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第2章 こどもの自殺の状況と対策 本文 (55 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2024.html |
出典情報 | 令和6年版自殺対策白書(10/29)《厚生労働省》 |
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第2章
●こどもの自殺の状況と対策
COLUMN 7
「相談につながら(れ)ない」
こども・若者に対する自殺対策
(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク 情報デザイングループ長 鈴木洋平)
NPO法人自殺対策支援センター ライフリンク(以下「ライフリンク」という。)は、誰も自殺に
追い込まれることのない「生き心地の良い社会」の実現を目指し、これまで20年にわたって、様々
なかたちで自殺対策に取り組んできました。
近年、とりわけ深刻化しているのが、こども・若者の自殺問題です。こどもの年間自殺者数は最
多ペースで高止まりしており、その背後にも「死にたい」「消えたい」と悩み苦しんでいるこども・
若者が大勢いると推測されます。
そうした状況や従来の自殺対策の課題を踏まえ、ライフリンクが2024年の自殺対策強化月間(3
月1日)に創設したのが、『かくれてしまえばいいのです』です。
『かくれてしまえばいいのです』は、生きるのがしんどいと感じているこども・若者のためのWeb
空間です。厚生労働省の補助事業として、コンセプト策定や全体の世界観・コンテンツ制作には、
絵本作家のヨシタケシンスケ氏に全面協力をいただきました。
公開後1か月のアクセス数は200万回超、その後も毎日およそ5万回のアクセスが続くなど、生
きづらさを抱えるこども・若者にとっての新たな居場所として、少しずつ広がっている実感を得て
います。
1)「相談につながら(れ)ない」こども・若者たちの存在
こども・若者の自殺対策として、これまでにも様々な取組がなされてきました。しかしながら、
従来の自殺対策や既存の支援の枠組みでは、アウトリーチできない人も少なくないことが分かって
います。そこには大きく2つの課題があると考えられます。
・パンク状態にある相談現場の現状
主にこども・若者に向けたSNS相談窓口がいくつかの団体・組織によって設置されていますが、
相談員の不足や個々の相談対応には一定の時間を要することから軒並みパンク状態です。ライフリ
ンクが運営するSNS相談窓口も、毎月1万人前後からの相談があるものの、その3~4割ほどにし
か対応できていないのが実情です。
・「相談すること」への心理的なハードル
また、そもそも「相談すること」に抵抗感を持つこども・若者も少なくありません。「相談したく
ない」
「相談することが苦手」「相談しづらい」「相談するほどでもない」など、様々なハードルを感
じている人がいます。
こうした「相談につながら(れ)ない」こども・若者に対し、従来とは違うかたちでの受け皿を
つくることは、自殺対策における喫緊の課題となっていました。そこで、匿名・無料で24時間いつ
でも誰でも利用できる居場所空間をつくろうと、『かくれてしまえばいいのです』を創設しました。
2) こども・若者にとって心地よい“居場所”になることを目指して
『かくれてしまえばいいのです』は、「死にたい」気持ちを抱えながら安心して過ごすことを通じ
て、逆説的ですが、「生きていていいのかも」と思ってもらうことを目指しています。
「死にたい」気持ちを抱えながら安心して過ごせる空間となるよう、「かくれる」だけで自身が肯
定されるような世界観をつくり、また万が一にも自殺の誘引情報が表示されない設計・運用をする
など、リスクや安全性を考慮して開発しています。
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●こどもの自殺の状況と対策
COLUMN 7
「相談につながら(れ)ない」
こども・若者に対する自殺対策
(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク 情報デザイングループ長 鈴木洋平)
NPO法人自殺対策支援センター ライフリンク(以下「ライフリンク」という。)は、誰も自殺に
追い込まれることのない「生き心地の良い社会」の実現を目指し、これまで20年にわたって、様々
なかたちで自殺対策に取り組んできました。
近年、とりわけ深刻化しているのが、こども・若者の自殺問題です。こどもの年間自殺者数は最
多ペースで高止まりしており、その背後にも「死にたい」「消えたい」と悩み苦しんでいるこども・
若者が大勢いると推測されます。
そうした状況や従来の自殺対策の課題を踏まえ、ライフリンクが2024年の自殺対策強化月間(3
月1日)に創設したのが、『かくれてしまえばいいのです』です。
『かくれてしまえばいいのです』は、生きるのがしんどいと感じているこども・若者のためのWeb
空間です。厚生労働省の補助事業として、コンセプト策定や全体の世界観・コンテンツ制作には、
絵本作家のヨシタケシンスケ氏に全面協力をいただきました。
公開後1か月のアクセス数は200万回超、その後も毎日およそ5万回のアクセスが続くなど、生
きづらさを抱えるこども・若者にとっての新たな居場所として、少しずつ広がっている実感を得て
います。
1)「相談につながら(れ)ない」こども・若者たちの存在
こども・若者の自殺対策として、これまでにも様々な取組がなされてきました。しかしながら、
従来の自殺対策や既存の支援の枠組みでは、アウトリーチできない人も少なくないことが分かって
います。そこには大きく2つの課題があると考えられます。
・パンク状態にある相談現場の現状
主にこども・若者に向けたSNS相談窓口がいくつかの団体・組織によって設置されていますが、
相談員の不足や個々の相談対応には一定の時間を要することから軒並みパンク状態です。ライフリ
ンクが運営するSNS相談窓口も、毎月1万人前後からの相談があるものの、その3~4割ほどにし
か対応できていないのが実情です。
・「相談すること」への心理的なハードル
また、そもそも「相談すること」に抵抗感を持つこども・若者も少なくありません。「相談したく
ない」
「相談することが苦手」「相談しづらい」「相談するほどでもない」など、様々なハードルを感
じている人がいます。
こうした「相談につながら(れ)ない」こども・若者に対し、従来とは違うかたちでの受け皿を
つくることは、自殺対策における喫緊の課題となっていました。そこで、匿名・無料で24時間いつ
でも誰でも利用できる居場所空間をつくろうと、『かくれてしまえばいいのです』を創設しました。
2) こども・若者にとって心地よい“居場所”になることを目指して
『かくれてしまえばいいのです』は、「死にたい」気持ちを抱えながら安心して過ごすことを通じ
て、逆説的ですが、「生きていていいのかも」と思ってもらうことを目指しています。
「死にたい」気持ちを抱えながら安心して過ごせる空間となるよう、「かくれる」だけで自身が肯
定されるような世界観をつくり、また万が一にも自殺の誘引情報が表示されない設計・運用をする
など、リスクや安全性を考慮して開発しています。
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