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第2章 こどもの自殺の状況と対策 本文 (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2024.html
出典情報 令和6年版自殺対策白書(10/29)《厚生労働省》
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第2章

●こどもの自殺の状況と対策

COLUMN 3

地方の公認心理師協会が行う、SNS相談の成り立ちと現在
~大分県における若者の自殺予防に対する体制と実際~

(一般社団法人大分県公認心理師協会 事務局長 宗申也)

1. SNS相談開始前

~大分県公認心理師協会とは?~

一般社団法人大分県公認心理師協会(以下、大心協)は、大分県で活躍する公認心理師及び臨床
心理士の職能団体です。大心協では、大分県民の心の健康に寄与するため、所属する会員の研さん
のための研修会の開催、関係機関との連携、各種開催される委員会への参加等の活動をしています。
そのような中、新型コロナウイルス感染症拡大による自殺予防対策として大分県より委託を受け、
SNSを利用した、チャット相談『SNS相談~こころの相談~』を2020年10月より開始しました。
相談の媒介として、SNSを選択した理由は、社会的なスマートフォンの普及に伴う、相談ツールが
変化したことに対応することです。SNSの手軽さが、相談に訪れることへのハードルを低くするこ
とにつながるのではと考えました。

2. SNS相談開始

~大心協が行う遠隔相談の特徴~

開始当初から幅広い年齢層からの相談があり、若者や中~大学生などの相談も多く寄せられてお
ります。学校での人間関係や親との軋轢、恋愛、自身の存在意義など相談内容は様々です。多種多
様な相談に対応するSNS相談を、大心協が行う強みとしては、相談員の臨床力の高さと考えます。
相談員は、大心協の会員であり、病院や施設に所属している方や、スクールカウンセラーとして活
躍している方など、心理支援の専門職として現場経験を積んでいます。それぞれの所属で、こども
や若者の支援にも対応しており、高い相談技術を持ち、かつ関係する制度や仕組みなどにも精通し
ています。相談事業開始の直後は、テキスト形式に戸惑いもみられましたが、大心協が行う遠隔相
談に関する研修会やSNS相談の事例検討会などを通じて、相談員自身が相談技術のアップデートを
常に意識しています。
若者の相談の傾向としては、心情を表現する言語の曖昧さにあります。心も精神も発達途上の彼
らにとって、その揺れ動く気持ちを説明するのはとても難しく、かつテキストでの表現は大変だと
思われます。社会的にもテキストでの表現方法が、手紙からメール、最近ではチャットになり、文
章も短く、単語でのやり取りが成り立つのも背景にあると考えます。そのような若者からの相談で
は、
「もう、いい」「きつい」とだけ呟きのように表現されることも多々あります。また、矢継ぎ早
に自分の気持ちを伝える方や、こちらの質問に長い時間をかけて考え「分からない」と返答する方
など、その表現方法も様々です。そのようなときは、相談員は相手の気持ちを受け止め、理解しよ
うとする姿勢を貫きつつ、相手のテンポに沿って少しずつ事実の確認を行い、話を進めていきます。
時にはテキストの行間や送信のタイミングから、彼らの気持ちをゆっくりひもとき、表現を促して
いくこともあります。

3. SNS相談の舞台裏

~若者につながる広報活動~

SNS相談のシステムの構築に加えて、支援を必要とされる方に届けられるよう、大分県と協力し、
大心協は広報活動を進めていきました。新型コロナウイルス感染症流行時には、小中学校へストレ
スケアの心理教育及び対応策をまとめたものを配るのと同時に、SNS相談のちらしを作成・配布す
るなどの広報に努めました。また自殺対策強化月間の際には、学校や市町村の関係機関、病院など
にポスターを配布・掲示してもらいました。さらに、ポスターを目にすることのない方にも広報が
届くよう、LINEの広告にも掲載するなどのSNSを活用した広報も行いました。LINEを相談の窓口に
することで、相談につながっていない方でも友だち登録をしている人数が把握できるという効果が
あります。2024年3月時点で1,000件近くの友だち登録がされておりますが、登録者にとっては相
談できるツールを『お守り』のように自身のスマホに持っておくことができると感じてもらえてい

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