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【参考資料2】長谷川参考人提出資料 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49021.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第4回 1/15)《厚生労働省》 |
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精神科病院における身体的拘束
立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。
2 「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見」の概要
障害者権利条約は、専門家から成る障害者権利委員会を設置し、国家報告制度等を通じて締
約国による条約上の義務の履行状況を監視することとしている。締約国の政府は同委員会に報
告を提出し、同委員会は締約国に対する事前質問及び委員と締約国との間で交わされる建設的
対話を経て、審査結果を総括所見として公表する(66)。
日本政府からの最初の報告となる「障害者の権利に関する条約
(67)
は
第 1 回日本政府報告」
平成 28(2016)年 6 月 30 日に提出され、障害者権利委員会は上に述べたプロセスを経て、令
和 4(2022)年 9 月 22 日の会合において「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見」
(以下「総
(68)
を採択した。この総括所見において、障害者権利委員会は障害者権利条
括所見」という。
)
約第 15 条に関し、「懸念をもって注目する」とした事項を 3 点挙げ、それぞれについて日本に
対する勧告を行った。内容は表 5 のとおりである。
表5
日本の精神科病院における身体的拘束に対する障害者権利委員会の第 1 回総括所見
懸念をもって注目するとされた事項
勧告
a
・精神科病院における障害者の隔離、身体的及び化 ・精神障害者の強制治療を合法化し、虐待につなが
る全ての法規定を廃止するとともに、精神障害者
学的拘束(注)、強制投薬、強制認知療法及び電気け
に関して、あらゆる介入を人権規範及び本条約に
いれん療法を含む強制的な治療
基づく締約国の義務に基づくものにすることを確
・心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
保すること
医療及び観察等に関する法律を含む、これらの慣
行を合法化する法律
b
・精神科病院における強制治療及び虐待を防止し報 ・障害者団体と協力の上、精神医学環境における障
害者へのあらゆる形態の強制治療又は虐待の防止
告することを確保するための、精神医療審査会の
及び報告のための、効果的な独立した監視の仕組
対象範囲及び独立性の欠如
みを設置すること
c
・強制治療又は長期入院を受けた障害者の権利の侵 ・精神科病院における、残虐で非人道的また品位を
傷つける取扱いを報告するために利用しやすい仕
害を調査するための独立した監視制度の欠如
組み及び被害者への効果的な救済策を設け、加害
・また、精神科病院における苦情及び申立ての仕組
者の起訴及び処罰を確保すること。
みの欠如
(注)患者を鎮静化するために向精神薬等を投薬すること。
(出典)障害者の権利に関する委員会「日本の第1回政府報告に関する総括所見[日本語仮訳]」2022.10.7. 外務省ウェ
ブサイト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf> を基に筆者作成。
Ⅳ
身体的拘束に係る政策動向
本章では、精神科病院における身体的拘束への対応に係る政策の変遷及び現在の検討状況を、
時系列に沿って述べる。
山崎公士「総括所見の意義と活用―障害者権利条約・第 1 回国家報告審査を終えて―」『新ノーマライゼーショ
ン』42(12), 2022.12, pp.2-4. <https://www.dinf.ne.jp/d/5/635.html>
「障害者の権利に関する条約 第 1 回日本政府報告(日本語仮訳)
」外務省ウェブサイト <https://www.mofa.go.jp/
mofaj/files/000171085.pdf>
障害者の権利に関する委員会「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見[日本語仮訳]」2022.10.7. 外務省ウェ
ブサイト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf>
国立国会図書館 調査及び立法考査局
レファレンス
16
884 号
2024. 8
75
立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。
2 「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見」の概要
障害者権利条約は、専門家から成る障害者権利委員会を設置し、国家報告制度等を通じて締
約国による条約上の義務の履行状況を監視することとしている。締約国の政府は同委員会に報
告を提出し、同委員会は締約国に対する事前質問及び委員と締約国との間で交わされる建設的
対話を経て、審査結果を総括所見として公表する(66)。
日本政府からの最初の報告となる「障害者の権利に関する条約
(67)
は
第 1 回日本政府報告」
平成 28(2016)年 6 月 30 日に提出され、障害者権利委員会は上に述べたプロセスを経て、令
和 4(2022)年 9 月 22 日の会合において「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見」
(以下「総
(68)
を採択した。この総括所見において、障害者権利委員会は障害者権利条
括所見」という。
)
約第 15 条に関し、「懸念をもって注目する」とした事項を 3 点挙げ、それぞれについて日本に
対する勧告を行った。内容は表 5 のとおりである。
表5
日本の精神科病院における身体的拘束に対する障害者権利委員会の第 1 回総括所見
懸念をもって注目するとされた事項
勧告
a
・精神科病院における障害者の隔離、身体的及び化 ・精神障害者の強制治療を合法化し、虐待につなが
る全ての法規定を廃止するとともに、精神障害者
学的拘束(注)、強制投薬、強制認知療法及び電気け
に関して、あらゆる介入を人権規範及び本条約に
いれん療法を含む強制的な治療
基づく締約国の義務に基づくものにすることを確
・心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
保すること
医療及び観察等に関する法律を含む、これらの慣
行を合法化する法律
b
・精神科病院における強制治療及び虐待を防止し報 ・障害者団体と協力の上、精神医学環境における障
害者へのあらゆる形態の強制治療又は虐待の防止
告することを確保するための、精神医療審査会の
及び報告のための、効果的な独立した監視の仕組
対象範囲及び独立性の欠如
みを設置すること
c
・強制治療又は長期入院を受けた障害者の権利の侵 ・精神科病院における、残虐で非人道的また品位を
傷つける取扱いを報告するために利用しやすい仕
害を調査するための独立した監視制度の欠如
組み及び被害者への効果的な救済策を設け、加害
・また、精神科病院における苦情及び申立ての仕組
者の起訴及び処罰を確保すること。
みの欠如
(注)患者を鎮静化するために向精神薬等を投薬すること。
(出典)障害者の権利に関する委員会「日本の第1回政府報告に関する総括所見[日本語仮訳]」2022.10.7. 外務省ウェ
ブサイト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf> を基に筆者作成。
Ⅳ
身体的拘束に係る政策動向
本章では、精神科病院における身体的拘束への対応に係る政策の変遷及び現在の検討状況を、
時系列に沿って述べる。
山崎公士「総括所見の意義と活用―障害者権利条約・第 1 回国家報告審査を終えて―」『新ノーマライゼーショ
ン』42(12), 2022.12, pp.2-4. <https://www.dinf.ne.jp/d/5/635.html>
「障害者の権利に関する条約 第 1 回日本政府報告(日本語仮訳)
」外務省ウェブサイト <https://www.mofa.go.jp/
mofaj/files/000171085.pdf>
障害者の権利に関する委員会「日本の第 1 回政府報告に関する総括所見[日本語仮訳]」2022.10.7. 外務省ウェ
ブサイト <https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf>
国立国会図書館 調査及び立法考査局
レファレンス
16
884 号
2024. 8
75