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参考資料3-2 (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32513.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第74回 4/12)《厚生労働省》 |
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戦略 5.6 抗微生物薬の持続的な開発、安定供給の強
化
背景
○
我が国は、世界標準の抗微生物剤を数多く開発してきた歴史を持つ。薬剤耐性微生物(ARO)
に切り札として使用されてきたカルバペネム系抗菌薬であるメロペネムやドリペネム、カルバペネム
耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症に有効な数少ない抗菌薬の一つであるコリスチン、多剤耐性
結核に有効な抗結核薬のデラマニド等は我が国発の薬剤である。
○
薬剤耐性(AMR)と闘うための武器である抗微生物剤の研究は長年滞っており、近年、国際的に
新規の予防・診断・治療法に関する研究開発を再加速させる取組が行われている。
○
2020 年には、2030 年までに最大4種類の新規の抗微生物剤を市場に投入するため、世界の 20
以上の製薬会社が出資し、世界保健機関(WHO)や欧州投資銀行など製薬業界の外からの支
持・支援も取り付けた「薬剤耐性アクション基金(AMR Action Fund)」が設立された138。
○
新規抗微生物薬の実用化に向けて新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
事業で薬剤耐性菌に関する疫学的調査、基礎研究、基盤技術の開発等を実施し感染症対策の
強化を推進するとともに、診断薬、治療薬、ワクチン等の創薬研究開発を一体的に推進している。
また医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)においても抗微生物薬の研究開発の支援を行っ
ている。
○
継続的な新規抗微生物薬の開発のためには、研究開発への公的研究費による支援(いわゆる
“プッシュ型インセンティブ”)に加え、魅力的な投資環境をつくり、新規抗微生薬が継続的に上市
される環境を構築していくことが重要であり、企業の上市後の利益予見可能性を高めることで研究
開発を進める動機付けを行う市場インセンティブ(いわゆる“プル型インセンティブ”)139の導入が求
められている。国際社会においても、2021 年の先進7カ国(G7)財務大臣会合において、関連す
る市場インセンティブの支援に特に重点を置きつつその幅広いオプションの検討など抗菌薬のイ
ンセンティブに関する議論を実施し、2022 年の先進7カ国(G7)首脳声明においても、市場インセ
ンティブを特に強調して新しい抗微生物薬の開発を奨励することととしており、 米国140、英国141、
スウェーデン142などでは、市場インセンティブが導入又は検討されつつある。先進7カ国(G7)プロ
セスにおいては、新規抗菌薬の研究開発・国際協力を推進し、国際的な取組において主導的な
役割を果たすことが求められる。
138
AMR Action Fund https://www.amractionfund.com/ja/, accessed on 4 July 2022
研究支援補助金、研究開発費に対する税制優遇等の研究開発に直接関わるインセンティブであるプッシュ型インセンテ
ィブに対し、市場後の薬価の優遇、薬価の事前審査、新薬の買い取り保証、市場参入報奨金、独占期間の優遇や他の製品
への移転の許可等の研究開発を進めるモチベーションを高めるインセンティブをプル型インセンティブという。
140
米国の抗菌薬創出インセンティブ付与法(GAIN Act)においては、新規抗菌薬候補の優先審査品への位置付け、特許
期間延長等が盛り込まれている。2021 年6月には、連邦議会に法案として PASTEUR Act が再提出された。
141
Mark Perkins, David Glover, “Mark Perkins and David Glover Medicine,” https://www.england.nhs.uk/blog/how-thenhs-model-to-tackle-antimicrobial-resistance-amr-can-set-a-global-standard/, accessed on 4 July 2022
142
Public
Health
Agency
of
Sweden,
“ Availability
of
antibiotics, ”
1
December
2020,
https://www.folkhalsomyndigheten.se/the-public-health-agency-of-sweden/communicable-disease-control/antibioticsand-antimicrobial-resistance/availability-of-antibiotics/, accessed on 4 July 2022
139
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 80
化
背景
○
我が国は、世界標準の抗微生物剤を数多く開発してきた歴史を持つ。薬剤耐性微生物(ARO)
に切り札として使用されてきたカルバペネム系抗菌薬であるメロペネムやドリペネム、カルバペネム
耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症に有効な数少ない抗菌薬の一つであるコリスチン、多剤耐性
結核に有効な抗結核薬のデラマニド等は我が国発の薬剤である。
○
薬剤耐性(AMR)と闘うための武器である抗微生物剤の研究は長年滞っており、近年、国際的に
新規の予防・診断・治療法に関する研究開発を再加速させる取組が行われている。
○
2020 年には、2030 年までに最大4種類の新規の抗微生物剤を市場に投入するため、世界の 20
以上の製薬会社が出資し、世界保健機関(WHO)や欧州投資銀行など製薬業界の外からの支
持・支援も取り付けた「薬剤耐性アクション基金(AMR Action Fund)」が設立された138。
○
新規抗微生物薬の実用化に向けて新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
事業で薬剤耐性菌に関する疫学的調査、基礎研究、基盤技術の開発等を実施し感染症対策の
強化を推進するとともに、診断薬、治療薬、ワクチン等の創薬研究開発を一体的に推進している。
また医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)においても抗微生物薬の研究開発の支援を行っ
ている。
○
継続的な新規抗微生物薬の開発のためには、研究開発への公的研究費による支援(いわゆる
“プッシュ型インセンティブ”)に加え、魅力的な投資環境をつくり、新規抗微生薬が継続的に上市
される環境を構築していくことが重要であり、企業の上市後の利益予見可能性を高めることで研究
開発を進める動機付けを行う市場インセンティブ(いわゆる“プル型インセンティブ”)139の導入が求
められている。国際社会においても、2021 年の先進7カ国(G7)財務大臣会合において、関連す
る市場インセンティブの支援に特に重点を置きつつその幅広いオプションの検討など抗菌薬のイ
ンセンティブに関する議論を実施し、2022 年の先進7カ国(G7)首脳声明においても、市場インセ
ンティブを特に強調して新しい抗微生物薬の開発を奨励することととしており、 米国140、英国141、
スウェーデン142などでは、市場インセンティブが導入又は検討されつつある。先進7カ国(G7)プロ
セスにおいては、新規抗菌薬の研究開発・国際協力を推進し、国際的な取組において主導的な
役割を果たすことが求められる。
138
AMR Action Fund https://www.amractionfund.com/ja/, accessed on 4 July 2022
研究支援補助金、研究開発費に対する税制優遇等の研究開発に直接関わるインセンティブであるプッシュ型インセンテ
ィブに対し、市場後の薬価の優遇、薬価の事前審査、新薬の買い取り保証、市場参入報奨金、独占期間の優遇や他の製品
への移転の許可等の研究開発を進めるモチベーションを高めるインセンティブをプル型インセンティブという。
140
米国の抗菌薬創出インセンティブ付与法(GAIN Act)においては、新規抗菌薬候補の優先審査品への位置付け、特許
期間延長等が盛り込まれている。2021 年6月には、連邦議会に法案として PASTEUR Act が再提出された。
141
Mark Perkins, David Glover, “Mark Perkins and David Glover Medicine,” https://www.england.nhs.uk/blog/how-thenhs-model-to-tackle-antimicrobial-resistance-amr-can-set-a-global-standard/, accessed on 4 July 2022
142
Public
Health
Agency
of
Sweden,
“ Availability
of
antibiotics, ”
1
December
2020,
https://www.folkhalsomyndigheten.se/the-public-health-agency-of-sweden/communicable-disease-control/antibioticsand-antimicrobial-resistance/availability-of-antibiotics/, accessed on 4 July 2022
139
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 80