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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (44 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》
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は良くなっていて、いつも通りアルバイトをし
て過ごした。

X

デー。入院時の診察で、生き延びるため
のリストカットを、医師は衝動性の高い

パーソナリティの表れとして見出した。
「拘束
ね。まず衝動行為を抑えないと治療できないか
ら。いい?」厳しい口調に気圧されて、先生に



束は、羞恥心と共に患者を内側から無力
化していく。拘束を一時たりともはずす

怒られた小学生のように縮こまって「はい」と

ことが許されなかった当初の私は、トイレに行

小さく答えるしかなかった。私の状態への一方

く権利さえ奪われた。すべては縛られたまま

的な分析やそれに対する治療方針の説明は、有

ベッドの上で行われた。2~3 歳以来となるオ

無を言わせない早いスピードのうちに終了し、

ムツを履かされ、
「トイレはここでしてね」と

何がなんだかよくわからなかった。

当然のようにサラッと言われたのだ。結局、自

拘束は本人の意思によらない強制入院の場合

律神経がうまく働かないせいか、どうしてもそ

にしか行われない。そう、だから措置入院と

の環境下では排泄できなかった。そこで、尿の

なった時点で、私の意思なんて、初めから尊重

ほうは尿道に管を入れっぱなしにして袋に尿が

されるものではなかったのだ。私の意思なん

貯まるようにし、便のほうは下剤の助けを借り

て、あると想定しただけ邪魔なノイズでしかな

て便意が来たタイミングで看護師に申し出て

い。あまりにも意に反する方向に物事がどんど

ベッド上でちりとりのようなものを差し込み、

ん進んでいくなか、ひとり無力に取り残される

用を足した。文章で書けばそれだけのことだ。

のは、そう宣告されているのと同じだった。

しかし、普段トイレを使っている人間が、排泄
をコントロールされ、排泄物を見られるのは、
尊厳をズタズタに傷つけられる拷問である。



力化。それは、拘束が成すことの最たる



計のない個室でひたすら天井を眺める 1
日は、とにかく長かった。ナースコール

効果の 1 つであり、医療者が無意識に

で「 今 何 時 で す か?」 と 問 う て は 1 時 間 も

使っている手段である。無力化の第一歩は、拘

経っていないことに絶望し、夕食を食べてから

束具をつける瞬間に始まっている。

いつまでも日が暮れていかないことに心の中で

病室に到着してすぐ、体操のマットと同じ固

嘆いたりした。1 秒、1 秒が苦しみだった。こ

くごわごわした生地でできた頑丈な拘束具を、

の状態がいつまで続くかもわからず、縛るくら

看護師が手慣れた様子で体に巻く。恐怖で固

いならさっさと殺してくれと願った。

まっている私をよそに、彼ら彼女らは、にべも

このような環境に置かれるという構造そのも

なく拘束具のロックを手早くかけた。このカ

のが、力で患者を組み敷く恐怖政治になってい

チッという音は、
“相手と対話が可能な対等な

るのだ。少しでも医師の思い通りにならなけれ

人間としての私”が力任せに破壊された瞬間の

ば、この生活が延びるかもしれない。どんなに

象徴として、耳に残っている。

強い怒りを感じていてもそれを行動に表せば、
拘束が追加されるかもしれない。相手が植え付

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閲覧情報:医学書院 10001

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2024/12/11 10:32:22