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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (41 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●4 重症度分類とマネジメント

5 高齢者の管理
高齢者(65 歳以上)における COVID-19 の特徴は,併存疾患の多いこと,非典型的な症状

を示すこと,ときに炎症反応が強く出現することなどである.このため高齢者では,若年者と
比較して臨床像が異なること,また,重症化するリスクが高いことに留意する.さらに急性期
の治療に加え,廃用予防や合併症予防といった機能維持を目標とした適切なリハビリテーショ

ンも治療と並行して早期に実施することも重要である.また,消化器症状による摂食障害など
から容易に脱水や栄養障害を来すことにも留意する.特に重要なことは,SARS-CoV-2 によ

るウイルス性肺炎に加え,二次性細菌性および誤嚥性肺炎併発に対する考慮である.呼吸不全
を認める場合には単純に中等症 II のウイルス性肺炎と考えず,二次性細菌性肺炎やうっ血性心
不全の可能性にも留意する.

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高齢者において特に留意すべき患者背景

一般的に,本手引きの表 2-1,表 2-2,および表 2-3 に示される重症化リスク因子の多く

が高齢者にも認められる.実際の年齢以上に,フレイル(要介護の一歩手前の健康状態)は

COVID-19 の経過中に進行しやすく,入院の長期化によって寝たきり状態となる可能性もある.
このような患者では,一般的に,人工呼吸器からの離脱が困難となることもあり,本人や家族
の意思を確認して治療を選択する必要がある.

本手引きや諸外国のガイドラインで示されている重症度分類は,SARS-CoV-2 によるウイ

ルス性肺炎を意識して作成されたものである.オミクロンの感染拡大に伴い,二次性細菌性肺
炎や誤嚥性肺炎の合併する頻度が高くなった高齢者の重症度や予後を評価する方法に現時点で
定まったものはない.

【参考】高齢者の病状評価には,市中肺炎や医療介護関連肺炎の重症度分類が参考になると考えられる.日本
呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン 2017」においては,下記の重症度分類(A-DROP システム)が用
いられている.
A(Age):男性 70 歳以上,女性 75 歳以上

D(Dehydration):BUN 21mg/dL 以上または脱水あり

R(Respiration)SpO2 90% 以下(PaO2 60Torr 以下)
O(Orientation):意識変容あり

P(Pressure):血圧(収縮期)90mmHg 以下

軽症:上記 5 つの項目のいずれも満たさないもの,中等症:上記項目の 1 つまたは 2 つを有するもの,重
症:上記項目の 3 つを有するもの,超重症:上記項目の 4 つまたは 5 つを有するもの,に分類される.ただ
し,ショックがあれば 1 項目のみでも超重症とする.
呼吸不全に加えて,脱水,意識障害,ショックの項目が含まれ,患者の総合的な評価に役立つことが期待
される.予後の評価方法については今後の知見が待たれる.

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