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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (39 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●4 重症度分類とマネジメント
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体外式膜型人工肺(ECMO)
ECMO の適応には慎重かつ総合的に判断し,経験が豊富とはいえない施設においては,専門家の
助言を取り入れることを前提に,ECMO 開始前の人工呼吸管理を適切に行い,導入のタイミングを
逃さないことに注意が必要である.
ECMO を導入しても高度な肺線維化が生じた場合は撤退を余儀なくされることもあり,導入前に
インフォームド・コンセントが必要になる.また,ECMO の禁忌・適応外の病態として,不可逆性
の基礎疾患,末期癌,慢性心不全,慢性呼吸不全,その他重度の慢性臓器不全の合併が考えられる.
その他,カニュラの選択,使用する人工肺・ポンプ,回路内圧モニタリング,ECMO 中の人工呼
吸器設定,ECMO 撤退・DNAR,さらには安定した長期管理を行うための詳細について不明な場合
には,「NPO 法人日本 ECMOnet」に相談できる体制(専用電話番号はメールアドレスの登録があ
る関連学会会員に配信されている)が整えられており,積極的な利用が推奨される.
ミシガン大学の Barbaro らは,The Extracorporeal Life Support Organization(ELSO)レ
ジストリを用いて 36 カ国 213 施設で 2020 年 1 月 16 日から 5 月 1 日までに ECMO を使用し
た 16 歳以上の COVID-19 患者 1,035 例を解析した.その結果,ECMO 開始後 90 日以内の院内
死亡率は 37.4 %(95%CI 34.4 ~ 40.4),最終転帰が死亡または退院だった患者 968 例の死亡率
は 39 %だった.また,V-V ECMO を使用した ARDS 患者の ECMO 開始後 90 日以内の院内死
亡率は 38.0 %(95%CI 34.6 ~ 41.5)と推定された.COVID-19 における ECMO の治療成績は
COVID-19 流行前の呼吸 ECMO の成績と同等であり,有意義なエビデンスが示されていると考え
られる.しかし,2020 年 5 月 2 日~ 12 月 31 日の期間(日本を含む 41 カ国,349 施設)の院内
死亡累積発生率は初期導入群(2,824 例)で 51.9 %(95% CI 50.0 ~ 53.8),後期導入群(806 例)
では 58.9 %(95% CI 55.4 ~ 62.3)と悪化していた.
日 本 国 内 で は 2023 年 1 月 19 日 現 在 の「NPO 法 人 日 本 ECMOnet」 か ら の 報 告 で は,
ECMO 累積治療患者は 1,386 例で,内訳は ECMO 離脱 869 例,死亡 499 例,ECMO 実施
中 18 例(ほぼ国内の全症例を網羅されている)である.年齢は 50 ~ 59 歳が最も多く,次
いで 60 ~ 69 歳,40 ~ 49 歳である.また,男性症例は女性の約 4 倍である.ECMO 導入
前の PEEP 値は9< PEEP ≦ 12 で最も多く,その群での軽快割合は 62 %である.ECMO 導
入前の PF 比では 50 < PF 比≦ 99 が最も多く,その群での軽快割合は 64 %である.また
ECMO 治療日数については,軽快例では中央値 11.0 日,死亡例では中央値 20.0 日となって
いる.
全国における日毎の ECMO 装着数は,
デルタが主体の 2021 年 9 月 15 日にピーク(164 例)
を示した.オミクロン流行期間中は,2022 年 3 月 9 日のピーク時でも 30 例に留まっている.
〈参考〉 NPO 法人日本 ECMO net. COVID-19 重症患者状況の集計.
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体外式膜型人工肺(ECMO)
ECMO の適応には慎重かつ総合的に判断し,経験が豊富とはいえない施設においては,専門家の
助言を取り入れることを前提に,ECMO 開始前の人工呼吸管理を適切に行い,導入のタイミングを
逃さないことに注意が必要である.
ECMO を導入しても高度な肺線維化が生じた場合は撤退を余儀なくされることもあり,導入前に
インフォームド・コンセントが必要になる.また,ECMO の禁忌・適応外の病態として,不可逆性
の基礎疾患,末期癌,慢性心不全,慢性呼吸不全,その他重度の慢性臓器不全の合併が考えられる.
その他,カニュラの選択,使用する人工肺・ポンプ,回路内圧モニタリング,ECMO 中の人工呼
吸器設定,ECMO 撤退・DNAR,さらには安定した長期管理を行うための詳細について不明な場合
には,「NPO 法人日本 ECMOnet」に相談できる体制(専用電話番号はメールアドレスの登録があ
る関連学会会員に配信されている)が整えられており,積極的な利用が推奨される.
ミシガン大学の Barbaro らは,The Extracorporeal Life Support Organization(ELSO)レ
ジストリを用いて 36 カ国 213 施設で 2020 年 1 月 16 日から 5 月 1 日までに ECMO を使用し
た 16 歳以上の COVID-19 患者 1,035 例を解析した.その結果,ECMO 開始後 90 日以内の院内
死亡率は 37.4 %(95%CI 34.4 ~ 40.4),最終転帰が死亡または退院だった患者 968 例の死亡率
は 39 %だった.また,V-V ECMO を使用した ARDS 患者の ECMO 開始後 90 日以内の院内死
亡率は 38.0 %(95%CI 34.6 ~ 41.5)と推定された.COVID-19 における ECMO の治療成績は
COVID-19 流行前の呼吸 ECMO の成績と同等であり,有意義なエビデンスが示されていると考え
られる.しかし,2020 年 5 月 2 日~ 12 月 31 日の期間(日本を含む 41 カ国,349 施設)の院内
死亡累積発生率は初期導入群(2,824 例)で 51.9 %(95% CI 50.0 ~ 53.8),後期導入群(806 例)
では 58.9 %(95% CI 55.4 ~ 62.3)と悪化していた.
日 本 国 内 で は 2023 年 1 月 19 日 現 在 の「NPO 法 人 日 本 ECMOnet」 か ら の 報 告 で は,
ECMO 累積治療患者は 1,386 例で,内訳は ECMO 離脱 869 例,死亡 499 例,ECMO 実施
中 18 例(ほぼ国内の全症例を網羅されている)である.年齢は 50 ~ 59 歳が最も多く,次
いで 60 ~ 69 歳,40 ~ 49 歳である.また,男性症例は女性の約 4 倍である.ECMO 導入
前の PEEP 値は9< PEEP ≦ 12 で最も多く,その群での軽快割合は 62 %である.ECMO 導
入前の PF 比では 50 < PF 比≦ 99 が最も多く,その群での軽快割合は 64 %である.また
ECMO 治療日数については,軽快例では中央値 11.0 日,死亡例では中央値 20.0 日となって
いる.
全国における日毎の ECMO 装着数は,
デルタが主体の 2021 年 9 月 15 日にピーク(164 例)
を示した.オミクロン流行期間中は,2022 年 3 月 9 日のピーク時でも 30 例に留まっている.
〈参考〉 NPO 法人日本 ECMO net. COVID-19 重症患者状況の集計.
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