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介護保険最新情報Vol.1249(「介護保険施設等に対する監査マニュアル」について(通知)) (41 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00010.html
出典情報 「介護保険施設等に対する監査マニュアル」について(4/5付 通知)《厚生労働省》
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6.3. 不利益処分の理由の提示
6.3.1. 不利益処分の理由の提示とは
行政手続法第 14 条第1項は、
「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に
対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さ
ないで処分をすべき差し迫った必要がある場合には、この限りでない。」と規定していま
す。
不利益処分を行う際に理由の提示が義務付けられている趣旨は、申請に対する拒否処分
の場合(行政手続法第8条)と基本的に同じであり、行政庁の判断の慎重・合理性を担保
してその恣意を抑制することと、申請者にとって争訟(行政不服申立て、行政訴訟)提起
の便宜を図るためとされています。
理由の提示は、従来「理由付記」と言われることもありますが、口頭で理由を示す場合
もあるため(行政手続法 14 条3項――ただし、書面の交付を求められたときはこれに応
じる必要があります。)、行政手続法にのっとり、本マニュアルでも「理由の提示」に統一
します。

6.3.2. 理由の提示のあるべき姿
「理由の提示」については、裁判所によってその不備を理由として行政処分が取り消さ
れた事例が数多くあり、介護保険法上の行政処分についても、そうした事例が複数確認さ
れています。このように、理由の提示の不備については大きな法的リスクがあることを念
頭においたうえで、十分な記載を行うことが必要となります。
「理由の提示」のあるべき姿を、判例とともにお示ししましょう。最高裁は、行政手続
法第 14 条第1項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、
「上記のような同項本
文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び
内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容
等を総合考慮してこれを決定すべきである」と述べています(最判平成 23 年6月7日民
集 65 巻4号 2081 頁、一級建築士免許取消処分等取消請求事件)

この点、「理由の提示」は根拠法条の番号を示すだけでは不十分であり、処分の根拠と
なった事実関係(原因事実)、法令や処分基準の適用関係まで具体的に記載しなくてはな
らないとされています。

6.3.3. 関連判例
介護事業者への処分決定の後、理由の提示の不備により、行政処分が取消された主な判
例を以下に列挙します。
① 熊本地判平成 26 年 10 月 22 日判例自治 422 号 85 頁
介護老人保健施設の開設許可取消処分について、取消理由の不正請求と認定された事実
が特定されていないとして取り消された事例

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