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参考資料7 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用について~(令和4年2月1日総合科学技術・イノベーション会議) (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29769.html |
出典情報 | ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(再設置第4回 12/28)《厚生労働省》《文部科学省》 |
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(研究用新規作成胚の作成が必要と考えられる研究例)
・体外受精による多くの胚は発生途中で発生停止・流産に至るが、その背景に染色体異常な
どの遺伝子異常があると考えられている。しかし、ヒト卵子や初期胚における個々の遺伝
子の挙動と働きは未解明な部分が多い。近年、ヒト初期胚の網羅的遺伝子発現解析により、
初期胚発生においては、卵性遺伝子から胚性遺伝子への遺伝子発現のスイッチや、胚性遺
伝子発現が連鎖的に引き起こされることや、発生停止胚の遺伝子発現の網羅的解析により、
胚性ゲノムからの転写を誘導する遺伝子群の発現が低下していることが明らかになってい
る。これらの遺伝子を対象にゲノム編集技術を用いて初期胚発生への影響を検討すること
により、初期胚発生に重要な働きを担っている遺伝子及びその機能が明らかになるなど、
生殖補助医療の向上に資する知見が得られる可能性がある。
・ヒト受精胚には、受精の瞬間から遺伝子、細胞等に短時間で多様な変化が生じる。このた
め、ヒト受精胚の初期の状態を把握するためには、受精の瞬間から観察することが重要で
ある。
・ヒト受精胚の発生初期に生じる染色体異常の頻度は高く、卵割開始後に染色体異常が生じ
やすい理由、染色体異常が生じた卵割球が失われていく仕組みなど、そのメカニズムの解
明については生殖補助医療目的の基礎研究と目的が重複する。
・精子先端酵素の異常原因の特定と治療法開発の研究などでは、ゲノム編集を行った精子を
実際に受精させることが必要である。
・生殖機構は動物種により異なるために、実験動物を用いた解析には限界がある。特に受精
や卵活性化、配偶子エピゲノム初期化メカニズムを対象とする場合は、ヒト受精胚の作成
を伴う研究が必要。
・中国や米国において、ヒト受精胚の作成を伴うゲノム編集技術を用いた基礎的研究が行わ
れている。
(研究用新規作成胚にゲノム編集等を行う場合の科学的合理性に係る慎重意見)
・受精胚で起こる現象のうちインプリンティングなどは配偶子形成の段階で起こるものであ
り、研究用新規作成胚にゲノム編集を行う研究の科学的合理性の想定は、現時点では困難
である。
【社会的妥当性について】
研究用新規作成胚の作成を伴うゲノム編集技術等を用いて実施する「生殖補
助医療研究」の社会的妥当性に関しては、タスク・フォースにおける主要知見
等より、以下のとおり考えられる。
(「基本的考え方」を踏まえた整理)
○「基本的考え方」においては、当該目的でのヒト受精胚の作成・利用に関す
る社会的妥当性として生殖補助医療技術の維持や生殖補助医療の安全性確保
への期待が示され、それに基づいてART指針が整備されているが、ゲノム
編集技術という新たな技術の導入により、受精のメカニズムや卵活性化につ
いて研究用新規作成胚の作成・利用により得られる可能性がある科学的知見
が増大していることは、生殖補助医療技術の一層の向上に資する可能性があ
ると考えられる。
(倫理的観点や臨床応用を念頭に置いた慎重意見)
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・体外受精による多くの胚は発生途中で発生停止・流産に至るが、その背景に染色体異常な
どの遺伝子異常があると考えられている。しかし、ヒト卵子や初期胚における個々の遺伝
子の挙動と働きは未解明な部分が多い。近年、ヒト初期胚の網羅的遺伝子発現解析により、
初期胚発生においては、卵性遺伝子から胚性遺伝子への遺伝子発現のスイッチや、胚性遺
伝子発現が連鎖的に引き起こされることや、発生停止胚の遺伝子発現の網羅的解析により、
胚性ゲノムからの転写を誘導する遺伝子群の発現が低下していることが明らかになってい
る。これらの遺伝子を対象にゲノム編集技術を用いて初期胚発生への影響を検討すること
により、初期胚発生に重要な働きを担っている遺伝子及びその機能が明らかになるなど、
生殖補助医療の向上に資する知見が得られる可能性がある。
・ヒト受精胚には、受精の瞬間から遺伝子、細胞等に短時間で多様な変化が生じる。このた
め、ヒト受精胚の初期の状態を把握するためには、受精の瞬間から観察することが重要で
ある。
・ヒト受精胚の発生初期に生じる染色体異常の頻度は高く、卵割開始後に染色体異常が生じ
やすい理由、染色体異常が生じた卵割球が失われていく仕組みなど、そのメカニズムの解
明については生殖補助医療目的の基礎研究と目的が重複する。
・精子先端酵素の異常原因の特定と治療法開発の研究などでは、ゲノム編集を行った精子を
実際に受精させることが必要である。
・生殖機構は動物種により異なるために、実験動物を用いた解析には限界がある。特に受精
や卵活性化、配偶子エピゲノム初期化メカニズムを対象とする場合は、ヒト受精胚の作成
を伴う研究が必要。
・中国や米国において、ヒト受精胚の作成を伴うゲノム編集技術を用いた基礎的研究が行わ
れている。
(研究用新規作成胚にゲノム編集等を行う場合の科学的合理性に係る慎重意見)
・受精胚で起こる現象のうちインプリンティングなどは配偶子形成の段階で起こるものであ
り、研究用新規作成胚にゲノム編集を行う研究の科学的合理性の想定は、現時点では困難
である。
【社会的妥当性について】
研究用新規作成胚の作成を伴うゲノム編集技術等を用いて実施する「生殖補
助医療研究」の社会的妥当性に関しては、タスク・フォースにおける主要知見
等より、以下のとおり考えられる。
(「基本的考え方」を踏まえた整理)
○「基本的考え方」においては、当該目的でのヒト受精胚の作成・利用に関す
る社会的妥当性として生殖補助医療技術の維持や生殖補助医療の安全性確保
への期待が示され、それに基づいてART指針が整備されているが、ゲノム
編集技術という新たな技術の導入により、受精のメカニズムや卵活性化につ
いて研究用新規作成胚の作成・利用により得られる可能性がある科学的知見
が増大していることは、生殖補助医療技術の一層の向上に資する可能性があ
ると考えられる。
(倫理的観点や臨床応用を念頭に置いた慎重意見)
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