授学習過程であり、大学の教育と実習施設の連携と協働が基盤となっているということであ
る。
上記基準は文部科学省が 2019 年(令和元年)に開催した専門家委員会「大学における看護系人
材養成の在り方に関する検討会」にて報告され、第 2 次報告で看護学教育コアカリに付随する「看護
学実習ガイドライン」30)として発出された。しかし、連携の具体的方法は各大学に委ねられているのが
現状である。さらに、教員は、所属していない臨地実習施設であっても、学生指導に伴い看護行為を
実施している。看護師免許を有するため、保助看法に抵触することはないものの、教員が行う看護行
為は、大学と実習施設間の臨地実習に関する契約書及び患者・利用者からの同意書のみに依拠して
いる。契約書に実習中の大学教員の立場や責任の記述が十分ではない場合や、同意書を大学教員と
対象者間で得ている場合もあり、実習施設における大学教員の責任の所在が不明瞭であることが懸
念される。
看護学教育の質保証の観点としては、臨地実習における教育体制や指導体制の確保、さらには看
護学生の実践能力を評価する評価者の確保の課題がある。
4-3.参加型臨地実習への期待
現行の臨地実習において、学生が看護行為を実習できていない状況から、看護実践能力の向上を
目指して、参加型臨地実習の実現が望まれる。参加型臨地実習を「臨地の指導者による指導の下、医
療チームの一員として、一定の役割と責任を担いながら知識・思考法・スキル・態度を学ぶ」と想定し、
それを可能にするためには、「学生の臨地実習前段階の学修成果の到達度の明示」と「臨地実習指導
者の指導体制の確保」、の二つの視点が必要となる。
まず、学生のアウトカムとしての学修成果の到達度を明示するためには、新人看護師を到達とした
各段階の到達度が含まれた看護実践能力評価基準から測定・分析までの一貫性ある教育と評価の仕
組みを作成することである。つまり、臨地実習前・中・後、そして卒業時点を踏まえた継続評価できる評
価方法・基準を作ることが重要である。アウトカムの設定として評価基準、評価項目、達成水準、測定
ツールを明確にする必要があり、評価のために CBT と OSCE の開発・試行に取り組み、これらをシ
ステムとして機能させる必要がある。
次に、参加型臨地実習における看護学生による看護行為の実施は、実習指導者又は教員の指導・
監視が必須の条件である。看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインでは、実習指導者は実習
指導者講習会を受けることが定められているが、大学の実習における実習指導者には研修受講等の
基準はなく、各実習施設にゆだねられている。臨地実習指導者の指導体制の確保のためには、臨地実
習指導者の教育者としてのコンピテンシーを評価・保証する仕組み、臨地実習指導者の能力を保証す
る仕組みが必須である。このような臨地実習指導者の設置義務化の提案は、JANPU の「新たな感染
症の時代の看護学教育検討特別ワーキング 2021 年度答申書」34)にも記載されており、早急な対応
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文部科学省の「大学における医療人養成の在り方に関する調査研究委託事業」(2015~2017 年
度(平成 27~29 年度))による「看護系大学学士課程の臨地実習とその基準作成に関する調査研
究」33)(JANPU)において、大学と実習施設における連携・協働体制の構築について参照基準が示さ
れた。この中で確認されたことは、臨地実習は、大学教員、実習施設の指導者、学習する学生により成
立する教授学習過程であり、大学の教育と実習施設の連携と協働が基盤となっているということであ
る。
上記基準は文部科学省が 2019 年(令和元年)に開催した専門家委員会「大学における看護系人
材養成の在り方に関する検討会」にて報告され、第 2 次報告で看護学教育コアカリに付随する「看護
学実習ガイドライン」30)として発出された。しかし、連携の具体的方法は各大学に委ねられているのが
現状である。さらに、教員は、所属していない臨地実習施設であっても、学生指導に伴い看護行為を
実施している。看護師免許を有するため、保助看法に抵触することはないものの、教員が行う看護行
為は、大学と実習施設間の臨地実習に関する契約書及び患者・利用者からの同意書のみに依拠して
いる。契約書に実習中の大学教員の立場や責任の記述が十分ではない場合や、同意書を大学教員と
対象者間で得ている場合もあり、実習施設における大学教員の責任の所在が不明瞭であることが懸
念される。
看護学教育の質保証の観点としては、臨地実習における教育体制や指導体制の確保、さらには看
護学生の実践能力を評価する評価者の確保の課題がある。
4-3.参加型臨地実習への期待
現行の臨地実習において、学生が看護行為を実習できていない状況から、看護実践能力の向上を
目指して、参加型臨地実習の実現が望まれる。参加型臨地実習を「臨地の指導者による指導の下、医
療チームの一員として、一定の役割と責任を担いながら知識・思考法・スキル・態度を学ぶ」と想定し、
それを可能にするためには、「学生の臨地実習前段階の学修成果の到達度の明示」と「臨地実習指導
者の指導体制の確保」、の二つの視点が必要となる。
まず、学生のアウトカムとしての学修成果の到達度を明示するためには、新人看護師を到達とした
各段階の到達度が含まれた看護実践能力評価基準から測定・分析までの一貫性ある教育と評価の仕
組みを作成することである。つまり、臨地実習前・中・後、そして卒業時点を踏まえた継続評価できる評
価方法・基準を作ることが重要である。アウトカムの設定として評価基準、評価項目、達成水準、測定
ツールを明確にする必要があり、評価のために CBT と OSCE の開発・試行に取り組み、これらをシ
ステムとして機能させる必要がある。
次に、参加型臨地実習における看護学生による看護行為の実施は、実習指導者又は教員の指導・
監視が必須の条件である。看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインでは、実習指導者は実習
指導者講習会を受けることが定められているが、大学の実習における実習指導者には研修受講等の
基準はなく、各実習施設にゆだねられている。臨地実習指導者の指導体制の確保のためには、臨地実
習指導者の教育者としてのコンピテンシーを評価・保証する仕組み、臨地実習指導者の能力を保証す
る仕組みが必須である。このような臨地実習指導者の設置義務化の提案は、JANPU の「新たな感染
症の時代の看護学教育検討特別ワーキング 2021 年度答申書」34)にも記載されており、早急な対応
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