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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (26 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》 |
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VIII. 対象年齢の検討
1. 細胞診の対象年齢
細胞診の開始年齢を検討したのは英国
ンランド
47)の
43)、カナダ 44)、オーストラリア 45)、スウェーデン 46)、フィ
5 つの症例対照研究であった。オーストラリア研究とスウェーデン研究は、浸潤がん
罹患年齢から遡っての受診について 20 代を一括して検討していた。他の研究では、20 代前半と
後半を分離して検討していた。20 代を一括して検討した 2 研究では、20 代に浸潤がん罹患率減
少効果を認めたが、20 代前半と後半を分離した研究では、20 代前半での浸潤がん罹患率減少効
果は認められなかった。一方、30 歳以降では有意な結果は得られない場合もあるものの、浸潤が
ん罹患率減少の傾向を認めていた。
以上をまとめると、30 代以降に関しては浸潤がん罹患率減少効果の証拠の信頼性が高いが、
20 代の特に前半に関しては、証拠は必ずしも確実ではなく研究によって相反する結果が得られて
いる。その一方で国内の要精検率は、2015 年度の地域保健・健康増進事業報告によると 20~29
歳が 3.9%と、30~39 歳の 3.0%、40~49 歳の 2.5%に比べて高く、逆にがん発見率が 0.02%と、
他の年齢での 0.05%に比べて低いことから不利益としての偽陽性率が高くなると考えられた。
一方、終了年齢を検討したのは英国
51)、イタリア 52)の
48)、カナダ 44)、スウェーデン 46)、フィンランド 49)、米国 50,
7 つの症例対照研究であった。これらの研究では、50~70 歳の検診受診がおお
むね 60~80 代前半(最長 100 歳)の子宮頸がん死亡あるいは浸潤がん罹患率減少につながるか
(検診を終了してもその効果が継続するか)を検討していた。50 代前半の細胞診による検診受診
により、以降の子宮頸がん死亡率あるいは浸潤がん罹患率の有意な減少を認めた。50 代後半か
ら 60 代の受診については、一部の研究で有意な結果は認められないものの、一貫して以降の子
宮頸がん死亡率あるいは浸潤がん罹患率減少を認めた。70 歳以降の受診について評価していた
のは米国の 1 研究 50)のみであった。この研究では浸潤がん罹患率減少について有意な結果は得
られなかったが、対照群のうち子宮全摘術の可能性がある例を除外した場合のサブ解析で有意な
結果となった。このように 60 代の受診に関しても 60 代後半までに受診した場合には、一貫してそ
の後も一定期間浸潤がん罹患率・子宮頸がん死亡率減少効果が持続することが示されているが、
70 代も受診に関しては確定的な証拠はなかった。要精検率については 60 代以上の成績は乏し
いが、国内の地域保健・健康増進事業報告では 60~69 歳 0.8%、70 代以上 0.7%と低く、がん発
見率は 0.03%であった 53)。
ガイドライン作成委員会においても、細胞診の対象年齢について上限 69 歳は完全な意見の一
致をみたが、下限に関しては必ずしも意見の一致をみたわけではない。20 代前半は偽陽性率が
高くなるという点で不利益が大きくなり、かつ浸潤がん罹患率減少効果について相反する結果もあ
るという点で意見は分かれた。しかし 20 代前半に関して分析した研究数自体が少ないことや、こ
の世代での罹患率の上昇がみられるわが国での評価研究がないことから、20 代前半を積極的に
対象から外すということは妥当ではないという意見もみられた。このため細胞診の対象年齢下限に
ついては、20 歳とし、20 代前半については、今後わが国で症例対照研究やシミュレーションによ
1. 細胞診の対象年齢
細胞診の開始年齢を検討したのは英国
ンランド
47)の
43)、カナダ 44)、オーストラリア 45)、スウェーデン 46)、フィ
5 つの症例対照研究であった。オーストラリア研究とスウェーデン研究は、浸潤がん
罹患年齢から遡っての受診について 20 代を一括して検討していた。他の研究では、20 代前半と
後半を分離して検討していた。20 代を一括して検討した 2 研究では、20 代に浸潤がん罹患率減
少効果を認めたが、20 代前半と後半を分離した研究では、20 代前半での浸潤がん罹患率減少効
果は認められなかった。一方、30 歳以降では有意な結果は得られない場合もあるものの、浸潤が
ん罹患率減少の傾向を認めていた。
以上をまとめると、30 代以降に関しては浸潤がん罹患率減少効果の証拠の信頼性が高いが、
20 代の特に前半に関しては、証拠は必ずしも確実ではなく研究によって相反する結果が得られて
いる。その一方で国内の要精検率は、2015 年度の地域保健・健康増進事業報告によると 20~29
歳が 3.9%と、30~39 歳の 3.0%、40~49 歳の 2.5%に比べて高く、逆にがん発見率が 0.02%と、
他の年齢での 0.05%に比べて低いことから不利益としての偽陽性率が高くなると考えられた。
一方、終了年齢を検討したのは英国
51)、イタリア 52)の
48)、カナダ 44)、スウェーデン 46)、フィンランド 49)、米国 50,
7 つの症例対照研究であった。これらの研究では、50~70 歳の検診受診がおお
むね 60~80 代前半(最長 100 歳)の子宮頸がん死亡あるいは浸潤がん罹患率減少につながるか
(検診を終了してもその効果が継続するか)を検討していた。50 代前半の細胞診による検診受診
により、以降の子宮頸がん死亡率あるいは浸潤がん罹患率の有意な減少を認めた。50 代後半か
ら 60 代の受診については、一部の研究で有意な結果は認められないものの、一貫して以降の子
宮頸がん死亡率あるいは浸潤がん罹患率減少を認めた。70 歳以降の受診について評価していた
のは米国の 1 研究 50)のみであった。この研究では浸潤がん罹患率減少について有意な結果は得
られなかったが、対照群のうち子宮全摘術の可能性がある例を除外した場合のサブ解析で有意な
結果となった。このように 60 代の受診に関しても 60 代後半までに受診した場合には、一貫してそ
の後も一定期間浸潤がん罹患率・子宮頸がん死亡率減少効果が持続することが示されているが、
70 代も受診に関しては確定的な証拠はなかった。要精検率については 60 代以上の成績は乏し
いが、国内の地域保健・健康増進事業報告では 60~69 歳 0.8%、70 代以上 0.7%と低く、がん発
見率は 0.03%であった 53)。
ガイドライン作成委員会においても、細胞診の対象年齢について上限 69 歳は完全な意見の一
致をみたが、下限に関しては必ずしも意見の一致をみたわけではない。20 代前半は偽陽性率が
高くなるという点で不利益が大きくなり、かつ浸潤がん罹患率減少効果について相反する結果もあ
るという点で意見は分かれた。しかし 20 代前半に関して分析した研究数自体が少ないことや、こ
の世代での罹患率の上昇がみられるわが国での評価研究がないことから、20 代前半を積極的に
対象から外すということは妥当ではないという意見もみられた。このため細胞診の対象年齢下限に
ついては、20 歳とし、20 代前半については、今後わが国で症例対照研究やシミュレーションによ