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参考資料3-2 (72 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32513.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第74回 4/12)《厚生労働省》 |
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戦略 5.3 感染症に対する既存の予防・診断・治療法
の最適化に資する臨床研究の推進
背景
○
これまで、我が国では、海外では使用できるが、国内では使用できないワクチンや診断法、新薬
などが存在し、申請・承認の遅れなどの問題が議論されてきた。
○
感染症に関してはこれらの問題に対して、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会
議等で製薬企業等への開発要請がなされ、メトロニダゾール静注薬、コリスチン等に加え、2021 年
には、世界各国で梅毒の第一選択薬として使用され、梅毒での耐性菌の報告がない薬剤である
ベンジルペニシリンベンザチンが承認された115。また、一部の製造販売業者によるセファゾリン注
射薬の供給の課題があり、抗微生物薬の安定供給を維持するための方策が求められている。
○
一方で、海外では販売中止等の事由で使用できないが国内では使用されている薬剤耐性微生
物(ARO)に対して有用な既存の抗微生物剤には、臨床的なエビデンスが不十分なために、国際
的なガイドライン等での推奨に至らない薬剤も存在する116。
○
さらに、抗微生物薬を最適に投与するために必要な最近の薬物動態学/薬力学(PK/PD)理論
等に基づいた用法・用量設定がなされていない抗微生物剤や、特定の感染症に対して世界的に
は推奨されていない抗微生物薬の保険適応がなされている薬剤もある。例えば、溶連菌による咽
頭炎に対する第3世代セファロスポリン系経口薬などは欧米のガイドラインにおいては推奨されて
いない117,118。
○
我が国は、抗微生物薬の使用量(AMU)自体は、他の先進国と比較して多い方ではないが、世
界保健機関(WHO)が抗菌薬適正使用(AMS)の指標として推奨している AWaRe 分類119において、
世界保健機関(WHO)は全抗菌薬に占める“Access”の抗菌薬の割合を 60%以上にすることを目標
としているところ、日本では他国と比較して割合が少ない傾向にあり、2020 年は 21.1%である120。更
115
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医
薬 品 の リ ス ト 、 厚 生 労 働 省 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kaihatsuyousei/
Accessed on 7July 2022
116
ナフシリン、エルタペネム、ニトロフラントイン、セフィデロコル等
117
Shulman ST, Bisno AL, Clegg HW, et al. Clinical practice guideline for the diagnosis and management of group A
streptococcal pharyngitis: 2012 update by the Infectious Diseases Society of America [published correction appears in Clin
Infect Dis. 2014 May;58(10):1496. Dosage error in article text]. Clin Infect Dis. 2012;55(10):e86-e102.
doi:10.1093/cid/cis629
118
ESCMID Sore Throat Guideline Group, Pelucchi C, Grigoryan L, et al. Guideline for the management of acute sore throat.
Clin Microbiol Infect. 2012;18 Suppl 1:1-28. doi:10.1111/j.1469-0691.2012.03766.x
119
AWaRe 分類は世界保健機関(WHO)の必須医薬品リスト(Model Lists of Essential Medicines)第 20 版に掲載された抗菌
薬分類を適正使用の指標として応用したもので、抗菌薬を“Access”(一般的な感染症の第一選択薬、又は第二選択薬とし
て用いられる耐性化の懸念の少ない抗菌薬で、全ての国が高品質かつ手頃な価格で、広く利用出来るようにすべき抗菌薬。
例. アンピシリン、セファレキシンなど)、“Watch”(耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ使用すべき抗菌薬。
例. バンコマイシン、メロペネム、レボフロキサシン、セフトリアキソンなど)、“Reserve”(他の手段が使用できなくなった時に最
後の手段として使用すべき抗菌薬。例. チゲサイクリン、コリスチン、ダプトマイシンなど)、未分類の4カテゴリーに分類してい
る。この分類は 2019 年に改訂され、新たに、“非推奨”(WHO で臨床上の使用を推奨していない抗菌薬。例. セフォペラゾ
ン・スルバクタム) のカテゴリーが追加された。
120
Muraki Y, Kitamura M, Maeda Y, et al. Nationwide surveillance of antimicrobial consumption and resistance to
Pseudomonas aeruginosa isolates at 203 Japanese hospitals in 2010. Infection. 2013;41(2):415-423. doi:10.1007/s15010013-0440-0
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 72
の最適化に資する臨床研究の推進
背景
○
これまで、我が国では、海外では使用できるが、国内では使用できないワクチンや診断法、新薬
などが存在し、申請・承認の遅れなどの問題が議論されてきた。
○
感染症に関してはこれらの問題に対して、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会
議等で製薬企業等への開発要請がなされ、メトロニダゾール静注薬、コリスチン等に加え、2021 年
には、世界各国で梅毒の第一選択薬として使用され、梅毒での耐性菌の報告がない薬剤である
ベンジルペニシリンベンザチンが承認された115。また、一部の製造販売業者によるセファゾリン注
射薬の供給の課題があり、抗微生物薬の安定供給を維持するための方策が求められている。
○
一方で、海外では販売中止等の事由で使用できないが国内では使用されている薬剤耐性微生
物(ARO)に対して有用な既存の抗微生物剤には、臨床的なエビデンスが不十分なために、国際
的なガイドライン等での推奨に至らない薬剤も存在する116。
○
さらに、抗微生物薬を最適に投与するために必要な最近の薬物動態学/薬力学(PK/PD)理論
等に基づいた用法・用量設定がなされていない抗微生物剤や、特定の感染症に対して世界的に
は推奨されていない抗微生物薬の保険適応がなされている薬剤もある。例えば、溶連菌による咽
頭炎に対する第3世代セファロスポリン系経口薬などは欧米のガイドラインにおいては推奨されて
いない117,118。
○
我が国は、抗微生物薬の使用量(AMU)自体は、他の先進国と比較して多い方ではないが、世
界保健機関(WHO)が抗菌薬適正使用(AMS)の指標として推奨している AWaRe 分類119において、
世界保健機関(WHO)は全抗菌薬に占める“Access”の抗菌薬の割合を 60%以上にすることを目標
としているところ、日本では他国と比較して割合が少ない傾向にあり、2020 年は 21.1%である120。更
115
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医
薬 品 の リ ス ト 、 厚 生 労 働 省 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kaihatsuyousei/
Accessed on 7July 2022
116
ナフシリン、エルタペネム、ニトロフラントイン、セフィデロコル等
117
Shulman ST, Bisno AL, Clegg HW, et al. Clinical practice guideline for the diagnosis and management of group A
streptococcal pharyngitis: 2012 update by the Infectious Diseases Society of America [published correction appears in Clin
Infect Dis. 2014 May;58(10):1496. Dosage error in article text]. Clin Infect Dis. 2012;55(10):e86-e102.
doi:10.1093/cid/cis629
118
ESCMID Sore Throat Guideline Group, Pelucchi C, Grigoryan L, et al. Guideline for the management of acute sore throat.
Clin Microbiol Infect. 2012;18 Suppl 1:1-28. doi:10.1111/j.1469-0691.2012.03766.x
119
AWaRe 分類は世界保健機関(WHO)の必須医薬品リスト(Model Lists of Essential Medicines)第 20 版に掲載された抗菌
薬分類を適正使用の指標として応用したもので、抗菌薬を“Access”(一般的な感染症の第一選択薬、又は第二選択薬とし
て用いられる耐性化の懸念の少ない抗菌薬で、全ての国が高品質かつ手頃な価格で、広く利用出来るようにすべき抗菌薬。
例. アンピシリン、セファレキシンなど)、“Watch”(耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ使用すべき抗菌薬。
例. バンコマイシン、メロペネム、レボフロキサシン、セフトリアキソンなど)、“Reserve”(他の手段が使用できなくなった時に最
後の手段として使用すべき抗菌薬。例. チゲサイクリン、コリスチン、ダプトマイシンなど)、未分類の4カテゴリーに分類してい
る。この分類は 2019 年に改訂され、新たに、“非推奨”(WHO で臨床上の使用を推奨していない抗菌薬。例. セフォペラゾ
ン・スルバクタム) のカテゴリーが追加された。
120
Muraki Y, Kitamura M, Maeda Y, et al. Nationwide surveillance of antimicrobial consumption and resistance to
Pseudomonas aeruginosa isolates at 203 Japanese hospitals in 2010. Infection. 2013;41(2):415-423. doi:10.1007/s15010013-0440-0
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 72