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参考資料3-2 (58 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32513.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第74回 4/12)《厚生労働省》
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戦略 4.1 医療機関における抗微生物薬の適正使用の

推進
背景


医療機関における感染予防・管理(IPC)は、薬剤耐性(AMR)の拡大の防止に資するが、それだ
けでは、薬剤耐性微生物(ARO)の出現と薬剤耐性感染症(ARI)の発生を予防することはできない。



薬剤耐性感染症(ARI)の発生を最小限にとどめ、それによる疾病負荷を減らすためには、入院
及び外来における抗微生物薬の適正使用(AMS)が極めて重要である 87 。我が国においては、
2016 年に上気道炎を対象に処方された不適切な抗菌薬に係る年間コストが 297.1 百万米ドル
(USD)であったと推定されている88。



抗微生物薬適正使用(AMS)は、不必要な処方を減らし、薬剤耐性微生物(ARO)の出現を抑え
る効果があるほか、医療費を抑制する効果がある。我が国においては、院内の抗微生物薬適正使
用チーム(AST)の取組でカルバペネム耐性菌を減らすことにより、150 千米ドル(USD)のコストが
削減されたと推定する報告89や、地域の病院にて医師、薬剤師及び細菌検査技師から成るチーム
により、投与適性やデ・エスカレーション(de-escalation)、血液培養採取の推奨などの介入・フィー
ドバックを行うことで、抗菌薬治療費が 25.8%削減されたという報告がある90。



我が国の一部の医療機関において、特定の抗菌薬91について許可制や届出制を導入するなど
の適正使用の取組が行われているが、抗微生物薬適正使用(AMS)を推進するための対策を一体
的に進める包括的な推進体制として「感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)」を活用して
いく必要がある。



このような状況を受けて、平成 30 年度診療報酬改定において、院内の抗微生物薬適正使用支
援チーム(AST)の評価である抗菌薬適正使用支援加算を新設するとともに、小児科外来診療料
及び小児かかりつけ診療料において、抗菌薬の適正使用に関する患者・家族の理解向上に資す
る診療を評価する小児抗菌薬適正使用支援加算を新設した。小児抗菌薬適正使用支援加算の
導入により、外来における小児への抗菌薬投与は約2割減少するなど実績も得られている。また令
和4年度診療報酬改定において、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算を新設し、抗菌薬の
適正使用を更に推進している。

87

Society for Healthcare Epidemiology of America; Infectious Diseases Society of America; Pediatric Infectious Diseases
Society. Policy statement on antimicrobial stewardship by the Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA), the
Infectious Diseases Society of America (IDSA), and the Pediatric Infectious Diseases Society (PIDS). Infect Control Hosp
Epidemiol. 2012;33(4):322-327. doi:10.1086/665010
88
Tsuzuki S, Kimura Y, Ishikane M, Kusama Y, Ohmagari N. Cost of inappropriate antimicrobial use for upper respiratory
infection in Japan. BMC Health Serv Res. 2020;20(1):153. Published 2020 Feb 28. doi:10.1186/s12913-020-5021-1
89
Akazawa T, Kusama Y, Fukuda H, et al. Eight-Year Experience of Antimicrobial Stewardship Program and the Trend of
Carbapenem Use at a Tertiary Acute-Care Hospital in Japan-The Impact of Postprescription Review and Feedback. Open
Forum Infect Dis. 2019;6(10):ofz389. Published 2019 Sep 5. doi:10.1093/ofid/ofz389
90
Fukuda T, Watanabe H, Ido S, Shiragami M. Contribution of antimicrobial stewardship programs to reduction of
antimicrobial therapy costs in community hospital with 429 Beds --before-after comparative two-year trial in Japan. J Pharm
Policy Pract. 2014;7(1):10. Published 2014 Aug 5. doi:10.1186/2052-3211-7-10
91
抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬及びカルバペネム系薬等の広域抗菌薬

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 58