よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


第2章 こどもの自殺の状況と対策 本文 (57 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2024.html
出典情報 令和6年版自殺対策白書(10/29)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第2章

●こどもの自殺の状況と対策

COLUMN 8

自殺等の未然防止とこどもたちのWell-beingに向けて
~1人1台端末とGoogle Looker Studioを活用した取組~
(埼玉県久喜市教育委員会教育部指導課 主幹兼室長 山本純)

【久喜市における取組の概要】

久喜市では、国のGIGAスクール構想に基づき、市内小・中学校全ての児童生徒に学習者用端末
が配備されている。クラウド活用を基盤とした学びの変革や、校務DXの推進により、学校の授業風
景だけでなく教職員の働き方改革につながる取組も進められている。
ICT教育環境の整備が進むことで、こどもたちの学びの質の向上も期待される。特に、クラウド
上に蓄積される学習データも活用し、こどもたち一人一人の指導や支援に生かすことは、一人一人
のこどもを主語とする「個別最適な学び」の実現に向けた重要な視点になっている。
「個別最適な学び」の実現のためには、こどもたちにとって居心地よく、一人一人が力を伸ばすこ
とができる学級作りが重要である。久喜市では、学習者用端末に搭載されたGoogleプラットフォー
ムを活用して、こどもたちにフォームによるアンケートに回答してもらうことで、こどもたちの
「今」の気持ちや心のサインをキャッチする取組を進めている。回答をGoogle Looker Studioを活
用したダッシュボードに視覚的に表示することで、いじめの兆候やこどもたちの心理的な変化にい
ち早く気付くことができ、迅速な情報共有と解決に向けた対応につながることが期待される。

【ダッシュボードを活用するメリット】

従来、紙などで行っていたアンケートでは、学校規模の違いはあれど、担任教諭が生徒指導担当
教諭や管理職等とチームで対応するために、組織内の情報共有に時間がかかることも珍しくなく、
対応策を講じるまでに時間がかかる場合もあった。
回答がダッシュボード上にすぐに可視化されることで、「問題やトラブルの早期発見」「校内教職
員がすぐに結果を確認できることによる迅速な情報共有」
「対応策を話し合う時間の効率化」
「情報が
可視化されることで、担任教諭が一人で抱え込まずチームでサポートし合う教職員間の心理的な連
携強化」等のメリットが表れてきている。

【現時点での成果と今後の課題】

具体の支援や対応策につなげることで、こどもたち一人一人の心理的安全の確保や、迅速な対応、
解決による家庭との信頼関係強化への寄与、重大なトラブルにつながりかねない問題の未然防止等
だけでなく、教職員同士でサポートし合う心理的安全が確保された職場環境の構築にも寄与してい
る副次的な効果が成果として挙げられている。
一方で、あくまでも一つのツールとして、教職員の経験や日頃の観察に加え、こどもたちの回答
結果もエビデンスとして加え、対応につなげ解決を図ることが重要である。
今後は、本ツールも活用し、学校内だけでなく、教育委員会内の担当部署とも情報を迅速に共有
し、連携を更に図りやすくすることも期待される。
そのためにも、多様な視点と児童生徒の理解を基にした対応を通し、クラウドツールの活用を含
めた持続的な改善を通し、こどもたち一人一人のWell-beingの向上と充実した学校生活が送れるよ
う取組を進めていく。

102