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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●1 病原体・疫学

2 伝播様式

【感染経路】 感染者(無症状病原体保有者を含む)から咳,くしゃみ,会話などの際に排出さ

れるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)の吸
入が主要感染経路と考えられる.

SARS-CoV-2 の環境下での生存期間は,プラスチック表面で最大 72 時間,ボール紙で最大

24 時間とされている(WHO).

【エアロゾル感染】 エアロゾル感染は厳密な定義がない状況にある.SARS-CoV-2 感染者から近い

距離でのエアロゾル曝露による感染を示唆する報告がある.一般的に1m 以内の近接した環境で感

染するが,エアロゾルは空気中にとどまり得ることから,密閉空間などにおいては1m を超えて感
染が拡大するリスクがある.医療機関では,少なくともエアロゾルを発生する処置が行われる場合
には,空気予防策が推奨される.

【潜伏期・感染可能期間】 潜伏期は 1 ~ 14 日間であり,曝露から 5 日程度で発症することが
多い.ただし,オミクロンは潜伏期が 2 ~ 3 日,曝露から 7 日以内に発症する者が大部分であ

るとの報告がある *. 発症前から感染性があり,発症から間もない時期の感染性が高いことが市
中感染の原因となっており,SARS や MERS と異なる特徴である.

SARS-CoV-2 は上気道と下気道で増殖できると考えられ,重症例ではウイルス量が多く,

排泄期間も長い傾向にある.発症から3~4週間,
病原体遺伝子が検出されることは稀でないが,
感染性があることと同義ではない.感染可能期間は発症 2 日前から発症後 7 ~ 10 日間程度と

考えられている.なお,血液,尿,便から感染性のある SARS-CoV-2 が検出されることは稀
である.

【季節性】 コロナウイルス感染症は一般に温帯では冬季に流行するが,COVID-19 については,
現時点では気候などの影響は明らかでない.

3 国内発生状況

日本では 2020 年 1 月 6 日に疑似症サーベイランスの枠組みで患者を探知する体制が取ら

れ,1 月 15 日に武漢市に滞在歴がある肺炎の患者が国内初症例として神奈川県で報告された.

2 月 1 日の指定感染症への指定以前に 12 例が報告され,
うち3例に海外渡航歴を認めなかった.
1 月末から 2 月は武漢からのチャーター便とクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)から

感染者が報告された.3 月には欧州などでの感染が疑われる患者が増加し,4 月上旬をピーク
に流行が認められた(年齢中央値:49 歳)
.これに伴い,4 月 16 日には全都道府県に緊急事
態宣言が発出された.次いで 6 月中旬から大都市を中心に 20 ~ 30 代の患者が増加し,8 月

上旬をピークとした流行が発生した.以後,2021 年 1 月上旬,5月上旬(アルファ中心)
,8

月下旬(デルタ中心),2022 年2月上旬(オミクロン BA.1 および BA.2 系統中心)
,7 月下旬

(オミクロン BA.5 系統中心)をそれぞれピークとする流行が発生した.

2021 年末からのオミクロンの流行は過去最多の患者数を記録しているが(図 1-2),人工呼

吸器を要するような重症者数は比較的少ない(図 1-3).一方,80 歳以上の高齢者を中心に死
亡者は過去最多である(図 1-4,図 1-5)


2023 年 1 月 18 日現在,新規感染者数は全国的に減少傾向に転じているが,高齢者の減

少幅は小さい.高齢者施設と医療機関の集団感染も多くみられる.季節性インフルエンザも
2022 年末時点で全国的に流行入りとなった.

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