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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●2 臨床像
臨床像
1 臨床像
SARS-CoV-2 に曝露されてから発症するまでの潜伏期は約 5 日間,最長 14 日間とされて
きたが,オミクロンの感染では短縮される傾向にあり,中央値が約 3 日とされる.感染後無症
状のまま経過する者(無症状病原体保有者)の割合は,複数のメタアナリシスで 20 ~ 40 %
と報告されているが,ウイルスの抗原性や集団の免疫状態にも影響されるものと考えられる.
濃厚接触者などでは 病原体検査の陽性判明後に発症する場合もあることに注意する.
日本国内で 2020 年 1 月 25 日~ 2021 年 5 月 6 日までに入院した 770 例の患者(男性
57 %,年齢中央値 51.0 歳,基礎疾患あり 35 %)の積極的疫学調査によると,発症時の症状
は発熱(52 %),呼吸器症状(29 %),倦怠感(14 %)
,頭痛(8 %)
,消化器症状(6 %)
,
鼻汁(4 %)
,味覚異常(3 %),嗅覚異常(3 %)
,関節痛(3 %)
,筋肉痛(1 %)の順に多
くみられた.インフルエンザや普通感冒と比較して,鼻汁・鼻閉は少なく,嗅覚・味覚障害の
多いことが COVID-19 の特徴と考えられてきたが,オミクロンの感染では,ウイルスが上気
道で増殖しやすい特性に伴い,鼻汁・鼻閉,咽頭痛などの感冒様症状の頻度が増加した.さら
に急性喉頭炎から喉頭蓋炎,小児ではクループ症候群を呈した患者の報告も増加している.ま
た,嗅覚・味覚障害の頻度が減少したと報告されている.なお,オミクロンの亜系統や組換え
体による臨床像の違いについては一致した見解は得られていない.
SARS-CoV-2 はまず鼻咽頭などの上気道に感染すると考えられる.多くの患者は発症から
1 週間程度で治癒に向かうが,一部の患者では感染は下気道まで進展すると考えられる.さら
に,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至る患者もある.日本における COVID-19 入院患者レ
ジストリ(COVIREGI-JP/REBIND)によると,パンデミック初期(2020 年 3 月~ 7 月)
に入院した 2,636 例の重症度内訳は,酸素投与なし(62 %),酸素投与あり(30 %),人工呼
吸器治療(9 %)であった.合併症では,血栓塞栓症が COVID-19 の特徴の一つと考えられ,
死因ともなりうる(「2-4 合併症」参照)
.なお,現在のオミクロンの流行では,アルファやデ
ルタが主体の流行と比較して,酸素療法や人工呼吸管理を必要とする患者の割合が低下してい
ることが報告されている.
重症の患者は高齢や肥満などのリスク因子を有することが多い(
「2-2 重症化のリスク因子」
参照).小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要が
ある(「2-5 小児例の特徴」参照).また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(
「2-6
妊婦例の特徴」参照)
.高齢者では発熱を伴わず,せん妄を認めるなどの非典型的な症状を呈
することがあり注意を要する.日本国内でも死亡者に占める 80 歳以上の割合が高くなってお
り,基礎疾患の増悪や心不全・誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要と考えられる(「4-5 高
齢者の管理」参照).
再感染は一般に直前の感染から 3 カ月間は起きにくいとされている.オミクロンの流行が
始まってから,世界中で再感染の報告が増加している.これは免疫の減衰よりもオミクロン
の抗原性の変化が大きいと考えられている.2022 年 10 月から導入されたオミクロン対応の
mRNA ワクチンの追加接種は,COVID-19 の発症や重症化を防ぐ効果が期待されている.
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●2 臨床像
臨床像
1 臨床像
SARS-CoV-2 に曝露されてから発症するまでの潜伏期は約 5 日間,最長 14 日間とされて
きたが,オミクロンの感染では短縮される傾向にあり,中央値が約 3 日とされる.感染後無症
状のまま経過する者(無症状病原体保有者)の割合は,複数のメタアナリシスで 20 ~ 40 %
と報告されているが,ウイルスの抗原性や集団の免疫状態にも影響されるものと考えられる.
濃厚接触者などでは 病原体検査の陽性判明後に発症する場合もあることに注意する.
日本国内で 2020 年 1 月 25 日~ 2021 年 5 月 6 日までに入院した 770 例の患者(男性
57 %,年齢中央値 51.0 歳,基礎疾患あり 35 %)の積極的疫学調査によると,発症時の症状
は発熱(52 %),呼吸器症状(29 %),倦怠感(14 %)
,頭痛(8 %)
,消化器症状(6 %)
,
鼻汁(4 %)
,味覚異常(3 %),嗅覚異常(3 %)
,関節痛(3 %)
,筋肉痛(1 %)の順に多
くみられた.インフルエンザや普通感冒と比較して,鼻汁・鼻閉は少なく,嗅覚・味覚障害の
多いことが COVID-19 の特徴と考えられてきたが,オミクロンの感染では,ウイルスが上気
道で増殖しやすい特性に伴い,鼻汁・鼻閉,咽頭痛などの感冒様症状の頻度が増加した.さら
に急性喉頭炎から喉頭蓋炎,小児ではクループ症候群を呈した患者の報告も増加している.ま
た,嗅覚・味覚障害の頻度が減少したと報告されている.なお,オミクロンの亜系統や組換え
体による臨床像の違いについては一致した見解は得られていない.
SARS-CoV-2 はまず鼻咽頭などの上気道に感染すると考えられる.多くの患者は発症から
1 週間程度で治癒に向かうが,一部の患者では感染は下気道まで進展すると考えられる.さら
に,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至る患者もある.日本における COVID-19 入院患者レ
ジストリ(COVIREGI-JP/REBIND)によると,パンデミック初期(2020 年 3 月~ 7 月)
に入院した 2,636 例の重症度内訳は,酸素投与なし(62 %),酸素投与あり(30 %),人工呼
吸器治療(9 %)であった.合併症では,血栓塞栓症が COVID-19 の特徴の一つと考えられ,
死因ともなりうる(「2-4 合併症」参照)
.なお,現在のオミクロンの流行では,アルファやデ
ルタが主体の流行と比較して,酸素療法や人工呼吸管理を必要とする患者の割合が低下してい
ることが報告されている.
重症の患者は高齢や肥満などのリスク因子を有することが多い(
「2-2 重症化のリスク因子」
参照).小児は一般に軽症であるが,重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要が
ある(「2-5 小児例の特徴」参照).また,一部の妊婦も重症化しやすいと考えられる(
「2-6
妊婦例の特徴」参照)
.高齢者では発熱を伴わず,せん妄を認めるなどの非典型的な症状を呈
することがあり注意を要する.日本国内でも死亡者に占める 80 歳以上の割合が高くなってお
り,基礎疾患の増悪や心不全・誤嚥性肺炎などの発症にも注意が必要と考えられる(「4-5 高
齢者の管理」参照).
再感染は一般に直前の感染から 3 カ月間は起きにくいとされている.オミクロンの流行が
始まってから,世界中で再感染の報告が増加している.これは免疫の減衰よりもオミクロン
の抗原性の変化が大きいと考えられている.2022 年 10 月から導入されたオミクロン対応の
mRNA ワクチンの追加接種は,COVID-19 の発症や重症化を防ぐ効果が期待されている.
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