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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (39 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》 |
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問う
「身体拘束」を
翌日の看護記録を見てみよう。
のを見る”ことだと思っている。
「ミサワホー
ム」という言葉の中に込められた、自分がかか
わって父と作った家への誇り。
「契約いはんや」
◦ 夜間は全体的に睡眠はとれている。
◦3
:30~再入床せず、徘徊や布団上座ったり、停立し
と繰り返す言葉の中に込められた悔しさ。どれ
て今朝まで過ごす。大声や不穏行動なし。
にも“意味”がある。一也さんの言動は本当に
◦ 6:00(再入眠せず過ごす)
◦ 7:30(薬服用するが意味不明な発言続く)
「滅裂」
「意味不明」だったのだろうか?
◦朝
食配膳すると「ミサワホームで何軒家建てた人がお
看護記録と診療録の連関をみる時、医師は自
るやろ」等話し続けるが薬は拒否なく服用する。
◦ 10:00(表情硬く一方的に話す)
らの眼でみるのではなく、多くの場合、看護師
◦小
窓よりNS から声をかけると「契約いはんや」とくり返し
の報告を受けて判断をしているようにも見受け
話す。お茶の交換の声かけにも返答もなく表情は硬い。
◦N
S の声かけで手指消毒に応じられ、お茶の交換に応
られる。看護師の認識、力量がその人の命をも
じられる。
左右すると言って過言ではない。
◦ 12:00(昼食は全量摂取し一方的に話す)
◦昼
食を自室に配膳すると、
「仕事の邪魔をするな。ミサ
そして大畠さんは、7 日後の 12 月 20 日
(火)
ワホーム向けに家建てた」と話す。
に看護師により身体拘束を解除される。そして
◦ 昼食は全量摂取し小窓よ
り返却に応じられる。
◦ 13:45(転室)
その後、床に倒れているところを看護師に発見
○○ Dr
され、そのまま肺動脈血栓塞栓症で亡くなった。
◦ 前日スタッフへの暴力行為あり。
◦四
肢躯幹身体拘束開始
(転室に抵抗なし)
◦ 拘束時も意味不明な言動あるも抵抗なし。
裁判。一審は棄却され、すぐに控訴
原告の遺族は、このような経過をたどって死
つまり、保護室内で食事をしたり、薬を飲ん
に至った一也さんへの身体拘束は、法令上の要
だり、昼食を食べお皿を返却したりしていたの
件(ア.自殺企図又は自傷行為が著しく切迫してい
に、身体拘束をされてしまうのである。
る場合、イ.多動又は不穏が顕著である場合、ウ.
この日の診療録にも次のように書かれている。
ア又はイのほか精神障害のために、そのまま放置す
れば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合)
を満たさず、違法であると主張し、提訴した。
◦昨
日もstaff への暴力があり……検温等かかわりも難し
2020 年 1 月 31 日、一 審 の 判 決 言 い 渡 し の
い抑制の上 follow するしかない。
◦ 四肢・体幹・肩抑制
1日みる。
(医師名)
日。私から見ても、法廷にいる裁判官の表情か
らはどのような判決を出そうとしているのか全
く想像がつかなかった。裁判官は短い言葉を発
すると、裁判官席の後方の扉を開けてあっとい
「滅裂」
「意味不明」とは思えない
う間にいなくなってしまった。
“判決言い渡し”
なぜ大畠一也さんは身体拘束されなければな
とはそういうものなのだろう。何が起こったの
そしてその果てにあった
かわからないご両親と、傍聴席にいた私の目線
死。私はそれをどうしても受け入れることがで
が合ったのを覚えている。急ぎ弁護士が判決文
きない。
のコピーを取り、弁護士、ご遺族と一緒に車に
らなかったのか?
私は精神医療で大切なことは、
“見えないも
閲覧情報:医学書院 10001
39
乗り込み、皆で読み込みながら会見場に向かっ
vol.25 no.6 精神看護 Nov 2022
543
2024/12/24 11:32:15
「身体拘束」を
翌日の看護記録を見てみよう。
のを見る”ことだと思っている。
「ミサワホー
ム」という言葉の中に込められた、自分がかか
わって父と作った家への誇り。
「契約いはんや」
◦ 夜間は全体的に睡眠はとれている。
◦3
:30~再入床せず、徘徊や布団上座ったり、停立し
と繰り返す言葉の中に込められた悔しさ。どれ
て今朝まで過ごす。大声や不穏行動なし。
にも“意味”がある。一也さんの言動は本当に
◦ 6:00(再入眠せず過ごす)
◦ 7:30(薬服用するが意味不明な発言続く)
「滅裂」
「意味不明」だったのだろうか?
◦朝
食配膳すると「ミサワホームで何軒家建てた人がお
看護記録と診療録の連関をみる時、医師は自
るやろ」等話し続けるが薬は拒否なく服用する。
◦ 10:00(表情硬く一方的に話す)
らの眼でみるのではなく、多くの場合、看護師
◦小
窓よりNS から声をかけると「契約いはんや」とくり返し
の報告を受けて判断をしているようにも見受け
話す。お茶の交換の声かけにも返答もなく表情は硬い。
◦N
S の声かけで手指消毒に応じられ、お茶の交換に応
られる。看護師の認識、力量がその人の命をも
じられる。
左右すると言って過言ではない。
◦ 12:00(昼食は全量摂取し一方的に話す)
◦昼
食を自室に配膳すると、
「仕事の邪魔をするな。ミサ
そして大畠さんは、7 日後の 12 月 20 日
(火)
ワホーム向けに家建てた」と話す。
に看護師により身体拘束を解除される。そして
◦ 昼食は全量摂取し小窓よ
り返却に応じられる。
◦ 13:45(転室)
その後、床に倒れているところを看護師に発見
○○ Dr
され、そのまま肺動脈血栓塞栓症で亡くなった。
◦ 前日スタッフへの暴力行為あり。
◦四
肢躯幹身体拘束開始
(転室に抵抗なし)
◦ 拘束時も意味不明な言動あるも抵抗なし。
裁判。一審は棄却され、すぐに控訴
原告の遺族は、このような経過をたどって死
つまり、保護室内で食事をしたり、薬を飲ん
に至った一也さんへの身体拘束は、法令上の要
だり、昼食を食べお皿を返却したりしていたの
件(ア.自殺企図又は自傷行為が著しく切迫してい
に、身体拘束をされてしまうのである。
る場合、イ.多動又は不穏が顕著である場合、ウ.
この日の診療録にも次のように書かれている。
ア又はイのほか精神障害のために、そのまま放置す
れば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合)
を満たさず、違法であると主張し、提訴した。
◦昨
日もstaff への暴力があり……検温等かかわりも難し
2020 年 1 月 31 日、一 審 の 判 決 言 い 渡 し の
い抑制の上 follow するしかない。
◦ 四肢・体幹・肩抑制
1日みる。
(医師名)
日。私から見ても、法廷にいる裁判官の表情か
らはどのような判決を出そうとしているのか全
く想像がつかなかった。裁判官は短い言葉を発
すると、裁判官席の後方の扉を開けてあっとい
「滅裂」
「意味不明」とは思えない
う間にいなくなってしまった。
“判決言い渡し”
なぜ大畠一也さんは身体拘束されなければな
とはそういうものなのだろう。何が起こったの
そしてその果てにあった
かわからないご両親と、傍聴席にいた私の目線
死。私はそれをどうしても受け入れることがで
が合ったのを覚えている。急ぎ弁護士が判決文
きない。
のコピーを取り、弁護士、ご遺族と一緒に車に
らなかったのか?
私は精神医療で大切なことは、
“見えないも
閲覧情報:医学書院 10001
39
乗り込み、皆で読み込みながら会見場に向かっ
vol.25 no.6 精神看護 Nov 2022
543
2024/12/24 11:32:15