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第2章 こどもの自殺の状況と対策 本文 (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2024.html |
出典情報 | 令和6年版自殺対策白書(10/29)《厚生労働省》 |
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COLUMN 2
チャイルドラインに寄せられる
こどもの声からの希死念慮についての考察
(認定NPO法人チャイルドライン支援センター 事務局長 向井晶子)
はじめに~チャイルドラインのこども観~安心できる居場所であるために
チャイルドラインは子どもの権利条約の理念に基づいた「こどもはおとなと同様の権利を持ち、
おとなと対等で主体的な存在であり、自分で解決する力を持っている」というこども観の下、18歳
までのこどもを対象に、電話やチャットで気持ちを聴き、寄り添い、更に一緒に考えることで、こ
どもが自分自身で考え、決めていくことをサポートしています。匿名で相談できることで、こども
が困っているけれど親や先生には知られたくないことを話すことができます。自分の気持ちを否定
されず受け止めてもらうことで、自己肯定感が育まれ、自死を回避できるとも考えています。
第2章
「死にたい」と言われたら…
こどもの自殺の状況と対策
電話やチャットという顔の見えない関係性の中で「死にたい」と言われたとき、対応者である
「受け手」は焦ります。まずは「死にたいほどつらい」という気持ちを受け止めます。そして、発せ
られた「死にたい」の緊急度や安全を確認しながら「なぜそう思うのか」「何があったのか」などを
先走ることなく聴いていきます。
「希死念慮」を抱えている通話は、少し長い傾向にあります。会話成立の平均通話時間が18分2
秒であるのに対し、主訴が希死念慮である電話では、28分52秒、主訴は別な話題でも背景に希死
念慮があると考えられる電話では、32分26秒と長くなっています。これは、その心境に至った経
緯を言語化すること、受けられる支援がどこにあるかなどの環境面を探るため、時間をかけて丁寧
に聴いた結果を示しています。
希死念慮・会話成立の平均通話時間比較
(2016-2023年度・電話)
会話成立 n=381,391
18 分 2 秒
28 分 52 秒
希死念慮 n=4,353
32 分 26 秒
背景希死念慮 n=1,719
0
5分
10 分
15 分
20 分
25 分
30 分
35 分
平均時間
資料:チャイルドライン支援センターデータベースより作成
(令和6年3月31日時点の集計)
まずは気持ちを受け止めること、寄り添うこと~こどもがチャイルドラインにつながる
ときの思い(動機)から
事例▶ そんなことで死にたいなんて言うな、とかじゃなくて「がんばったね」
「大丈夫だよ」っ
ていわれたかった。死にたいって思ってしまう自分を認めてくれる人が隣にいてほしい。
受け手が捉えた、こどもがチャイルドラインにつながった動機は、「話を聴いてほしい」が、希死
念慮の電話においても会話成立全体と変わらず8割近くを占めています。注目すべきは「誰かとつ
ながっていたい」という項目で、会話成立全体では4.6%なのに対し、希死念慮の電話では16.6%
と12ポイントの開きがあることです。また逆に「答えが欲しい」は会話成立全体では14.2%に対し
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チャイルドラインに寄せられる
こどもの声からの希死念慮についての考察
(認定NPO法人チャイルドライン支援センター 事務局長 向井晶子)
はじめに~チャイルドラインのこども観~安心できる居場所であるために
チャイルドラインは子どもの権利条約の理念に基づいた「こどもはおとなと同様の権利を持ち、
おとなと対等で主体的な存在であり、自分で解決する力を持っている」というこども観の下、18歳
までのこどもを対象に、電話やチャットで気持ちを聴き、寄り添い、更に一緒に考えることで、こ
どもが自分自身で考え、決めていくことをサポートしています。匿名で相談できることで、こども
が困っているけれど親や先生には知られたくないことを話すことができます。自分の気持ちを否定
されず受け止めてもらうことで、自己肯定感が育まれ、自死を回避できるとも考えています。
第2章
「死にたい」と言われたら…
こどもの自殺の状況と対策
電話やチャットという顔の見えない関係性の中で「死にたい」と言われたとき、対応者である
「受け手」は焦ります。まずは「死にたいほどつらい」という気持ちを受け止めます。そして、発せ
られた「死にたい」の緊急度や安全を確認しながら「なぜそう思うのか」「何があったのか」などを
先走ることなく聴いていきます。
「希死念慮」を抱えている通話は、少し長い傾向にあります。会話成立の平均通話時間が18分2
秒であるのに対し、主訴が希死念慮である電話では、28分52秒、主訴は別な話題でも背景に希死
念慮があると考えられる電話では、32分26秒と長くなっています。これは、その心境に至った経
緯を言語化すること、受けられる支援がどこにあるかなどの環境面を探るため、時間をかけて丁寧
に聴いた結果を示しています。
希死念慮・会話成立の平均通話時間比較
(2016-2023年度・電話)
会話成立 n=381,391
18 分 2 秒
28 分 52 秒
希死念慮 n=4,353
32 分 26 秒
背景希死念慮 n=1,719
0
5分
10 分
15 分
20 分
25 分
30 分
35 分
平均時間
資料:チャイルドライン支援センターデータベースより作成
(令和6年3月31日時点の集計)
まずは気持ちを受け止めること、寄り添うこと~こどもがチャイルドラインにつながる
ときの思い(動機)から
事例▶ そんなことで死にたいなんて言うな、とかじゃなくて「がんばったね」
「大丈夫だよ」っ
ていわれたかった。死にたいって思ってしまう自分を認めてくれる人が隣にいてほしい。
受け手が捉えた、こどもがチャイルドラインにつながった動機は、「話を聴いてほしい」が、希死
念慮の電話においても会話成立全体と変わらず8割近くを占めています。注目すべきは「誰かとつ
ながっていたい」という項目で、会話成立全体では4.6%なのに対し、希死念慮の電話では16.6%
と12ポイントの開きがあることです。また逆に「答えが欲しい」は会話成立全体では14.2%に対し
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