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参考資料3-2 (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32513.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第74回 4/12)《厚生労働省》
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戦略 2.1 医療・介護分野における薬剤耐性に関する

動向調査の強化
背景


我が国では、医療分野の薬剤耐性(AMR)動向調査として、薬剤耐性(AMR)の傾向を把握する
「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
関する法律(平成 10 年法律第 114 号)に基づく「感染症発生動向調査」及び耐性結核菌の動向
を把握する感染症サーベイランスシステム(結核登録者情報サブシステム)に加え、2017 年4月に
は薬剤耐性(AMR)関連のデータを集約して医療機関や地域ネットワークで活用するための「感染
対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)」を設立し、これらにより重要な薬剤耐性(AMR)の動向
調査を行っている。また、令和4年度診療報酬改定において、地域や全国の動向調査に参加して
いる医療機関の評価として、サーベイランス強化加算を新設した。



しかし、いずれの仕組みからも対象外となり、十分に広がりを確認できていない薬剤耐性微生物
(ARO)が存在している40。「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」は任意参加型の動向調査
であり、参加施設は 200 床以上の比較的大規模の医療機関が多く41、さらに高齢者施設等は参加
していないことから、200 床未満の医療機関における薬剤耐性(AMR)の実態把握が課題となって
いる。



医療関連感染症(HAI)動向調査については、「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」に
加えて「感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)」42において、参加施設の感染症診療状況、
感染対策や抗菌薬適正使用への取組、医療関連感染症(HAI)の発生状況、主要な細菌や薬剤
耐性微生物(ARO)の発生状況、それらによる血流感染の発生状況、抗菌薬の使用状況等の情報
を集約し、個々の施設及び地域の施設間の連携にその情報を役立てることが期待されている。一
方、参加施設が少ないことが課題であり、活用機会を増やしていく必要がある。



新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について、「院内感染対策サーベイランス事業
(JANIS)」データを利用し、2019 年及び 2020 年の黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌、肺炎桿菌
及び緑膿菌の分離患者数と分離率を比較した。各菌の分離患者数及び分離率は、メチシリン感
性耐性の黄色ブドウ球菌ではわずかに減少し、ペニシリン感性耐性の肺炎球菌では 60%減少し、
第3世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌では増加した。残りの菌では分離患者数は減少したが分
離率は増加した43。

40

多剤耐性淋菌や耐性結核、フルオロキノロン耐性サルモネラ属・シゲラ属等に関するデータ収集はなされておらず、多剤
耐性淋菌や耐性結核については、研究班で把握が行われている。
41
2023 年1月現在、「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」参加医療機関 3,016 施設(診療所を除く)のうち、集中治
療室(ICU)部門には 177 施設、新生児集中治療室(NICU)部門には 120 施設、手術部位感染症(SSI)部門には 945 施設
が参加している。
42
2023 年1月現在、「感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)」参加医療機関 1,870 施設(診療所を除く)のうち、AST
関連・感染症診療情報部門には 866 施設、AMU 情報部門には 1,730 施設、ICT 関連情報部門には 1,240 施設、医療関
連感染情報部門には 1,069 施設、微生物・耐性菌関連情報部門には 1,441 施設が参加している。
43
Hirabayashi A, Kajihara T, Yahara K, Shibayama K, Sugai M. Impact of the COVID-19 pandemic on the surveillance of
antimicrobial resistance. J Hosp Infect. 2021;117:147-156. doi:10.1016/j.jhin.2021.09.011

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 32