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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》
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精神科病院における身体的拘束

は報じられていない。

おわりに
精神科病院における身体的拘束は、憲法で保障された権利を侵害するおそれがあり、拘束を
受けた患者の身体及び精神の健康を損なうほか、家族や看護師等の精神に悪影響を及ぼしたり、
病院の社会的信用を失わせたりする可能性がある。これらの弊害があるにもかかわらず、日本
における身体的拘束は近年まで増加し続け、現在も高止まりの状況が続いており、その実施率
は諸外国と比較して突出して高い。
日本において多くの身体的拘束が行われている背景には、入院患者に占める高齢者の割合の
増加、精神科病院における医師や看護師の不足、身体的拘束が医療従事者の教育や患者の治療
において前提となってしまっている現状、拘束を解くことによって患者の安全性が脅かされた
り、自身に危害が加えられたりすることに対する医療従事者の不安、患者に対する適正な医療
及び保護を確保する役割を果たす精神医療審査会の機能的限界など、様々な要因が指摘されて
いる。
ドイツやイギリスでは、近年、身体的拘束を更に削減するための法改正や立法が行われてお
り、また精神科病院の廃止を成し遂げたイタリアでも、総合病院の SPDC で依然として実施さ
れている身体的拘束の削減に向けた努力が続けられている。
身体的拘束の最小化は極めて困難な課題であるが、東京都立松沢病院を始め、身体的拘束の
削減に成功した事例が報告されており(145)、今後、こうした成果を先例とした精神科病院の取
組が注視される。
(すずき

ともゆき)

(145) 前掲注 なお、東京都立松沢病院の取組については、東京都立松沢病院編『「身体拘束最小化」を実現した松
沢病院の方法とプロセスを全公開』医学書院, 2020 などでも報告されている。

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レファレンス

884 号

国立国会図書館 調査及び立法考査局

2024. 8

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