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資料1-1 看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案(本文) (5 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00005.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第4回 8/6)《文部科学省》
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ンシー)の明示と到達度評価を強化することの指摘であり、コンピテンシー基盤型教育を意味するもの
であった。

2-2.看護学におけるコンピテンシー基盤型教育への潮流
文部科学省に設置された「看護学教育の在り方に関する検討会」(第一次検討会)は 2002 年(平
成 14 年)3 月に「大学における看護実践能力の育成の充実に向けて」14)を報告し、「看護実践を支え
る技術学習項目」を提示した。さらに、今後の課題として①学士課程全体を視野に入れたコア・カリキ
ュラムの検討、②学生の看護実践能力の質を保証する仕組みづくりの検討、③実習受入施設との連
携の充実と教育の基盤づくり、が提起された。2003 年度(平成 15 年度)には看護系大学は 104 校
となり、看護学教育の在り方に関する検討会(第二次検討会)として発足し、2004 年(平成 16 年)3
月に「看護実践能力育成の充実に向けた大学卒業時の到達目標」15)を報告した。
平成 22 年度先導的大学改革推進委託事業として、日本看護系大学協議会(以下、「JANPU」と
いう。)は、2011 年(平成 23 年)に「看護系大学におけるモデル・コア・カリキュラム導入に関する調査
研究報告書」(以下、「平成 23 年報告書」という。)16)を答申した。学士課程におけるコアとなる看護実
践能力を基盤とする教育として、先の第二次検討会報告(2004 年)を精緻化し、5 つの実践能力(Ⅰ
ヒューマンケアの基本に関する実践能力、Ⅱ根拠に基づき看護を計画的に実践する能力、Ⅲ特定の健
康課題に対応する実践能力、Ⅳケア環境とチーム体制整備に関する実践能力、Ⅴ専門職者として研鑽
し続ける基本能力)と 20 のサブ能力項目が提案された。この報告書は、看護学教育におけるコンピテ
ンシー基盤型教育の礎になる報告書であった。しかし、看護系大学の増加による教員の異動と教育水
準の維持、大学の理念と目標を踏まえた組織的な教育の実施、学部教育と卒業後の看護実践の乖離
解消、根拠に基づいた看護実践能力の向上といった課題は、依然として指摘されていた。
2018 年(平成 30 年)、JANPU は、新たに実践能力「Ⅰ対象となる人を全人的に捉える基本能
力」を加え、6 群 25 項目のコアコンピテンシーを提案し「看護学士課程教育におけるコアコンピテンシ
ーと卒業時の到達目標」17)を発刊した。
国外では、The Essentials: Core Competencies for Professional Nursing
Education18)が American Association of Colleges Nursing (AACN)によって 2021 年
に発刊された。ここでは、学問としての看護学が強調され、高等教育におけるリベラル教育と看護学教
育の融合が提案されている。さらに、コンピテンシー基盤型教育を大きく打ち出したことは特記すべき
ことである。
これまでの看護学教育は、コンテンツ基盤型教育を基本にしたカリキュラム構成によって教育の質を
保証してきた。さらに、社会は卒業時の能力の保証を求め、看護学教育はコンピテンシー基盤型教育
への転換が求められている。しかし、学ぶべき知識を系統的に整理した内容(コンテンツ)が重視され
た伝統的枠組みを、コンピテンシー基盤型の枠組みに完全に転換させることは難渋なことである。何よ
りも資質・能力の育成には、知識の質と量が必然であることを忘れてはならず、コンテンツとコンピテン
シーの関係を明確にし、様々な教育手法を駆使して、コンピテンシー基盤型への転換を行うことが大
切であろう 19-24)。

2-3.看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の意義
2011 年以降、地域包括ケアシステムの構築、チーム医療の推進、医療安全などの医療提供体制が

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