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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (28 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》 |
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精神科病院における身体的拘束
(4)機械的拘束の削減に向けた勧告及び取組
イタリアにおける機械的拘束の削減に向けた取組を、時系列に沿って以下に述べる。
2006 年には、拘束手段を排除した SPDC によって非営利組織「SPDC 非拘束クラブ(SPDC
No Restraint Club)」が結成され、2022 年時点で 19 の SPDC が参加している。同クラブが 2022
年に行った調査によれば、イタリア全土の 318 の SPDC のうち、拘束を行わずに運営されてい
る SPDC は同クラブのメンバーだけであったとされる(136)。
(137)
が「精
2010 年 7 月には、地域自治州会議(Conferenza delle Regioni e delle Province Autonome)
神 医 療 に お け る 身 体 的 拘 束: そ の 可 能 な 予 防 方 策(La contenzione fisica in psichiatria: una
strategia possibile di prevenzione)」と題する勧告を発表し、拘束の使用を防止するために必要な
事項として、質の高い情報の体系的な収集、急性期医療現場における暴力行為の地域レベルで
の監視、医療関係者等への研修の促進、危機状況の管理に関するサービスの体系的な品質管理
と改善の実践などを挙げた(138)。
2015 年、国家生命倫理委員会(Comitato Nazionale per la Bioetica: CNB)は医療における拘束
に関する見解を発表し、機械的拘束は最後の手段であるとして、実際に必要性・緊急性がある
状況に限り、具体的なニーズに比例した最も侵襲性の低い方法を使用し、危険が存在しなくなっ
た時点で終了しなければならないとの考え方を表明した(139)。さらに、推奨事項として、高齢
者に対する拘束に関する研究、医療的拘束の厳密な記録、拘束の克服を目的としたプログラム
の導入、医療サービスの評価における質の基準の導入、非人道的で屈辱的な行為にさらされる
可能性が高い人々に対する医療サービスの質の維持、普及及び向上を挙げた(140)。
2021 年 6 月、ロベルト・スペランツァ(Roberto Speranza)保健大臣(当時)は、地域精神
保健に関する全国会議の場において、2022 年 12 月 31 日までにイタリア全土の精神保健施設に
おける機械的拘束を廃絶する目標を掲げたと述べ、その目標を達成するために保健省が作成し
た文書の草案を対象地域及び自治体に送付したと明らかにした(141)。
その後、2022 年 3 月には当該文書の完全版として「精神保健部門の強化のための地域プロジェ
ク ト の 実 施 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン(Linee di indirizzo per la realizzazione dei progetti regionali
voltial rafforzamento dei Dipartimenti di Salute Mentale regionali)」が送付され、6000 万ユーロを
各地域・自治体に配分する(142)ことが併せて明示された(143)。しかし、その後、地域プロジェク
トの期限は 2023 年 6 月 30 日に延期されており(144)、現時点において、同プロジェクトの成果
(136) Veronica Rossi,“Psichiatria, ecco i 19 reparti dove non si lega nessuno,”VITA, 2023.1.24. <https://www.vita.it/psichiatriaecco-i-19-reparti-dove-non-si-lega-nessuno/>
(137) 地域及び自治州の役割の強化・保証、相互調整の促進等を担う共同機関。
(138) Conferenza delle Regioni e delle Province Autonome, Contenzione fisica in psichiatria: una strategia possibile di
prevenzione, 2010.7.29. <http://www.regioni.it/conferenze/2010/08/02/doc-approvato-psichiatria-contenzione-fisica-unastrategia-per-la-prevenzione-104535/>
(139) Comitato Nazionale per la Bioetica, Medical restraints: bioethical issues, 23 April 2015, p.12. <https://bioetica.governo.it/
media/3534/p120_2015_medical-restraint_en.pdf>
(140) ibid., pp.22-23.
(141) “Salute Mentale. Via la contenzione meccanica entro il 2023. Ecco il testo dellʼAccordo,”Quotidianosanità.it, 2021.6.29.
<https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=96794>
(142) 使われなかった資金は、プロジェクトの終了後、保健省に返還することとされている。
(143) “Salute mentale. Pronte le nuove linee dʼindirizzo del Ministero. Ecco gli obiettivi per le Regioni,”Quotidianosanità.it,
2022.3.15. <https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=103208>
(144) “Salute mentale. Sul tavolo della Conferenza Stato Regioni le nuove linee dʼindirizzo per il potenziamento dei Dsm,”
Quotidianosanità.it, 2022.4.27. <https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=104309>
国立国会図書館 調査及び立法考査局
レファレンス
28
884 号
2024. 8
87
(4)機械的拘束の削減に向けた勧告及び取組
イタリアにおける機械的拘束の削減に向けた取組を、時系列に沿って以下に述べる。
2006 年には、拘束手段を排除した SPDC によって非営利組織「SPDC 非拘束クラブ(SPDC
No Restraint Club)」が結成され、2022 年時点で 19 の SPDC が参加している。同クラブが 2022
年に行った調査によれば、イタリア全土の 318 の SPDC のうち、拘束を行わずに運営されてい
る SPDC は同クラブのメンバーだけであったとされる(136)。
(137)
が「精
2010 年 7 月には、地域自治州会議(Conferenza delle Regioni e delle Province Autonome)
神 医 療 に お け る 身 体 的 拘 束: そ の 可 能 な 予 防 方 策(La contenzione fisica in psichiatria: una
strategia possibile di prevenzione)」と題する勧告を発表し、拘束の使用を防止するために必要な
事項として、質の高い情報の体系的な収集、急性期医療現場における暴力行為の地域レベルで
の監視、医療関係者等への研修の促進、危機状況の管理に関するサービスの体系的な品質管理
と改善の実践などを挙げた(138)。
2015 年、国家生命倫理委員会(Comitato Nazionale per la Bioetica: CNB)は医療における拘束
に関する見解を発表し、機械的拘束は最後の手段であるとして、実際に必要性・緊急性がある
状況に限り、具体的なニーズに比例した最も侵襲性の低い方法を使用し、危険が存在しなくなっ
た時点で終了しなければならないとの考え方を表明した(139)。さらに、推奨事項として、高齢
者に対する拘束に関する研究、医療的拘束の厳密な記録、拘束の克服を目的としたプログラム
の導入、医療サービスの評価における質の基準の導入、非人道的で屈辱的な行為にさらされる
可能性が高い人々に対する医療サービスの質の維持、普及及び向上を挙げた(140)。
2021 年 6 月、ロベルト・スペランツァ(Roberto Speranza)保健大臣(当時)は、地域精神
保健に関する全国会議の場において、2022 年 12 月 31 日までにイタリア全土の精神保健施設に
おける機械的拘束を廃絶する目標を掲げたと述べ、その目標を達成するために保健省が作成し
た文書の草案を対象地域及び自治体に送付したと明らかにした(141)。
その後、2022 年 3 月には当該文書の完全版として「精神保健部門の強化のための地域プロジェ
ク ト の 実 施 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン(Linee di indirizzo per la realizzazione dei progetti regionali
voltial rafforzamento dei Dipartimenti di Salute Mentale regionali)」が送付され、6000 万ユーロを
各地域・自治体に配分する(142)ことが併せて明示された(143)。しかし、その後、地域プロジェク
トの期限は 2023 年 6 月 30 日に延期されており(144)、現時点において、同プロジェクトの成果
(136) Veronica Rossi,“Psichiatria, ecco i 19 reparti dove non si lega nessuno,”VITA, 2023.1.24. <https://www.vita.it/psichiatriaecco-i-19-reparti-dove-non-si-lega-nessuno/>
(137) 地域及び自治州の役割の強化・保証、相互調整の促進等を担う共同機関。
(138) Conferenza delle Regioni e delle Province Autonome, Contenzione fisica in psichiatria: una strategia possibile di
prevenzione, 2010.7.29. <http://www.regioni.it/conferenze/2010/08/02/doc-approvato-psichiatria-contenzione-fisica-unastrategia-per-la-prevenzione-104535/>
(139) Comitato Nazionale per la Bioetica, Medical restraints: bioethical issues, 23 April 2015, p.12. <https://bioetica.governo.it/
media/3534/p120_2015_medical-restraint_en.pdf>
(140) ibid., pp.22-23.
(141) “Salute Mentale. Via la contenzione meccanica entro il 2023. Ecco il testo dellʼAccordo,”Quotidianosanità.it, 2021.6.29.
<https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=96794>
(142) 使われなかった資金は、プロジェクトの終了後、保健省に返還することとされている。
(143) “Salute mentale. Pronte le nuove linee dʼindirizzo del Ministero. Ecco gli obiettivi per le Regioni,”Quotidianosanità.it,
2022.3.15. <https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=103208>
(144) “Salute mentale. Sul tavolo della Conferenza Stato Regioni le nuove linee dʼindirizzo per il potenziamento dei Dsm,”
Quotidianosanità.it, 2022.4.27. <https://www.quotidianosanita.it/governo-e-parlamento/articolo.php?articolo_id=104309>
国立国会図書館 調査及び立法考査局
レファレンス
28
884 号
2024. 8
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