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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●2 臨床像
4 合併症
COVID-19 では呼吸器以外の器官・臓器にも多彩な病態をきたすことが報告されており,さ
まざまな臓器で病理組織学的な変化が見られることが報告されている.このような呼吸器以外
の臓器の病変部においても SARS-CoV-2 を検出したという研究結果が複数報告されている.
一方で相反する報告も複数あり,SARS-CoV-2 が呼吸器以外の臓器に感染するか否かは現時
点で確定的ではない.呼吸器以外での病態が SARS-CoV-2 感染による直接的な組織傷害より
生じたものであるのか,あるいは感染に対する宿主応答による変化であるのかという点につい
ては,今後更なる研究が必要と考えられる.
呼吸不全:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は重症患者の主な合併症であり,呼吸困難の発症直
後に現れることがある.
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが
報告されている.また,COVID-19 の発症から 1 カ月以上経過しても脳血管障害,不整脈,虚
血および非虚血性心疾患,心膜炎,心筋炎,心不全などのリスクがあがることが報告されている.
〈参考〉若年者の男性を中心に,mRNA ワクチン接種後にも心筋炎・心膜炎を疑う報告を稀に認める(心筋炎および心膜炎
を副反応疑い報告基準に定めた 2021 年 12 月 6 日から 2022 年 11 月 13 日までの国内疑い報告のうち心筋炎または心膜
炎と評価された件数は 237 件).長期的な予後は調査中だが,自然感染と比較して,頻度は低く予後も良好であることなど
から,各国において予防接種による有益性はリスクを上回ると評価されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告され,高い致死率との関連が指
摘されている.中等症以上を中心に予防的な抗凝固療法が広く施行されるようになった最近の
日本国内の調査では,COVID-19 入院患者 2,894 名(2021 年 4 〜 9 月に入院)のうち,55
名(1.9 %)に血栓塞栓症(脳梗塞 9 名,心筋梗塞 2 名,下肢動脈血栓塞栓症 1 名,深部静
脈血栓症 18 名,肺血栓塞栓症 21 名)を認めた.COVID-19 の重症度が高い症例ほど血栓塞
栓症の合併率が高いと考えられる.多くは COVID-19 の増悪期に合併するが,回復期に発生
することもある.
炎症性合併症:重症患者では,サイトカイン放出症候群に類似した,持続的な発熱,炎症マーカー
の上昇などを伴う病態を呈することがある.また,
炎症性合併症としてギラン・バレー症候群
(発
症後 5 ~ 10 日)や,川崎病に類似した臨床的特徴を持つ多系統炎症性症候群
(
「4-6 小児の管理」
参照)も欧米を中心に小児で報告されている.
16
4 合併症
COVID-19 では呼吸器以外の器官・臓器にも多彩な病態をきたすことが報告されており,さ
まざまな臓器で病理組織学的な変化が見られることが報告されている.このような呼吸器以外
の臓器の病変部においても SARS-CoV-2 を検出したという研究結果が複数報告されている.
一方で相反する報告も複数あり,SARS-CoV-2 が呼吸器以外の臓器に感染するか否かは現時
点で確定的ではない.呼吸器以外での病態が SARS-CoV-2 感染による直接的な組織傷害より
生じたものであるのか,あるいは感染に対する宿主応答による変化であるのかという点につい
ては,今後更なる研究が必要と考えられる.
呼吸不全:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は重症患者の主な合併症であり,呼吸困難の発症直
後に現れることがある.
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが
報告されている.また,COVID-19 の発症から 1 カ月以上経過しても脳血管障害,不整脈,虚
血および非虚血性心疾患,心膜炎,心筋炎,心不全などのリスクがあがることが報告されている.
〈参考〉若年者の男性を中心に,mRNA ワクチン接種後にも心筋炎・心膜炎を疑う報告を稀に認める(心筋炎および心膜炎
を副反応疑い報告基準に定めた 2021 年 12 月 6 日から 2022 年 11 月 13 日までの国内疑い報告のうち心筋炎または心膜
炎と評価された件数は 237 件).長期的な予後は調査中だが,自然感染と比較して,頻度は低く予後も良好であることなど
から,各国において予防接種による有益性はリスクを上回ると評価されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告され,高い致死率との関連が指
摘されている.中等症以上を中心に予防的な抗凝固療法が広く施行されるようになった最近の
日本国内の調査では,COVID-19 入院患者 2,894 名(2021 年 4 〜 9 月に入院)のうち,55
名(1.9 %)に血栓塞栓症(脳梗塞 9 名,心筋梗塞 2 名,下肢動脈血栓塞栓症 1 名,深部静
脈血栓症 18 名,肺血栓塞栓症 21 名)を認めた.COVID-19 の重症度が高い症例ほど血栓塞
栓症の合併率が高いと考えられる.多くは COVID-19 の増悪期に合併するが,回復期に発生
することもある.
炎症性合併症:重症患者では,サイトカイン放出症候群に類似した,持続的な発熱,炎症マーカー
の上昇などを伴う病態を呈することがある.また,
炎症性合併症としてギラン・バレー症候群
(発
症後 5 ~ 10 日)や,川崎病に類似した臨床的特徴を持つ多系統炎症性症候群
(
「4-6 小児の管理」
参照)も欧米を中心に小児で報告されている.
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