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【参考1】診療の手引き・第9.0版 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00416.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(2/10付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 9.0 版 ●1 病原体・疫学

病原体・疫学

1 病原体

これまでにヒトコロナウイルスは 4 種が同定されており,感冒の原因の 10 ~ 15 %を占める

病原体として知られる.また,イヌやネコ,ブタなど動物に感染するコロナウイルスも存在す

る.2002 年中国・広東省に端を発した重症急性呼吸器症候群(SARS)は,コウモリのコロナ

ウイルスがハクビシンを介してヒトに感染,主に医療施設内でヒト - ヒト感染を起こし,世界
で 8,000 人を超える患者が報告された.また,2012 年にはアラビア半島で中東呼吸器症候群

(MERS)が報告され,ヒトコブラクダからヒトに感染することが判明している.2019 年 12

月に中国・湖北省武漢市で発生した原因不明の肺炎は,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
が原因であることが判明した(図 1-1).SARS や MERS の病原体と同じβコロナウイルス
に分類される動物由来コロナウイルスであるが,宿主動物は分かっていない.その後,ヒト

−ヒト感染によって流行が世界的に広がっている状況である.SARS-CoV-2 による感染症を
COVID−19(感染症法では新型コロナウイルス感染症)と呼ぶ.
図 1-1

病原体

SARS-CoV-2

動物由来コロナウイルス
S:スパイクタンパク
エンベロープにある突起が王冠(ギリシア
語でコロナ)のように見える.SARS の病原
体(SARS-CoV-1)と同様にアンジオテン
シン変換酵素 2(ACE2)をレセプターとし
てヒトの細胞に侵入する.3 日間程度は環境
表面で安定と考えられる.

(国立感染症研究所)

2023 年 1 月現在,国立感染症研究所は,世界保健機関(WHO)等の評価を参考に,オミク

ロン(B.1.1.529 系統とその亜系統および組換え体のすべて)を国内における感染・伝播性の
増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株 Variants of Concern(VOC)とし

ている. なお,WHO は,オミクロンのいくつかの亜系統(BA.2.3.20,BA.4.6,BA.2.75,
XBB の各系統および,BA.5 系統に N450D 変異もしくは R346/K444/V445/N460 のいず
れかの箇所に変異を有するもの)を「監視下のオミクロンの亜系統(Omicron subvariants

under monitoring)」としている.また,ワクチンの効果や感染力に影響を与える可能性が
ある注目すべき変異株 Variants of Interest(VOI)
,および監視下の変異株 Variants under

Monitoring(VUM)という分類をしているが,
現在は該当する系統はない.2022 年 12 月現在,
世界で検出されるウイルスのほぼすべてがオミクロンと考えられている.オミクロンの中では,
BA.5 系統が主流となっている.BQ.1 系統(BA.5.3 系統の亜系統)
,XBB 系統〔BJ.1 系統

(BA.2.10 系統の亜系統)と BM.1.1.1 系統(BA.2.75.3 系統の亜系統)の組換え体〕をはじめ,
特徴的なスパイクタンパク質の変異がみられ,ワクチン接種や感染免疫による中和抗体からの

逃避や,感染者数増加の優位性が示唆される亜系統が複数報告されているが,特定の変異株が
世界的に優勢となる兆候はみられない.

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