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介護保険最新情報Vol.1249(「介護保険施設等に対する監査マニュアル」について(通知)) (14 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00010.html |
出典情報 | 「介護保険施設等に対する監査マニュアル」について(4/5付 通知)《厚生労働省》 |
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3.4. 不正請求が疑われる、もしくは認められる場合
3.4.1. 不正請求事案に対する介護保険法に基づく指導監督の考え方
不正請求とは、法令や基準に違反し、かつそれを偽って報酬を請求することです。具体
的には、架空請求等の請求行為をいいます。例えば、実際にはサービスを行っていないに
もかかわらず、サービスを行ったように装い、報酬請求を行った場合や、一定の人員基準
を満たすことが要件となっている加算について、人員が不足しているにもかかわらず、人
員は満たされていることを装い加算要件を満たすものと偽って請求をした場合、また、サ
ービスの所要時間によって単位数が定められている場合に実際にサービスを行った時間に
対応する単位数を超えた単位数により請求した場合等がこれに当たります。
このような不適切な請求行為が認められた場合や疑われる場合、偽りその他の不正な行
為かの判断について監査において事実関係を確認し、不正請求であると認定した場合は指
定取消等の行政処分を行うことを検討する必要があります。さらに、後述するとおり、介
護保険法第 22 条第3項に基づき事業所に対し不正利得の返還請求を行うことになります。
一方で、監査の結果によっては、不正ではないという判断に至る場合もあり得ます。不
正請求とは認定せずに、確定した介護給付費の過誤について返還を求めるにとどまる場合
は、事業所、保険者及び国保連との間で、その差額に関する調整を行うことになります。
(不正請求の認定に際しては、「4.3.3
不正認定について」も十分に参考にしてくださ
い。
)
実務上は、この調整に関する一連の事務手続について、「過誤調整」と呼ぶことがあり
ます。この言葉自体はあくまで通称であり、法令上明確に規定されているものではありま
せん。ただし、本マニュアルでは、不正請求に対する返還命令に相対する言葉として、不
正請求と認定されず、事業者が誤りのあった審査決定済の請求を取り下げて、改めて正し
い請求を行う場合の手続のことを、
「過誤調整」と呼ぶこととします。
過誤調整については、あくまで事業所が保険者及び国保連と自主的に調整を行うことを
指す言葉であり、監査主体や保険者などの自治体が命ずるものではないことに留意が必要
です。過誤調整を行うよう指導した結果、それにもかかわらず指導に従わなかったという
場合については、当該行政指導に従わなかったことのみをもって、後になって不正請求と
判断し、返還を求める(不利益処分)ことはできません。このため、単なる誤りか不正か
の判断は、事実関係を踏まえ、様々な角度から検討し慎重に行うべきです。
3.4.2. 不正請求における返還金の徴収の要請と消滅時効
不正請求の場合は、保険者(市町村)は返還させるべき額を不正利得として徴収するこ
とができます。その際、保険者(市町村)は返還させるべき額のほかに、返還させるべき
額に 40%を乗じて得た額を徴収することが認められています(介護保険法第 22 条第 3 項)
。
監査の結果、不正請求であると認定された場合には、指定権者から保険者にその旨を連
絡のうえ、保険者と事業者の間で返還額の確定を行い、保険者から事業者に対して返還請
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3.4.1. 不正請求事案に対する介護保険法に基づく指導監督の考え方
不正請求とは、法令や基準に違反し、かつそれを偽って報酬を請求することです。具体
的には、架空請求等の請求行為をいいます。例えば、実際にはサービスを行っていないに
もかかわらず、サービスを行ったように装い、報酬請求を行った場合や、一定の人員基準
を満たすことが要件となっている加算について、人員が不足しているにもかかわらず、人
員は満たされていることを装い加算要件を満たすものと偽って請求をした場合、また、サ
ービスの所要時間によって単位数が定められている場合に実際にサービスを行った時間に
対応する単位数を超えた単位数により請求した場合等がこれに当たります。
このような不適切な請求行為が認められた場合や疑われる場合、偽りその他の不正な行
為かの判断について監査において事実関係を確認し、不正請求であると認定した場合は指
定取消等の行政処分を行うことを検討する必要があります。さらに、後述するとおり、介
護保険法第 22 条第3項に基づき事業所に対し不正利得の返還請求を行うことになります。
一方で、監査の結果によっては、不正ではないという判断に至る場合もあり得ます。不
正請求とは認定せずに、確定した介護給付費の過誤について返還を求めるにとどまる場合
は、事業所、保険者及び国保連との間で、その差額に関する調整を行うことになります。
(不正請求の認定に際しては、「4.3.3
不正認定について」も十分に参考にしてくださ
い。
)
実務上は、この調整に関する一連の事務手続について、「過誤調整」と呼ぶことがあり
ます。この言葉自体はあくまで通称であり、法令上明確に規定されているものではありま
せん。ただし、本マニュアルでは、不正請求に対する返還命令に相対する言葉として、不
正請求と認定されず、事業者が誤りのあった審査決定済の請求を取り下げて、改めて正し
い請求を行う場合の手続のことを、
「過誤調整」と呼ぶこととします。
過誤調整については、あくまで事業所が保険者及び国保連と自主的に調整を行うことを
指す言葉であり、監査主体や保険者などの自治体が命ずるものではないことに留意が必要
です。過誤調整を行うよう指導した結果、それにもかかわらず指導に従わなかったという
場合については、当該行政指導に従わなかったことのみをもって、後になって不正請求と
判断し、返還を求める(不利益処分)ことはできません。このため、単なる誤りか不正か
の判断は、事実関係を踏まえ、様々な角度から検討し慎重に行うべきです。
3.4.2. 不正請求における返還金の徴収の要請と消滅時効
不正請求の場合は、保険者(市町村)は返還させるべき額を不正利得として徴収するこ
とができます。その際、保険者(市町村)は返還させるべき額のほかに、返還させるべき
額に 40%を乗じて得た額を徴収することが認められています(介護保険法第 22 条第 3 項)
。
監査の結果、不正請求であると認定された場合には、指定権者から保険者にその旨を連
絡のうえ、保険者と事業者の間で返還額の確定を行い、保険者から事業者に対して返還請
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