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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》
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精神科病院における身体的拘束

さらに、告示 130 号基準では、隔離・身体的拘束を行うに当たって、患者にその理由を「知
らせるよう努める」とされているが、「説明する」と義務化するべきとされた。患者に対して
は処遇改善請求等の権利内容についても説明し、患者がその内容を把握できない状態にある場
合は、再度説明を行う必要がある旨を明らかにするべきとされた(82)。
(2)人員配置の充実について
精神科病院における人員配置基準については、入院患者数に応じて精神病床の適切化を図る
とともに、入院患者に対して良質な精神科医療を提供できるよう、個々の病院の規模や機能に
応じ、医師・看護職員の適正配置や、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師等を含む適切
な職員配置を実現することが求められるとされた(83)。


告示 130 号基準の改正をめぐる議論
検討会の報告書が公表された後、令和 4(2022)年 12 月 10 日に精神保健福祉法改正案(84)が

可決、成立した。しかし、行動制限に関して検討会が示した方向性については改正法に盛り込
まれず、引き続き検討が行われている。
厚生労働省は令和 4 年度障害者総合福祉推進事業として「精神科医療における行動制限の最
小化に関する調査研究」を野村総合研究所(以下「野村総研」という。
)に委託し、野村総研
は令和 5(2023)年 3 月に報告書を公表した(85)。同報告書は、主として行動制限を顕著に減少
させた病院の取組事例集(86)と、告示 130 号基準の改正に関する提言から成る。このうち、同
基準の改正に関する提言は次のとおりである(87)。
①検討会の報告書と同様、3 要件を身体的拘束の対象患者の要件として告示 130 号基準に明示
する。(具体的な記載イメージとして、「そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそ
れ又は重大な身体損傷を生ずるおそれが著しく高い」「身体的拘束以外によい代替方法がなく、
やむを得ない処置として行われるものである」「身体的拘束は一時的に行われるものであり、
必要な期間を超えて行われていないものである」との文言が示されている。)
②「多動又は不穏が顕著である場合」等の告示上の対象患者の記載は、それだけでは身体的拘
束の十分条件とならないことが明確になるよう、3 要件を先に明示した上で例示し、あくまで




同上, p.36.
同上, pp.38-39.
いわゆる束ね法案である「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する
法律案」(第 210 回国会閣法第 17 号)の一部として可決された。
 『精神科医療における行動制限最小化に関する調査研究―報告書―』(厚生労働省令和 4 年度障害者総合福祉推
進事業)野村総合研究所, 2023.3. 厚生労働省ウェブサイト <https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001113658.
pdf>
 同上, pp.51-79. 東京都立松沢病院、五稜会病院、秋田緑丘病院、和光病院、山梨県立北病院、沼津中央病院、
三河病院、犬山病院、岐阜病院、小阪病院、岡山県立精神科医療センター、まきび病院、オリブ山病院などの取
組が挙げられている。
 これらのほか、実施に当たっての遵守事項については、身体的拘束の解除に向けた検討を行うこと、医師の頻
回の診察に当たって 3 要件を欠いた場合には速やかに解除することを明示することが提案された。また、身体的
拘束に当たって、実施の理由を可能な限りよく説明すること、二次的な身体的障害や心理的影響に関することを
含めて臨床的観察を行うことを明示すること、手続を満たせば行動制限を行ってもよいという誤解を招かないよ
う、要件を満たす場合に限られる旨を明記することなども提案された。

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レファレンス

884 号

国立国会図書館 調査及び立法考査局

2024. 8

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