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【参考資料２】長谷川参考人提出資料 (23 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
| 出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会（第4回 1／15）《厚生労働省》 |
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精神科病院における身体的拘束
保されるものとされた（104）。
そのほか、バイエルン州及び連邦でも、既存の法律を連邦憲法裁判所の判決に適合させる法
改正が行われた。バイエルン州では「司法執行における身体的拘束の法適合性を図るための法
律（Gesetz zur Anpassung des Rechts der Fixierung im bayerischen Justizvollzug）」 が 制 定 さ れ、
2019 年 7 月 1 日に施行された（105）。連邦においては「自由剥奪の枠組みにおける身体的拘束に
際 し て の 本 人 の 権 利 強 化 の た め の 法 律（Gesetz zur Stärkung der Rechte von Betroffenen bei
Fixierungen im Rahmen von Freiheitsentziehungen）」が制定され、2019 年 6 月 28 日に施行され
た（106）。いずれも精神障害者ではなく、刑務所に収容された受刑者を対象とする身体的拘束に
係る法改正を行うための法律であり、自由を剥奪する身体的拘束は、他者に対して暴力を振るっ
たり自傷や自殺の行為に及んだりする危険が迫っている場合にのみ認められることや、身体的
拘束の実施には裁判官の命令が必要であることが定められた（107）。
（4）法改正による効果
バーデン・ヴュルテンベルク州における精神科病院の約 43 万 6000 人の入院患者を対象とし
た研究によれば、自由を制限する何らかの強制措置（拘束又は隔離）が実施された患者の割合
は、2015 ～ 2017 年の平均では 6.7% であったのに対し、2019 年には 5.8% に減少し、うち器
具を用いた「機械的拘束」の割合は 4.8% から 3.6% に減少した（108）。また、1 例当たりの拘束
及び隔離の累積時間の中央値は、12.7 時間から 11.9 時間に短縮されたとしている（109）。
２
イギリス
イギリスにおける身体的拘束の実施の要件等については、「1983 年精神保健法（Mental
（110）
の運用を定めた行動指針（Code of practice）に規定されている。また、
Health Act 1983）」
2018 年には、精神科病院における行動制限の在り方について定めた「2018 年精神保健施設（力
（111）
（以下「力の行使法」という。）が制定
の行使）法（Mental Health Units (Use of Force) Act）」
され、2022 年 3 月に施行された。これらの規定の概要について以下に述べる。
（1）1983 年精神保健法の行動指針における規定
1983 年精神保健法の行動指針においては、行動制限措置の総称は「制限的介入（restrictive
intervention）」とされる。制限的介入の一種である身体的拘束は、患者を直接の身体的接触によっ
て拘束する「身体による拘束（physical restraint）」と、ベルトなどの器具を用いて拘束する「機
械的拘束（mechanical restraint）」に大別される。これらのうち、制限的介入全般に係る定義・
(104) 柑本 前掲注, p.110.
(105) Gesetz zur Anpassung des Rechts der Fixierung im bayerischen Justizvollzug vom 24. Juni 2019 (GVBl. 2019 S. 318).
<https://www.verkuendung-bayern.de/gvbl/2019-318/>
(106) Gesetz zur Stärkung der Rechte von Betroffenen bei Fixierungen im Rahmen von Freiheitsentziehungen vom 19. Juni.2019
(BGBl. I 2019 S. 84). <https://www.bgbl.de/xaver/bgbl/start.xav#__bgbl__%2F%2F*%5B%40attr_id%3D%27bgbl119s0840.
pdf%27%5D__1710117692908>
(107) 渡邉 前掲注(103); 神野 前掲注, p.284.
(108) Tilman Steinert et al.,“Auswirkungen der Entscheidung des Bundesverfassungsgerichts 2018 zu Fixierungen,”Nervenarzt,
Volume 93, 2022.3, pp.708, 712.
(109) ibid.
(110) Mental Health Act 1983 c.20. <https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1983/20/contents>
(111) Mental Health Units (Use of Force) Act 2018 c.27. <https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2018/27/enacted>
82
レファレンス
884 号
国立国会図書館 調査及び立法考査局
2024. 8
23
保されるものとされた（104）。
そのほか、バイエルン州及び連邦でも、既存の法律を連邦憲法裁判所の判決に適合させる法
改正が行われた。バイエルン州では「司法執行における身体的拘束の法適合性を図るための法
律（Gesetz zur Anpassung des Rechts der Fixierung im bayerischen Justizvollzug）」 が 制 定 さ れ、
2019 年 7 月 1 日に施行された（105）。連邦においては「自由剥奪の枠組みにおける身体的拘束に
際 し て の 本 人 の 権 利 強 化 の た め の 法 律（Gesetz zur Stärkung der Rechte von Betroffenen bei
Fixierungen im Rahmen von Freiheitsentziehungen）」が制定され、2019 年 6 月 28 日に施行され
た（106）。いずれも精神障害者ではなく、刑務所に収容された受刑者を対象とする身体的拘束に
係る法改正を行うための法律であり、自由を剥奪する身体的拘束は、他者に対して暴力を振るっ
たり自傷や自殺の行為に及んだりする危険が迫っている場合にのみ認められることや、身体的
拘束の実施には裁判官の命令が必要であることが定められた（107）。
（4）法改正による効果
バーデン・ヴュルテンベルク州における精神科病院の約 43 万 6000 人の入院患者を対象とし
た研究によれば、自由を制限する何らかの強制措置（拘束又は隔離）が実施された患者の割合
は、2015 ～ 2017 年の平均では 6.7% であったのに対し、2019 年には 5.8% に減少し、うち器
具を用いた「機械的拘束」の割合は 4.8% から 3.6% に減少した（108）。また、1 例当たりの拘束
及び隔離の累積時間の中央値は、12.7 時間から 11.9 時間に短縮されたとしている（109）。
２
イギリス
イギリスにおける身体的拘束の実施の要件等については、「1983 年精神保健法（Mental
（110）
の運用を定めた行動指針（Code of practice）に規定されている。また、
Health Act 1983）」
2018 年には、精神科病院における行動制限の在り方について定めた「2018 年精神保健施設（力
（111）
（以下「力の行使法」という。）が制定
の行使）法（Mental Health Units (Use of Force) Act）」
され、2022 年 3 月に施行された。これらの規定の概要について以下に述べる。
（1）1983 年精神保健法の行動指針における規定
1983 年精神保健法の行動指針においては、行動制限措置の総称は「制限的介入（restrictive
intervention）」とされる。制限的介入の一種である身体的拘束は、患者を直接の身体的接触によっ
て拘束する「身体による拘束（physical restraint）」と、ベルトなどの器具を用いて拘束する「機
械的拘束（mechanical restraint）」に大別される。これらのうち、制限的介入全般に係る定義・
(104) 柑本 前掲注, p.110.
(105) Gesetz zur Anpassung des Rechts der Fixierung im bayerischen Justizvollzug vom 24. Juni 2019 (GVBl. 2019 S. 318).
<https://www.verkuendung-bayern.de/gvbl/2019-318/>
(106) Gesetz zur Stärkung der Rechte von Betroffenen bei Fixierungen im Rahmen von Freiheitsentziehungen vom 19. Juni.2019
(BGBl. I 2019 S. 84). <https://www.bgbl.de/xaver/bgbl/start.xav#__bgbl__%2F%2F*%5B%40attr_id%3D%27bgbl119s0840.
pdf%27%5D__1710117692908>
(107) 渡邉 前掲注(103); 神野 前掲注, p.284.
(108) Tilman Steinert et al.,“Auswirkungen der Entscheidung des Bundesverfassungsgerichts 2018 zu Fixierungen,”Nervenarzt,
Volume 93, 2022.3, pp.708, 712.
(109) ibid.
(110) Mental Health Act 1983 c.20. <https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1983/20/contents>
(111) Mental Health Units (Use of Force) Act 2018 c.27. <https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2018/27/enacted>
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レファレンス
884 号
国立国会図書館 調査及び立法考査局
2024. 8
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