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参考資料7 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用について~(令和4年2月1日総合科学技術・イノベーション会議) (36 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29769.html |
出典情報 | ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(再設置第4回 12/28)《厚生労働省》《文部科学省》 |
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た広範な知見に基づいて、科学的検証を継続的に行う必要がある。このため、上記
の制度的枠組みの整備を踏まえつつ、総合科学技術会議を中心として、科学的検証
を行うための体制を整備する必要がある。この科学的検証についての検討の結果、
人クローン胚を用いた研究を進める必要がなくなったと判断された場合や、特に研
究を中止すべき事情があると判断された場合等には、研究の中止の勧告も含めた措
置を講ずるものとする。また、人クローン胚を作成し、または利用すること及びS
CNT-ヒトES細胞を用いて再生医療を行うことについて、社会的妥当性が失わ
れたと判断された場合にも同様である。
第5.むすび
本報告書は、ヒト胚の取扱いについて、人の存在や生命を尊重する我々の社会の基本
的価値を堅持しつつ、生命科学の発展による人々の健康と福祉に関する幸福追及の要請
にも応えられるような社会規範の整備という観点から検討を行ない、まずは、ヒト受精
胚について、「人」そのものではないとしても「人の生命の萌芽」であり、「人の尊厳」
という社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき存在として位置付け、かか
る位置付けに基づいて、その取扱いの基本原則を提示した。その上で、人クローン胚に
ついても、ヒト受精胚と同じ位置付けが与えられるべきとし、その取扱いについて、同
じ基本原則を用いることとし、この基本原則に基づく社会選択として、人クローン胚の
作成・利用への扉を開くこととする判断を行なったのである。
ヒト胚の取扱いについては、個々人の倫理観や生命観の相違が影響する問題であり、
生命倫理専門調査会の3年近い審議を経てなお、議論の一致点を見出せなかった部分も
あった。また、今回、必ずしもヒト胚に関わる倫理的な問題の全てについて、整理をし
得たものとは言い難い。しかし、生命倫理専門調査会における本検討の目的は、ヒト胚
の取扱いに関わる倫理問題そのものについての答えを出すことではなく、あくまで、ヒ
ト胚の取扱いという倫理的懸念が指摘される問題について、生命科学の急速な発展の中
においても、社会の基本的価値を堅持し、かつ人々の幸福追及の要請にも応え得るよう
な社会規範を整備することにあるものと理解し、取りまとめたものが、本報告書である。
今後、我々は、「人の尊厳」という社会の基本的価値を堅持し、人間の道具化・手段化
といった倫理的な懸念が具体化することのないよう、本報告書に示された方針に基づい
て具体的な対応を進める必要がある。ただし、本報告書は、あくまで現在及び想定し得
る限りでの将来の状況を踏まえてヒト胚に関する社会規範の在り方を示すものであり、
将来にわたって永続的に維持されるものではない。今後、ヒト胚に関する生命科学の発
展や社会の変化の中で、最新の科学的知見や社会的妥当性の評価に基づいた見直しを行
なうことも必要である。
また、そうした見直しの基盤としても、研究者の側は、ヒト胚に関する最新の科学的
知見を積極的に国民に示し、研究の必要性等について社会の一層の理解を求める努力を
継続する必要がある。
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の制度的枠組みの整備を踏まえつつ、総合科学技術会議を中心として、科学的検証
を行うための体制を整備する必要がある。この科学的検証についての検討の結果、
人クローン胚を用いた研究を進める必要がなくなったと判断された場合や、特に研
究を中止すべき事情があると判断された場合等には、研究の中止の勧告も含めた措
置を講ずるものとする。また、人クローン胚を作成し、または利用すること及びS
CNT-ヒトES細胞を用いて再生医療を行うことについて、社会的妥当性が失わ
れたと判断された場合にも同様である。
第5.むすび
本報告書は、ヒト胚の取扱いについて、人の存在や生命を尊重する我々の社会の基本
的価値を堅持しつつ、生命科学の発展による人々の健康と福祉に関する幸福追及の要請
にも応えられるような社会規範の整備という観点から検討を行ない、まずは、ヒト受精
胚について、「人」そのものではないとしても「人の生命の萌芽」であり、「人の尊厳」
という社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき存在として位置付け、かか
る位置付けに基づいて、その取扱いの基本原則を提示した。その上で、人クローン胚に
ついても、ヒト受精胚と同じ位置付けが与えられるべきとし、その取扱いについて、同
じ基本原則を用いることとし、この基本原則に基づく社会選択として、人クローン胚の
作成・利用への扉を開くこととする判断を行なったのである。
ヒト胚の取扱いについては、個々人の倫理観や生命観の相違が影響する問題であり、
生命倫理専門調査会の3年近い審議を経てなお、議論の一致点を見出せなかった部分も
あった。また、今回、必ずしもヒト胚に関わる倫理的な問題の全てについて、整理をし
得たものとは言い難い。しかし、生命倫理専門調査会における本検討の目的は、ヒト胚
の取扱いに関わる倫理問題そのものについての答えを出すことではなく、あくまで、ヒ
ト胚の取扱いという倫理的懸念が指摘される問題について、生命科学の急速な発展の中
においても、社会の基本的価値を堅持し、かつ人々の幸福追及の要請にも応え得るよう
な社会規範を整備することにあるものと理解し、取りまとめたものが、本報告書である。
今後、我々は、「人の尊厳」という社会の基本的価値を堅持し、人間の道具化・手段化
といった倫理的な懸念が具体化することのないよう、本報告書に示された方針に基づい
て具体的な対応を進める必要がある。ただし、本報告書は、あくまで現在及び想定し得
る限りでの将来の状況を踏まえてヒト胚に関する社会規範の在り方を示すものであり、
将来にわたって永続的に維持されるものではない。今後、ヒト胚に関する生命科学の発
展や社会の変化の中で、最新の科学的知見や社会的妥当性の評価に基づいた見直しを行
なうことも必要である。
また、そうした見直しの基盤としても、研究者の側は、ヒト胚に関する最新の科学的
知見を積極的に国民に示し、研究の必要性等について社会の一層の理解を求める努力を
継続する必要がある。
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