３．
取組の詳細
① 外部介護事業所等との役割分担による効率的な在宅医療の展開
当該医療機関は、介護事業所や診療所等の外部機関と連携することにより、地域医療全体
を育てることも目指している。また、在宅医療に特化した活動を展開しており、症状が落ち着い
ている認知症の高齢者や脳梗塞患者などは、可能な限り近隣の開業医に紹介している。こうし
た取組を通じて、医療資源が効率的に活用され、地域の医療ニーズに合った医療提供体制の
拡充につながっている。
さらに、当該医療機関の訪問診療対応が増加したことにより、訪問看護ステーションのニー
ズも高まり、事業者数の増加につながった。こうした、医療施設の充実により地域の患者さんの
ニーズにより手厚く対応できる環境の整備が実現した。
また、各医療機関の役割の明確化により、施設事業者間の信頼関係が構築され、患者さん
の紹介・逆紹介が円滑化されている。

いしが在宅ケアクリニックにおける在宅看取り数の推移
出典：医療法人 SIRIUS いしが在宅ケアクリニック HP

http://www.ishiga-cl.com/jiseki/index.html
2022 年 2 月閲覧

② 魅力的な職場環境整備による継続可能な診療体制の確保
当該医療機関では、職員間での役割分担が徹底されており、医師は医療に専念できるように
している。計画書作成や居宅療養管理指導や指示書作成等、医師による書類作成の補助や見
直しなどは、医療事務スタッフが担当している。アメリカのメディカルアシスタントのように医師
の訪問診療時に車を運転したり、カルテ記入を代行しているスタッフも複数在籍している。こう
した取組の結果、夜間対応以外では医師は 8 時～ 17 時の勤務体制を実現できており、土日祭
日の休日も確保できている。余裕ができた時間を趣味や副業等の自己研鑽に努めることで、患
者さんとのコミュニケーションに活かしている。

③ 幅広い世代を対象にした在宅看取りに関する講演の実施
地域内では幅広い世代を対象に、10年間で数百回ほど「いのちの授業」「在宅医療の魅力」
などのテーマで講演している。講演に参加する小・中学生へ在宅看取りに関わる仕事の魅力発
信に努めるほか、地域全体で「人間が家で死ぬのは普通のこと」と感じてもらえるように啓発を
進めている。

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