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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●2 臨床像
【病理像の特徴】
剖検例の検討では,SARS-CoV-2 は II 型肺胞上皮細胞に検出され,肺胞上皮細胞へのウ
イルス感染によるウイルス性肺炎が COVID-19 肺炎の本態と考えられている.重症例では,
ARDS を反映した DAD(diffuse alveolar damage:びまん性肺胞傷害)の所見が特徴的である.
ウイルス抗原は炎症や DAD の所見に乏しく正常な肺に近い形態を示す領域において多く認め
られる.肺胞上皮への SARS-CoV-2 の感染が病理形成に先行し,感染後の免疫応答によって
上記のような病変が形成されると考えられる.また COVID-19 肺炎では,同一個体の同一肺
葉内において,滲出期から線維化期までさまざまな病期の病変が同時に存在することが特徴的
である.すなわち,肺内のすべての部位において同時にウイルス感染が生じるのではなく,ウ
イルス感染が徐々に広がることによって次第に病変が拡大し,最終的に呼吸不全をきたすよう
な広大な病変が形成されることが示唆される.
【インフルエンザとの鑑別】
COVID-19 とインフルエンザを臨床症状のみで鑑別することは困難である.地域の流行状
況によっては,発熱や呼吸器症状を呈する患者を診る場合,インフルエンザと COVID-19 と
の両方の可能性を考慮し,同時に検査する場合もあると考えられる.定点当たりのインフル
エンザ受診患者報告数は,2020/2021 シーズン,2021/2022 シーズンと,例年と比べ著し
く少なかったが,今冬 (2022/23 シーズン ) は過去2年と比較すると報告数が増加しており,
2022 年度末に流行入りをした.
また,2022 年 12 月現在,世界的にインフルエンザの患者数は増加し,
特に北米で顕著である.
検出されるインフルエンザウイルスは A(H3N2)亜型が優勢となっている.南半球のオセア
ニア,アフリカ南部,南米では今シーズン(主に日本の夏季・現地の冬季)に COVID-19 流
行前やそれに近い水準のインフルエンザの流行を認めた.インフルエンザの疫学情報は国立感
染症研究所などにおいて週報で公表されているので参考にされたい.
〈参考〉WHO. Influenza Update N° 436, 09 January 2023.
2 重症化のリスク因子
COVID-19 は自然に回復する患者も多いが,特定の属性や基礎疾患があると,医療上の入院,酸
素投与,集中治療が必要となるリスク(重症化リスク)が大きくなる.本項ではこれらの重症化リ
スク因子についてまとめた.一般にリスク因子の数が多いほど重症化リスクは大きくなると考えら
れている.ワクチン接種を適切に受けることは重症化リスクを低下させる有効な手段である.
【年齢・性別】
高齢は最も重要な重症化リスク因子である.オミクロンの流行において,成人の全年齢群で重
症化リスクは低下していると考えられるが,高齢者ほどリスクが大きい点は変化していない(図
2-1)
.特に高齢かつ後述する基礎疾患のある患者でリスクが大きい.
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【病理像の特徴】
剖検例の検討では,SARS-CoV-2 は II 型肺胞上皮細胞に検出され,肺胞上皮細胞へのウ
イルス感染によるウイルス性肺炎が COVID-19 肺炎の本態と考えられている.重症例では,
ARDS を反映した DAD(diffuse alveolar damage:びまん性肺胞傷害)の所見が特徴的である.
ウイルス抗原は炎症や DAD の所見に乏しく正常な肺に近い形態を示す領域において多く認め
られる.肺胞上皮への SARS-CoV-2 の感染が病理形成に先行し,感染後の免疫応答によって
上記のような病変が形成されると考えられる.また COVID-19 肺炎では,同一個体の同一肺
葉内において,滲出期から線維化期までさまざまな病期の病変が同時に存在することが特徴的
である.すなわち,肺内のすべての部位において同時にウイルス感染が生じるのではなく,ウ
イルス感染が徐々に広がることによって次第に病変が拡大し,最終的に呼吸不全をきたすよう
な広大な病変が形成されることが示唆される.
【インフルエンザとの鑑別】
COVID-19 とインフルエンザを臨床症状のみで鑑別することは困難である.地域の流行状
況によっては,発熱や呼吸器症状を呈する患者を診る場合,インフルエンザと COVID-19 と
の両方の可能性を考慮し,同時に検査する場合もあると考えられる.定点当たりのインフル
エンザ受診患者報告数は,2020/2021 シーズン,2021/2022 シーズンと,例年と比べ著し
く少なかったが,今冬 (2022/23 シーズン ) は過去2年と比較すると報告数が増加しており,
2022 年度末に流行入りをした.
また,2022 年 12 月現在,世界的にインフルエンザの患者数は増加し,
特に北米で顕著である.
検出されるインフルエンザウイルスは A(H3N2)亜型が優勢となっている.南半球のオセア
ニア,アフリカ南部,南米では今シーズン(主に日本の夏季・現地の冬季)に COVID-19 流
行前やそれに近い水準のインフルエンザの流行を認めた.インフルエンザの疫学情報は国立感
染症研究所などにおいて週報で公表されているので参考にされたい.
〈参考〉WHO. Influenza Update N° 436, 09 January 2023.
2 重症化のリスク因子
COVID-19 は自然に回復する患者も多いが,特定の属性や基礎疾患があると,医療上の入院,酸
素投与,集中治療が必要となるリスク(重症化リスク)が大きくなる.本項ではこれらの重症化リ
スク因子についてまとめた.一般にリスク因子の数が多いほど重症化リスクは大きくなると考えら
れている.ワクチン接種を適切に受けることは重症化リスクを低下させる有効な手段である.
【年齢・性別】
高齢は最も重要な重症化リスク因子である.オミクロンの流行において,成人の全年齢群で重
症化リスクは低下していると考えられるが,高齢者ほどリスクが大きい点は変化していない(図
2-1)
.特に高齢かつ後述する基礎疾患のある患者でリスクが大きい.
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