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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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IV. 子宮頸がん検診のエビデンス
1. HPV 検査を用いた方法による浸潤がん罹患率減少効果
細胞診・HPV 検査併用法について浸潤がん罹患または CIN3+以上をエンドポイントとし、検討
した無作為化比較試験は、イタリアの NTCC の第1相

8)、オランダの

POBASCAM

9)、英国の

ARTISTIC10)、スウェーデンの Swedescreen11)の 4 研究であった。また同様の条件で HPV 検査
単独法を評価した研究は、フィンランドの Finnish trial12)と、カナダの HPV FOCAL13)の 2 研究
であった。
インドで行われた細胞診単独法、HPV 検査単独法、視診(VIA)の 3 つを比較した研究

14)は、

開発途上国で行われたものであり細胞診の精度や診療技術の差が懸念されること、無作為化割り
付けがクラスター単位であることから主解析のメタアナリシスには採用しなかった。
各研究については、全研究期間内の様々な時期にアウトカムの分析を行った複数の論文が公
表されており、無作為化比較試験の基本情報も1論文に必要な情報がすべて網羅されているわけ
ではなかった。
細胞診単独法と比較し、細胞診・HPV 検査併用法が浸潤がん罹患率減少効果に優れる結果
であったのは、イタリアの NTCC の第 1 相のみで、他の研究は統計学的に有意な結果は得られて
いなかった。ヨーロッパで実施された 4 件の無作為化比較試験については固定効果モデルによる
プール解析(NTCC 第 1 相および第 2 相の合同データ

8)、POBASCAM9) 、ARTISTIC10)、

Swedescreen11))が実施され、HPV 検査に基づくスクリーニング法による浸潤がん罹患率減少効
果は細胞診単独によるスクリーニング法と比較し、罹患率の相対リスク比(incidence rate ratio) =
0.60 [95%信頼区間(CI: confidence interval): 0.40―0.89]と報告されていた 15)。
HPV 検査は HC2 または同等の高リスク HPV 遺伝子タイプを検出するプラットフォームが使用
されていた。検診間隔は 1 ラウンドあたり 3~5 年で、各無作為化比較試験での検診結果に応じた
精密検査や追跡、治療に関するアルゴリズムは多様であった。細胞診・HPV 検査併用法として分
類された 4 つの無作為化比較試験のうち、第 2 ラウンドの検診にも細胞診・HPV 検査併用法が実
施されたのは 2 件のみで(POBASCAM9)、ARTISTIC10))、他の 2 件(Swedescreen11)、NTCC
第1相 8))の第 2 ラウンドは細胞診のみであった。
ヨーロッパより 6 件(NTCC 第 1 相

8)

、NTCC 第 2 相 8)、ARTISTIC10)、Swedescreen11)、

POBASCAM9)、Finnish trial12)) の無作為化比較試験に参加した合計 374,874 人の健常な地
域住民を対象としたネットワーク・メタアナリシスを行い、HPV 検査に基づく検診と細胞診単独によ
る検診における浸潤がん罹患率減少効果を検討した(図 1)。その結果からは HPV 検査に基づく
検診法(併用法、単独法含め)は細胞診単独による検診法と比較し、平均 31%の浸潤がん罹患率
減少効果が認められたが、信用区間は null effect を含み、強い証拠はなかった(ハザード比
[HR]=0.69[95%CrI:0.42―1.08]; I2=27%)。予測区間からは HPV 検査に基づく検査のほうが利
益がある集団が多い(最高 73%の浸潤がん罹患減少)と予測されるが、逆に細胞診のほうが利益が
ある集団も予測された(最高 47%の浸潤がん罹患減少)。他のランダム効果モデルを使用した感度