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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (40 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》 |
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た。頭が真っ白になりながらも必死に文字を
看護師に対する暴力行為が見られたことや、亡
追った。
一也が大柄な男性であることなどの事情を考慮
一審判決は、
「医師には広い裁量があり、身
しても、本件身体的拘束を開始した時点では、
体拘束の実施要件を定めた精神保健福祉法第
告示第 130 号の「多動又は不穏が顕著である
37 条 1 項基準にも“主として”とあるのだか
場合」(第 4 の 2 イ)に該当するとは認めがたい。
ら、本件身体拘束の開始及び継続には何ら違法
性はない」とした。
さらには、人員の確保と身体拘束の重大性の
「理不尽」
関連について名古屋高裁の判決文は以下のよう
この言葉が軽いと感じられてしまうほどの結
に述べた。
果だった。
【判決文】
逆転勝訴。名古屋高裁の判決文
被控訴人は、12 月 14 日のように看護師 8 名
での対応と同様な対応を常に継続することは人員
原告である両親は当然のことながら控訴した。
的に極めて困難である旨主張しており、看護記録
控訴理由書にはこのように書いた。
「医師は
中にも、T 医師が「マンパワー足りず注射困難な
“どのような治療法を用いるか”
“どのような治
時は中止とする」と指示をする記載がみられるか
療判断をするか”に関してはもちろん一定のア
ら(乙 A ③〔20 頁〕)、必要な場面において十分な
ローワンス(裁量) がある」が、
「今回は、医
人員を確保できない場合が生じることも想定され
師が医療行為を、規律する法令に従って専門家
る。しかしながら、亡一也に対して必要な医療行
としての裁量を行使したかが争点である」と。
為を行うといった限定的な場面において、被控訴
その結果、名古屋高裁では、身体拘束の開始
人病院には、その都度、相当数の看護師を確保し
時からの違法を認める逆転勝訴となった。名古
なければならないことによる諸々の負担等が生じ
屋高裁の判決文は次のように述べている。
るとしても、身体的拘束は入院患者にとっては重
大な人権の制限となるものであるから、告示第
【判決文】
130 号の趣旨に照らすと、患者の生命や身体の安
本件身体的拘束の開始を判断した 12 月 14
全を図るための必要不可欠な医療行為を実施する
日午後 1 時 45 分の時点では、亡一也には診察
のに十分な人員を確保することができないような
に対し興奮、抵抗はなかったこと、本件診療経
限定的な場面においてのみ身体的拘束をすること
過を見ても、同日朝からの亡一也の言動は意味
が許されるものと解され、必要な診察を問題なく
不明な発言をしたり(午前 7 時 30 分頃)、
「ケイ
することができた 12 月 14 日午後 1 時 45 分の時
ヤ ク 違 反 や 」 と 繰 り 返 し 話 し た り( 同 10 時
点では「身体的拘束以外によい代替方法がない
頃)
、一方的に話などしたり(正午頃)する一方
場合」には当たらなかったものというべきである。
で、薬は拒否なく服用し(午前 7 時 30 分頃)、
昼食をすべて食べ食器の返却に応じた(正午頃)
そして判決は、身体拘束が隔離よりもさらに
というのであり、早朝から暴力的言動は一切見
人権制限の度合いが著しいとし、以下のように
られなかったことに照らすと、その前日までに
述べた。
544
閲覧情報:医学書院 10001
40
2024/12/24 11:32:15
看護師に対する暴力行為が見られたことや、亡
追った。
一也が大柄な男性であることなどの事情を考慮
一審判決は、
「医師には広い裁量があり、身
しても、本件身体的拘束を開始した時点では、
体拘束の実施要件を定めた精神保健福祉法第
告示第 130 号の「多動又は不穏が顕著である
37 条 1 項基準にも“主として”とあるのだか
場合」(第 4 の 2 イ)に該当するとは認めがたい。
ら、本件身体拘束の開始及び継続には何ら違法
性はない」とした。
さらには、人員の確保と身体拘束の重大性の
「理不尽」
関連について名古屋高裁の判決文は以下のよう
この言葉が軽いと感じられてしまうほどの結
に述べた。
果だった。
【判決文】
逆転勝訴。名古屋高裁の判決文
被控訴人は、12 月 14 日のように看護師 8 名
での対応と同様な対応を常に継続することは人員
原告である両親は当然のことながら控訴した。
的に極めて困難である旨主張しており、看護記録
控訴理由書にはこのように書いた。
「医師は
中にも、T 医師が「マンパワー足りず注射困難な
“どのような治療法を用いるか”
“どのような治
時は中止とする」と指示をする記載がみられるか
療判断をするか”に関してはもちろん一定のア
ら(乙 A ③〔20 頁〕)、必要な場面において十分な
ローワンス(裁量) がある」が、
「今回は、医
人員を確保できない場合が生じることも想定され
師が医療行為を、規律する法令に従って専門家
る。しかしながら、亡一也に対して必要な医療行
としての裁量を行使したかが争点である」と。
為を行うといった限定的な場面において、被控訴
その結果、名古屋高裁では、身体拘束の開始
人病院には、その都度、相当数の看護師を確保し
時からの違法を認める逆転勝訴となった。名古
なければならないことによる諸々の負担等が生じ
屋高裁の判決文は次のように述べている。
るとしても、身体的拘束は入院患者にとっては重
大な人権の制限となるものであるから、告示第
【判決文】
130 号の趣旨に照らすと、患者の生命や身体の安
本件身体的拘束の開始を判断した 12 月 14
全を図るための必要不可欠な医療行為を実施する
日午後 1 時 45 分の時点では、亡一也には診察
のに十分な人員を確保することができないような
に対し興奮、抵抗はなかったこと、本件診療経
限定的な場面においてのみ身体的拘束をすること
過を見ても、同日朝からの亡一也の言動は意味
が許されるものと解され、必要な診察を問題なく
不明な発言をしたり(午前 7 時 30 分頃)、
「ケイ
することができた 12 月 14 日午後 1 時 45 分の時
ヤ ク 違 反 や 」 と 繰 り 返 し 話 し た り( 同 10 時
点では「身体的拘束以外によい代替方法がない
頃)
、一方的に話などしたり(正午頃)する一方
場合」には当たらなかったものというべきである。
で、薬は拒否なく服用し(午前 7 時 30 分頃)、
昼食をすべて食べ食器の返却に応じた(正午頃)
そして判決は、身体拘束が隔離よりもさらに
というのであり、早朝から暴力的言動は一切見
人権制限の度合いが著しいとし、以下のように
られなかったことに照らすと、その前日までに
述べた。
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閲覧情報:医学書院 10001
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