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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》 |
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精神科病院における身体的拘束
審査を行う合議体は、医療委員、法律家委員、保健福祉士委員によって構成されるが、実際に
は医療委員が過半を占めており、審査は医療に寄りがちになるとの指摘もある(59)。②につい
ては、令和 4(2022)年度に審査した処遇改善請求 521 件のうち、精神医療審査会が「入院又
は処遇は不適当」とした事案は 51 件(9.8%)である(60)。③については、令和 4(2022)年度
における処遇改善請求の受理から審査結果の通知までの期間は平均 39.1 日であり(61)、審査の
迅速化に向けた取組が必要であるとの指摘もなされている(62)。
Ⅲ
障害者権利条約と日本の身体的拘束
国連総会によって採択され、日本も批准国である「障害者の権利に関する条約」(以下「障
害者権利条約」という。)は、「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平
等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するこ
(63)
。本章では、同
と」を目的としており、その対象には精神障害者も含まれている(第 1 条)
条約において身体的拘束がどのように位置付けられているか、また、同条約に基づいて実施さ
れた対日審査の結果、国際連合障害者権利委員会からいかなる所見が出されたかを概観する。
1
障害者権利条約の概要
障害者権利条約は、平成 18(2006)年 12 月 13 日に国連総会において採択され、平成 20(2008)
年 5 月 3 日に発効した。日本は平成 19(2007)年 9 月 28 日に署名、平成 26(2014)年 1 月
20 日に批准書を寄託し、同条約は同年 2 月 19 日に発効した(平成 26 年条約第 1 号)。同条約は、
障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目
的とし、障害者の権利の実現のための措置等について定めたものである(64)。
身体的拘束に関しては、第 15 条において次のように定められている(65)。
第 15 条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由
1
いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰
を受けない。特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。
2
締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的な若しく
は品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、全ての効果的な
篠原 前掲注, pp.50-51.
「表 4-3 精神医療審査会の審査状況(処遇改善の請求)、都道府県-指定都市(再掲)別」厚生労働省『令和 4
年度衛生行政報告例』2023.10. e-stat 政府統計の総合窓口ウェブサイト <https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-dow
nload?statInfId=000040111898&fileKind=1>
「令和 4 年度 精神医療審査会機能③処遇改善要求」(精神保健福祉資料 630 調査)国立精神・神経医療研究
センターウェブサイト <https://www.ncnp.go.jp/nimh/seisaku/data/assets/excel/r4/r4_630_jititai.zip?v=2023080101>
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会『報告書』2017, pp.18-19. 厚生労働省ウェブサイト
<https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000152026.pdf>
障害者については「長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用
により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。
」
と 定 め ら れ て い る。「 障 害 者 の 権 利 に 関 す る 条 約 」p.6. 外 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/
files/000018093.pdf>
「障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)
」2024.3.13. 外務省ウェブサイト <https://www.mofa.go.jp/
mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html>
同上
74
レファレンス
884 号
国立国会図書館 調査及び立法考査局
2024. 8
15
審査を行う合議体は、医療委員、法律家委員、保健福祉士委員によって構成されるが、実際に
は医療委員が過半を占めており、審査は医療に寄りがちになるとの指摘もある(59)。②につい
ては、令和 4(2022)年度に審査した処遇改善請求 521 件のうち、精神医療審査会が「入院又
は処遇は不適当」とした事案は 51 件(9.8%)である(60)。③については、令和 4(2022)年度
における処遇改善請求の受理から審査結果の通知までの期間は平均 39.1 日であり(61)、審査の
迅速化に向けた取組が必要であるとの指摘もなされている(62)。
Ⅲ
障害者権利条約と日本の身体的拘束
国連総会によって採択され、日本も批准国である「障害者の権利に関する条約」(以下「障
害者権利条約」という。)は、「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平
等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するこ
(63)
。本章では、同
と」を目的としており、その対象には精神障害者も含まれている(第 1 条)
条約において身体的拘束がどのように位置付けられているか、また、同条約に基づいて実施さ
れた対日審査の結果、国際連合障害者権利委員会からいかなる所見が出されたかを概観する。
1
障害者権利条約の概要
障害者権利条約は、平成 18(2006)年 12 月 13 日に国連総会において採択され、平成 20(2008)
年 5 月 3 日に発効した。日本は平成 19(2007)年 9 月 28 日に署名、平成 26(2014)年 1 月
20 日に批准書を寄託し、同条約は同年 2 月 19 日に発効した(平成 26 年条約第 1 号)。同条約は、
障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目
的とし、障害者の権利の実現のための措置等について定めたものである(64)。
身体的拘束に関しては、第 15 条において次のように定められている(65)。
第 15 条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由
1
いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰
を受けない。特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。
2
締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的な若しく
は品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、全ての効果的な
篠原 前掲注, pp.50-51.
「表 4-3 精神医療審査会の審査状況(処遇改善の請求)、都道府県-指定都市(再掲)別」厚生労働省『令和 4
年度衛生行政報告例』2023.10. e-stat 政府統計の総合窓口ウェブサイト <https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-dow
nload?statInfId=000040111898&fileKind=1>
「令和 4 年度 精神医療審査会機能③処遇改善要求」(精神保健福祉資料 630 調査)国立精神・神経医療研究
センターウェブサイト <https://www.ncnp.go.jp/nimh/seisaku/data/assets/excel/r4/r4_630_jititai.zip?v=2023080101>
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会『報告書』2017, pp.18-19. 厚生労働省ウェブサイト
<https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000152026.pdf>
障害者については「長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用
により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。
」
と 定 め ら れ て い る。「 障 害 者 の 権 利 に 関 す る 条 約 」p.6. 外 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/
files/000018093.pdf>
「障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)
」2024.3.13. 外務省ウェブサイト <https://www.mofa.go.jp/
mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html>
同上
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レファレンス
884 号
国立国会図書館 調査及び立法考査局
2024. 8
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