参考資料4 小児患者体験調査報告書 令和元年度調査 (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23374.html |
出典情報 | がん診療提供体制のあり方に関する検討会 小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(第1回 1/17)《厚生労働省》 |
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小児患者体験調査概要
患者体験調査(小児版)は、2014 年および 2016 年に 18 歳以下で診断された小児がん患者を抽
出し、その療養体験について家族等を対象として質問したものである。本調査においては、治療
そのものの体験、社会とのつながり、また知識などについて幅広く聴取した。発送数 2511 人、
回収数は 1221 回答(回収率 48.6%)であった。結果は、全体およびがん種別に造血器腫瘍、固形
腫瘍(脳腫瘍を除く)、脳腫瘍の 3 種類に分けて示しており、それぞれのがん種別の回答者は、
481 人、376 人、128 人である。これにより、さまざまな実態が明らかになった。結果は、それ
ぞれの質問事項を「1.治療に関する体験」
「2.社会とのつながり」
「3.がん医療の進歩・知識」
に分類し、整理した。詳細はⅤ章に記載するが、以下にその概要をまとめる。
1) 治療に関する体験
初診から診断までの期間[問 10]は、74.3%が 1 ヶ月未満となっていることが分かった。診断か
ら治療開始までの期間[問 11]について、
「2 週間未満」との回答は成人調査の 30.1%に対して小
児調査では 65.4%という結果であった。中でも造血器腫瘍では、76.0%が「2 週間未満」という回
答であり、生検術が不要なことが多く、病理組織診断までの時間が短いことと関係していると考
えられた。
セカンドオピニオンを受けた人の割合[問 12]は全体で 19.2%、がん種別では、造血器腫瘍で
10.5%、固形腫瘍(脳腫瘍を除く)で 24.2%、脳腫瘍で 35.2%であった。さらに造血器腫瘍では造
血細胞移植の有無、固形腫瘍では転移の有無による解析を行ったところ、造血器腫瘍では「移植
した」と回答した人のうち 23.1%、固形腫瘍(脳腫瘍を除く)では「転移があった」と回答した人
のうち 38.4%、脳腫瘍では「転移があった」と回答した人のうち 53.9%が、セカンドオピニオン
を受けたことが「ある」という回答で、いずれも「移植しなかった」「転移がなかった」という
回答をした人よりも高い割合であった。厳しい予後が予想される、濃厚な治療が必要とされる場
合にセカンドオピニオンの割合は高くなると考えられる。
妊よう性の温存について[問 13]、
「説明があった」との回答は全体では 53.8%であり、成人(40
歳未満)の 52.0%と比較して大きな違いはなかったものの、脳腫瘍では 41.8%と他よりも低かっ
た。妊よう性温存のための処置について[問 14]
、「行った」と回答したのは 7.2%であった。
その他、診療体験に関して、医療スタッフとの関係や、情報の取得、専門的な医療の提供、希
望通りの転院など、成人と共通の問いでは、全体として成人より肯定的な回答が多い結果となっ
た。適切な小児がん診療のためには、医師以外にもさまざまな職種からなる医療チームの構築が
重要と考えられており、
「小児がん拠点病院等の整備について」1 の中でも、小児看護やがん看護
に関する専門的な知識および技能を有する専門看護師または認定看護師や、小児科領域に関す
る専門的知識を有する公認心理師または臨床心理士、社会福祉士(特に医療ソーシャルワーカ
ー)、医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援を提供する専門家であるチャイルド・ライ
フ・スペシャリスト等のような、療養を支援する担当者を配置していることが望ましいとされて
いる。主治医以外にも相談しやすい医療スタッフがいた[問 20-8]の問いに「とてもそう思う、
ある程度そう思う」と回答した人の割合が 78.0%であることは、これらの体制整備と関連してい
る可能性がある。
小児がん診療における特徴のひとつに、
「年齢に応じた病状説明・告知」がある。医療者から
本人に年齢に応じた十分な説明があった[問 15-2]としたのは、60.1%であった。患者に対して病
名を伝えた[問 27]と回答したのは 52.7%であった。伝えたと回答した人のうち、具体的な伝え方
について[問 28]
、「病名を用いて伝えた」と回答したのは 63.5%、「病名を直接的には用いず、
別の言葉で伝えた」と回答したのは 36.1%であった。
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