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第2章 こどもの自殺の状況と対策 本文 (36 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2024.html |
出典情報 | 令和6年版自殺対策白書(10/29)《厚生労働省》 |
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COLUMN 5
自傷・自殺未遂レジストリ
(JAPAN Registry of Self-harm and Suicide Attempts)
の若年症例の概況について
(一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター(厚生労働大臣指定調査研究等法人) 自殺総合対策部 自殺未遂者支援室長 青木藍(執筆当時))
事業紹介
第2章
自殺未遂は自殺の最大のリスク因子である。日本臨床救急医学会といのち支える自殺対策推進セ
ンターは、2022年12月に、救命救急センターを対象とした自傷・自殺未遂者の登録システムであ
る自傷・自殺未遂レジストリ(JAPAN Registry of Self-harm and Suicide Attempts、以下「JARSA」という。)の運用を開始した。JA-RSAは自傷・自殺未遂の頻度、症例の背景、手法などの変
遷を把握し、自殺対策に貢献していくことを目的としている。2024年5月31日までに全国57の救
命救急センターの参加を得ており、2023年12月31日までに自傷・自殺未遂で受診した症例の登録
は1987件に上る。大部分が救急搬送症例である。うち194件が18歳以下の若年者であった。その
概況を報告する。収集されたデータは通常の救急診療の中で取得された情報であり、個人情報は含
まない。
こどもの自殺の状況と対策
18歳以下の症例の概要
18歳以下の症例194件のうち、12歳以下が9件、13-15歳が69件、16-18歳が116件であった。
18歳以下の症例グループのうち146件(75.3%、以下本報告における割合は有効な回答があった場
合に占める割合)が女性であり、手段としては、過量服薬が最も多く128件(66.7%)であり、次
いで飛び降りが35件(18.2%)であった。受診後1か月以内の死亡で定義した自殺既遂は14件
(7.3%)であった。
少なくとも112件(64.4%)に精神科受診歴があり、97件(65.5%)に過去の自傷・自殺未遂
歴があった。本レジストリは、救急診療内での情報収集に基づいており、これらの割合は過小評価
されている可能性がある点、特に既遂例などで背景情報に欠損が多い点に注意が必要である。
18歳超のグループと比較すると、18歳以下のグループではやや女性が多い、過量服薬、飛び降
りの手段がやや多い、精神科受診歴がある例がやや少ない、自傷・自殺未遂歴がある例がやや多い、
といった傾向があることが推察された。
自傷・自殺未遂による受診に当たって、147件(76.2%)が精神科コンサルトを受けており、
127件(66.8%)が新たな支援機関への連携又は何らかの情報提供が行われていた。これらの支援
機関としては精神科等医療機関が多く、地方公共団体等も認められた。
表
18歳以下と18歳超のグループの比較
18歳以下
*
(194件)
18歳超
*
(1792件)
女性
146/194
75.3% 1108/1792
61.8%
既遂
14/193
7.3% 217/1770
12.3%
過量服薬
128/192
66.7% 1028/1789
57.5%
飛び降り
35/192
18.2% 204/1789
11.4%
刃物
13/192
6.8% 210/1789
11.7%
首吊り
10/192
5.2% 204/1789
11.4%
その他**
14/192
7.3% 245/1789
13.7%
精神科受診歴あり
112/174
64.4% 1141/1530
74.6%
自傷・自殺未遂歴あり
97/148
65.5% 729/1292
56.4%
受診後精神科コンサルトあり
147/193
76.2% 1282/1760
72.8%
新たな支援機関への連携又は何らかの情報提供 127/190
66.8% 1076/1687
63.8%
手段
**
割合は、不明・欠損を除く有効な回答があった場合に占める割合である。
*
年齢不詳が1件あるため、18 歳以下と 18 歳超の人数の合計は 1986 件である。
**
手段は複数選択項目である。その他は、その他の手段を少なくとも一つ用いた場合である。
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自傷・自殺未遂レジストリ
(JAPAN Registry of Self-harm and Suicide Attempts)
の若年症例の概況について
(一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター(厚生労働大臣指定調査研究等法人) 自殺総合対策部 自殺未遂者支援室長 青木藍(執筆当時))
事業紹介
第2章
自殺未遂は自殺の最大のリスク因子である。日本臨床救急医学会といのち支える自殺対策推進セ
ンターは、2022年12月に、救命救急センターを対象とした自傷・自殺未遂者の登録システムであ
る自傷・自殺未遂レジストリ(JAPAN Registry of Self-harm and Suicide Attempts、以下「JARSA」という。)の運用を開始した。JA-RSAは自傷・自殺未遂の頻度、症例の背景、手法などの変
遷を把握し、自殺対策に貢献していくことを目的としている。2024年5月31日までに全国57の救
命救急センターの参加を得ており、2023年12月31日までに自傷・自殺未遂で受診した症例の登録
は1987件に上る。大部分が救急搬送症例である。うち194件が18歳以下の若年者であった。その
概況を報告する。収集されたデータは通常の救急診療の中で取得された情報であり、個人情報は含
まない。
こどもの自殺の状況と対策
18歳以下の症例の概要
18歳以下の症例194件のうち、12歳以下が9件、13-15歳が69件、16-18歳が116件であった。
18歳以下の症例グループのうち146件(75.3%、以下本報告における割合は有効な回答があった場
合に占める割合)が女性であり、手段としては、過量服薬が最も多く128件(66.7%)であり、次
いで飛び降りが35件(18.2%)であった。受診後1か月以内の死亡で定義した自殺既遂は14件
(7.3%)であった。
少なくとも112件(64.4%)に精神科受診歴があり、97件(65.5%)に過去の自傷・自殺未遂
歴があった。本レジストリは、救急診療内での情報収集に基づいており、これらの割合は過小評価
されている可能性がある点、特に既遂例などで背景情報に欠損が多い点に注意が必要である。
18歳超のグループと比較すると、18歳以下のグループではやや女性が多い、過量服薬、飛び降
りの手段がやや多い、精神科受診歴がある例がやや少ない、自傷・自殺未遂歴がある例がやや多い、
といった傾向があることが推察された。
自傷・自殺未遂による受診に当たって、147件(76.2%)が精神科コンサルトを受けており、
127件(66.8%)が新たな支援機関への連携又は何らかの情報提供が行われていた。これらの支援
機関としては精神科等医療機関が多く、地方公共団体等も認められた。
表
18歳以下と18歳超のグループの比較
18歳以下
*
(194件)
18歳超
*
(1792件)
女性
146/194
75.3% 1108/1792
61.8%
既遂
14/193
7.3% 217/1770
12.3%
過量服薬
128/192
66.7% 1028/1789
57.5%
飛び降り
35/192
18.2% 204/1789
11.4%
刃物
13/192
6.8% 210/1789
11.7%
首吊り
10/192
5.2% 204/1789
11.4%
その他**
14/192
7.3% 245/1789
13.7%
精神科受診歴あり
112/174
64.4% 1141/1530
74.6%
自傷・自殺未遂歴あり
97/148
65.5% 729/1292
56.4%
受診後精神科コンサルトあり
147/193
76.2% 1282/1760
72.8%
新たな支援機関への連携又は何らかの情報提供 127/190
66.8% 1076/1687
63.8%
手段
**
割合は、不明・欠損を除く有効な回答があった場合に占める割合である。
*
年齢不詳が1件あるため、18 歳以下と 18 歳超の人数の合計は 1986 件である。
**
手段は複数選択項目である。その他は、その他の手段を少なくとも一つ用いた場合である。
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